エンディング総合ビジネス |
エンディング産業展に行って、葬式関係のビジネスって、ほんとうにいろいろあるなと、感じ入りました。
亡くなる前までのビジネス:
生前葬を行う。遺影の生前に撮影して保存管理する。葬儀のシミュレーションを行う。デジタルサイネージで葬儀中に流すメモリアル映像を作っておく。人生の記録を写真入りアルバムとして残す。
亡くなってからのビジネス:
湯灌。斎場の装飾。献花のアレンジ。オリジナル会葬御礼品の製作。沖縄の海に散骨。自宅内での遺骨保管用工芸品。遺産相続。リフォームと遺品処理。空き家対策。無縁仏になった場合の墓の処分。さらに、ペットの葬儀とペット用メモリアル商品。
ホントにいろいろあるなぁ。
しかし、出展していた企業さんにも話ましたけど、こんだけ広範なビジネスが集まっているのに、頼めば全部やってくれる、というところがないのが残念。
特に、私のような“おひとりさま”は、生前にできるだけの段取りを決めておかなければならない。
もう還暦だし、突然ばったり逝ったらどうなるのか。
長生きしたとしても、途中でボケてしまい、きちんとした判断がくだせなくなるなるかもしれない。
ということは、そこにビジネスの隙間があるってことです。
アラカルト方式のエンディング総合ビジネス。誰か立ち上げてくれないでしょうか。
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とは言ったものの、生前に自分のプライバシーを全部その会社に披瀝してしまうことになります。とても信用できませんねぇ〜。資産丸ごと持ち逃げされたり、知らないうちに財産が他人名義に書き換えられたりしたら、死んでも浮かばれませんよ。
弁護士さんに頼むという方法もあるんでしょうけど、弁護士さんは財産処分の代行はやってくれるでしょうけど、葬儀もろもろの手はずを行ってくれるとも思えません。
葬儀社が取り仕切ってくれるのは、葬儀の部分だけ。後の財産分与などは、業務の埒外になります。
つまり、一つの企業では全部を取り仕切ることは不可能だということです。
JVを組んで対処する必要があります。
きっと、かなりの費用がかかります。
でも、今のお年寄りはお金持ち。しかも、“おひとりさま”なら、自分があの世に行ってしまった後、財産を残す必要もない。だから、そこそこの経費も出るはずです。
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そんなわけで、自分をネタにして、いざという時に対応するビジネスを考えてみました。(とても勉強になります)
◆倒れたときの連絡窓口を固定する
まず、エンディングJVの取り仕切り窓口が必要です。
「何かあったとき、まず連絡すべきところ」が、家族のない者にとっては必須。それが第一。
行政がやってくれると助かるんですけど、行政だって入札でどっかの企業に丸投げするに決まっています。その会社の人がすべて善人とは限りません。
社会福祉協議会のようなところに仕切ってもらうのも良いですが、「何かあったとき責任取れない」とか何とか言われて腰が引けてしまうでしょう。
ここは、ひとつ「信頼して自分の財産を預けられる」メインバンクの出番かな、と思われます。
もちろん銀行が直接そんな仕事をやるわけにはいかないでしょうから、成年後見人のような立場の人に業務委託することになるでしょう。当然、手数料がかかります。
ちなみに、成年後見人の報酬については、家庭裁判所から目安が示されています(http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/130131seinenkoukennintounohoshugakunomeyasu.pdf)。
月2万円+αとなります。仮に月3万円として、15年間お願いするとなると、540万円。もうそれだけでアウトかもしれませんが、話を続けましょう。
その次に、どうやって第三者がその人に連絡してくれるか、ですね。
<万一の場合、ここに電話してください。登録番号〇〇〇〇〇番を示し、状況を連絡してください>
という、ステッカーを家に貼っておきます。
また、外出時に倒れることもあるので、身分証明書と同じメモは、定期券入れなどに常時入れておくようにします。
◆意識不明になったときの対処基準を登録する
<意識不明のまま医療機関に搬送された場合、以下の対応をお願いします。:
苦痛を軽減するためのあらゆる処置をお願いします。しかし、延命のための処置は、一切行わないでください。>という意思表示を登録します。
ですが、運び込まれたときの勢いで、人工呼吸器などを付けられてしまうと、もう、はずせなくなってしまいます。はずすと医師が殺人罪に問われる可能性があるからです。やっかいです。
前記のメモなどに、その旨、付記しておく必要があるかもしれません。
◆死亡時の対応を登録しておく
<献体:いたしません。 臓器提供:いたしません。 ただし、監察医務院での検案は受け入れます>
<菩提寺の住職にご連絡をお願いします。寺の連絡先は・・・・>
◆遺産信託をする
今でも遺産信託のように、財産管理のサービスをやってくれる金融機関はあるのですが、財産とお金に関する部分のみになります。
その手数料を調べてみると、一例ですが、申込時に32万4千円円、公正証書作成費用などが5万4千円、遺言書保管料が年間6,480円、15年間と見積もると97,200円、遺言書の変更にも手数料がかかりますが、ここではないとします。
そしても、遺言実行時の費用は108万円となっています(参考:三井住友信託銀行の遺族信託、2016年8月現在、http://www.smtb.jp/personal/entrustment/succession/will/charge.html)。
これらを足し上げると、156万円ほどになります。これを上回る財産残額がないと、遺族信託もできないってことになりますね。
