コールセンターを兼ねたIT大学 |
以前、自宅のパソコンが不調になったことがありました。
メーカーのコールセンターに電話したのですが、これがまた、いっこうに繋がらない。ようやく繋がったかと思ったら、見当違いのセクション。そこで転送してもらい、しばらく待たされたあげく、結果は「わかりません」で、当然こちらはプンプン状態でした。
しかたなしに、ノートンにすがりついたら、対応してくれたのは中国の方。
メールで親切に応対してくれて、一次対応がうまくいかないと、すぐに上席者が対応してくれました。
結局は完全に復調できなかったのですが、その丁寧さには脱帽でした。(※ちなみに、パソコンはその後のWindowsのアップデイトで、なぜか自然に回復しました)
技術者の方ならおわかりでしょうが、他人の障害に対応するというのは、かなりの能力・経験が必要です。
今、我が国では人材育成が急務とされていますが、この間、若手労働力をぞんざいに扱ってきたツケが溜まっていますから、現場はかなりお寒い状況ではないかと思われます。
もう15年ほど前になります。ITのプチバブルがあった頃ですが、民間IT企業の社長さんと面談したことがあります。用事が済んで「他に何かありますか」と質問すると、社長さんはとうとうと話し始めました。
「基礎的な仕事が日本から外国に移りつつある。大手企業がどんどん海外発注しているからだ。基礎的な部分はこれから育ってくる若い人たちが分担する。それが日本から消えているってことは、どんどんIT労働の裾野が消えていくということだ。これでは若手を育てる場がなくなる。まだ我々のような上級者が残っているから、どうにかIT系も保っているが、そのうちダメになる。政府によく言っておけ」、と、まぁ、そんな話でした。
ちょうどその頃、中国では“電子城構想”というのが進んでいました。
今では「電子城」と呼ばれる秋葉原のようなところがたくさんあるようです。
たぶん、単なるショッピングセンターのようなところも多いのではないかと思いますが、構想そのものは<産・学連携>を目指していました。
筑波のような研究学園都市と、秋葉原のような電子ショッピング街、そして人材育成のための大学――その機能を併せ持った地域開発をしようというものでした。
ところが日本は、逆に、大学や生産現場を街中から郊外にどんどん移転させていたのです。
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そこで提案。
企業のコールセンターと電子学校を結びつけて、学生を実習させたらどうでしょうか。
受付電話をたくさん設置しなくてはならないし、利用者からは「使えねぇな」とクレームが来るかもしれないけれど、電話が繋がらないよりは良いと思います。
私たちは、もう何年もパソコンを使っていますから、「ただいま電話が混み合っています・・・」が、メーカー側の“逃げ”であることはよく知っていますし、トラブっている状況が簡単に直りそうな故障かどうかは、だいたい検討がつきます。
「やっぱダメだったか、でも、対応は良かったな」というだけでも、少しは救われるのです。
対応する学生もストレスフルでしょう。「もう、こんな業界はゴメンだ」と思うかもしれません。でも、就職すればそういったことは回避できないし、場数を積むことがなんてったって大切です。
だから、企業が安価な労働力として学生を使うことがないようにする工夫は必要です。学生側から企業に改善提案をするようなルートを作ることも有りかと思います。
そして、コールセンターで働いてくれたメンバーは一定程度、自社に雇用する。そのくらいの覚悟は求められるでしょう。
学生さんにとっても、在学中からリクルート活動に奔走させるよりは、ずっと建設的だと思いますがね。
たぶん企業側は嫌がると思います。だから、そういうようなシステムを国が先導して作ってみたらどうでしょうか。資金提供するなどして。
とはいえ、少子化と海外へのアウトソーシングが進みきってしまった今となっちゃ、手遅れかもしれませんが・・・。(※最近、ボヤキが多くなっているように思えてなりません) |
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