<補足説明>

収益納付は再考してほしい
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に次の規定があります。

第7条(補助金等の交付の条件)
2  各省各庁の長は、補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては、当該補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。

「できる」規定ですから、「しなくてもいい」はずなんですが、多くの補助金には、この収益納付の規定が付いています。

企業が補助金をもらうとき、事業経費の全額が補助対象となることはありません。
多かれ少なかれ、企業には自己負担が生じます。
その後、補助事業が始まりますが、当初は利益がなかなか生まれません。それでも、何年か続けていくと、儲けが出ることもあります。
一般的には、「3年後に単年度黒字、5年後に累積も含めて黒字」を目指すことが多いとのことです。
支援団体は、その後の5年間、補助企業の動向を調査します。

そして、黒字幅が広がって、その累積額が当初の自己負担を越えた場合は、その部分は返還してもらう――これが、「収益納付」です。
現実には、5年以内に収益納付に達するケースというのは少ないのですが、こんな仕組みは早いところ無くしてもらいたいと思います。
どこの会社だって、収益を出すためにがんばっているのです。それなのに、「儲かったから返してほしい」というのでは、経営者の意欲が削がれます。どっちみち企業に収益が出れば、法人税でガッポリ持って行かれるのですから、補助事業くらいは、もう少し優しい目で見てほしいのです。
それに、「従業員の賃金を上げたかどうか」を補助金申請書に記入するよう義務づけられる当世なんですから、収益納付ってのは時代錯誤ではないでしょうか。

収益納付の制度はあるのに、「リスク評価」の制度はありません。

<収益納付の原則>

原則Ⅰ 補助金交付額以上の収益納付は要求されない。 例)補助金交付額が300万円の場合、毎年納付している額の累計が300万円になれば、それ以上返す必要はない。
原則Ⅱ 補助金が確定したときの自己負担額は控除できる。 例)補助事業の規模が500万円の場合で補助金の交付額が300万円だとしたら、自己負担額は200万円なので、200万円(C)は控除できる。
原則Ⅲ 上がった収益に対して納付額が決まる。 例)初年度、その補助事業で売上が700万円上がり、そのために費用が500万円かかったとすれば、その年の収益は、700-500=200万円となる。
この例では、控除額(C)が200万円あるから、初年度は収益納付しないですむ。
原則Ⅳ 補助金の額を支出額で割った比率を掛ける。 例)2年目、売上が1000万円に増え、費用が700万円かかったとする。
収益は300万円(B)。
控除は200万円(C)なので、差が100万円になる。しかし、納付額は100万円ではない。

Ⅱにより補助事業全体の経費は500万円だった。
Ⅲ、Ⅳにより、補助事業に投入した経費を合計すると1200万円(500万円+700万円)になる。
これが「本年度までの補助事業にかかる支出額」(D)になる。
Ⅰに示した補助金の確定額は300万円(A)であった。
そこで、A/Dを計算すると、300/1200=0.25
(本年度収益-控除額)にこの率を乗じる。100万円×0.25=25万円
この金額、E=(B-C)*A/Dが、収益納付となる。
原則Ⅴ 収益も費用も累積していくので、次年度はその累積数字を使う。 (省略)

めちゃくちゃめんどくさい。


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