<補足説明>

経営革新と補助金制度
補助金申請とよく似たものに、「経営革新計画の承認」というのがあります。 経営革新の方は、補助金とは絡みません(※東京都の場合)。単なる承認行為です。
したがって、経営革新は、多少の遡りができます。
遡りの限度は前回の決算日で、それ以降に着手された新事業が、経営革新計画の対象とされます。
中には、試作品のようなものがすでに完成している場合もありますが、むしろ、その段階まで事業が具体化していた方が、経営革新計画の承認を得やすいようです。
昔は経営革新にも補助制度が付いていました。その廃止に関しては、私も係わっています。
あまりにも合格数が少ないんで、無くした方がいいじゃないかと・・・。

一方、補助金の場合は、あくまで、現時点未着手で、これから始まる補助対象期間内に行われた行為だけが対象となります。
一般論として、経営者は、「まずは経営革新計画に承認してもらって、その勢いで補助金申請のレベルに持ち上げよう」と考えるのではないでしょうか。
しかし、現実は逆です。
このため、経営革新計画の承認に固執するがあまり、補助金申請のタイミングを逃すという、泣くに泣けない場合も発生してしまう危険性があります。

ついでに、さらにもうひとつ補足しておきます。
経営革新計画の承認のためには、数年後の経常のアップなど「一定以上の計画目標を設定すること」が必須条件となっています。しかし、それは、計画承認のための条件であって、実際には、目標達成できなかった企業も多いものと思います。
みな、背伸びしているんですよね。

これに対して、確実に実現できる目標設定をしなければ、もらえなくなるのが補助金です。
経営革新は事前計画レベルの“絵に描いた餅”でも許される目標ですから、それをそのまま“結果評価”に適用するのは、いささか酷になります。

補助金申請書に、試作品完成時までには、販売予定先企業100社を確保する」と大風呂敷を広げてしまうと、実際に補助対象期間終了時にこれに達していなければ、補助金交付額はゼロになります。
「100社の予定だったけれど、何とか50社は確保したから、半分は出してもらえないでしょうか・・・」と、懇願されたとしても、企業自らが設定した目標ですから、事務局としては首を縦に振ることはできないのです。
といっても、社長さんっていうのは、最初は大きく出たがるものなんですよね・・・。
私は、以前、経営革新の受付をやっていた折に、経営者さんに「いくらなんでも、こんなに収益が上がると言うと、審査員も信用しませんよ」と、助言したことがあります。

だから、経営革新計画を前置きとして義務づけたとしても、やはり補助金申請にあたっては、冷静に考えて実現可能なレベルを目指してもらいたいのです。
その代わり、それが実現できないなら、補助金は出しません。
補助金というのは、そういうものだからです。


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