<補足説明>

内装経費が欲しい
「内装経費がほしい、補助対象としてほしい。」という経営者の方は少なからずいらっしゃいます。

しかし、内装経費を補助対象としている補助金は、あまり多くはありません。
国の小規模事業者持続化補助金(限度額50万円ないし100万円)、国の創業補助金(限度額100万円以上200万円以内)は出ます。額の小さな補助金だからなのかもしれません。
都公社の応援ファンドの補助金(限度額800万円)も、初期の段階では、内装経費を対象としていました。
起業者育成事業を行うときのインキュベーションオフィスの準備などに重宝しました。
が、その後、対象から外されました。

「商業・サービス業を支援する事業なのに、人件費と内装工事費が出ない補助金」なんてものが存在するなら、制度を作った人のセンスを疑いたくなります。

なぜ、対象外となったのか。
もし、同じ事業を不動産屋さんが申請してきたら、どうなるでしょう。
不動産物件をリニューアルして売るというのは、不動産屋さんの本来業務であるはずです。それに、公費を投入することは、ちょっと方向が違うような・・・。でも、「シェアオフィス」とか、横文字で呼ぶと、何か先端的な事業のように見えてくるのですよ。

同様に、ほとんどの補助金では、「不動産の購入費用」は、対象経費となっていません。そんなことを認めれば、それこそきりがなくなるからです。
しかし、そう考えると、不動産購入と内装のリニューアルとは、どこで線引きすればいいのか、かなり難しいところです。

「内装経費はダメで、備品購入ならいい」という前提だと、「壁に据え付ける棚はダメだけど、移動可能な本棚ならいい」というおかしな現象が発生します。

さらに、商業・サービス業は事業計画の変更が多い。

「お年寄り向けのレクリエーションコーナーを作る」ということで、設備を準備した。そうしたら、お年寄りの利用は芳しくなかった。このままでは事業が破たんする。このため、若者向けの施設に転用する」
そうなると、当初の目的とは違った事業になってしまいます。補助金の目的外使用になりますので、公費は投入できなくなります。しかし、すでに多額の投資がその施設に投下されていて、「補助金が出ないと、やはり経営が破たんする」という事態も起こりかねません。
すでに補助金が交付された後で、行政側が抗議しても、企業は補助金をなかなか返還しようとしないでしょう。

そんなこんなを考えると、最初から「内装経費は出ない」と決めれば、すっきりします。
しかし、内装経費へのニーズはひじょうに高くて、もう、ぐるぐる回りになってしまいます。

「お年寄り向けの料理教室を開きたい」という事業は社会的に評価されるでしょう。しかし、内装経費が出ないと、厨房も教室も作れません。


私たちは、事業終了後、5年間は引き続きモニターしています。

私の結論はひじょうに単純かつクリアです。
社会貢献コースの場合、
(1)事業目的が社会的価値があり、なおかつ、実現可能であれば、内装経費は出す。
(2)事業目的に社会的価値があっても、実現が難しければ、採択しない。
(3)事業目的に社会的価値がないなら、端っから採択しない。
経営力向上コースの場合、
(1)経営が良くするためなら、内装費OK。
(2)経営を良くすると言って申請したけど、実際は良くならなかったなら、ゼロ。

つまり、内装経費も補助対象とする、ということになります。
そのこともあって、2段階審査の方式を考えました。
また、採択してしまった後に好き勝手されないように、限度額管理を設けました。

いずれにせよ、高額の補助金の場合、外部委託経費に歯止めをかけないと、大きな問題が発生する危険があります。
しかし、だからといって、ほんとうに必要な経費は、補助すべきでしょう。

要するに、何にお金が投入されるかではなく、何をやろうとしている事業なのかが、評価されればいいわけです。


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