いゃ、物入りだわ。
◆遺書作成
しかし、よくよく見ると、ここには遺言書作成手数料が入っていません。
これは弁護士・司法書士・税理士・行政書士のみなさんの仕事の領分だと思います。
ある司法書士さんのページ(http://www.office-kon-saitou.com/)を見ますと、作成報酬は、5000万円以下の財産の場合、4万円となっています。
しかも、相談は有料なら1回1万円。
そのほかに、公正証書で公正役場に提出する際には、立会人2名以上が必要となり、司法書士さんが立ち会うとなると、1人2万円が必要となります。身寄りがないと立ち会ってもらう人もいないので、ここで10万円くらいの経費が発生します。
遺言書は自筆でも良いのですが、様式に不備があると無効になることもあります。
また、問題なのは、自筆で遺書を書いても、それがどこに保管されているか、第三者に伝えることができないことです。たいがい、大切にどっかにしまっておくものですので、簡単には発見されません。
また、自筆で宅内に保管されていた遺書は、家庭裁判所に持ち込んで開封しないといけないことになっています。普通の人はそういうことを知りませんので、開けてしまいますよね。
だから、やはり専門家の手を借りて、公正証書にした方が良いと思います。
◆遺影撮影
個人的には目立つのが嫌いなので、葬儀はやって欲しくはありません。が、それでは知人・友人が納得しないかもしれません。そのため、葬祭を実施するという前提で考えます。
遺影ですが、ちゃんとした遺影を撮影すると1万5千円〜はかかるようです(参考:素顔館 http://sugaokan.com/index.html)。
保管するサービスをやっているところもあります(遺影バンク https://ieibank.com/)。こちらはネットで無料となっていますが、遺影を預けているということを証明するカードを発行して千円程度を徴収しています。
◆葬儀
葬儀の費用というのは、はっきりしませんが、追加費用不要でやってくれるところもあります(参考:小さなお葬式 http://www.osohshiki.jp/)。ここだと、20万円〜50万円くらいでできそうです。
前述のように、はでな葬儀をやって欲しくない、できれば“なし葬”にしてもらいたいのですが、少なくともお骨にはしてもらわなければならないので、費用は発生します。
実際にやったとすると、やっぱお食事の用意とか、お香典返しの費用とか見込まなくてはなりません。そこそこは必要かと思います。
◆お墓の処分
私の祖父が墓を立てておりまして、大田区に寺があります。しかし、親不孝者の私は“おひとりさま”で、係累もいないことから、墓は無縁仏になってしまいます。そのまま放置しておくわけにもいきませんので、墓を処分する必要があります。そういうことを専門にやっている業者さんもいるようです。(参考:墓じまい https://magokorokakaku.com/)。37万円程度でできるようです。
◆散骨
お墓がなくなってしまうと、自分が入るところがありません。
そうなると、散骨という手法しかとれなくなります。代行散骨で十分(参考:https://www.kaiyo-sankotsu.com/lp1/?utm_source=google&utm_medium=cpc)。 5万円くらいでできそうです。
◆知人への連絡
あらかじめ連絡先の一覧を作り、エンディングJVに登録しておきます。連絡先は時間経過とともに変化するものですから、差し替えが可能な方がいいです。ネット等を使ってできると便利です。
遺影の写真を通知と同封してもらいます。この写真を使ってと、あらかじめデータを登録しておきます。
送付する手紙の文面も用意しておきます。
「突然のご連絡で恐縮です。このご連絡が皆さま方のお手元に届いたということは、すでに私が冥界の住民になったということです。葬儀はすでに終了しておりますが、生前、いろいろとお世話になった皆さま方には、ひと言お礼を申し上げたいと思いまして、葬儀後、連絡が行くよう、手配しておりました。・・・・20xx年〇月〇日逝去 □□□□」
費用としては、書状の印刷費、写真の印刷費、切手代、手間賃。1通300円とみても、100通出せば3万円。
◆部屋の清掃
<私の死去にともない部屋の清掃が必要となる場合は、できるだけキレイになるようお願いします>
(参考:ラストクリーニング http://last-cleaning.com/loneliness-death-cleaning-expense-1045) 最大で50万円あまりになるようです。かなり、かかりますね。
◆同じマンションに住む皆さんにお礼
ご迷惑をお掛けしたかもしれません。お手紙を添えて、お礼の品をお渡ししたいです。
1戸1万円として、50万円くらいかかります。
◆遺品処理
<家財の整理:廃棄をお願いします。コレクション類を含めて処分してかまいません。欲しいという方がいましたら、無料でさし上げてください>
この遺品処理。儲かるかと勘違いされているかもしれませんが、実際は、かなりの廃棄物処分代がかかります。今のところ想定できませんが、30万円くらいを見込んでおきましょう。
◆マンションの処分
3千万円で買った部屋ですが、もう14年居住。死ぬときまであと23年住むと考えると、37年。もう、ほとんど価値らしいものはないのかもしれません。駅から近いので、売れることは売れると思いますが、期待薄です。
◆もろもろの解約手続きをもれなくやる
<電話の解約:お願いします 携帯電話の解約:お願いします>
<電気の解約:お願いします ガスの解約:お願いします 水道の解約:お願いします>
<通帳・カードの解約:すべてお願いします。所有するカードは、まず銀行カードとして、〇〇、××・・・。キャッシュカードとして、△△、□□・・・) ※今のうちからすこし整理しておかないといけないな。
<ケーブルテレビの解約:お願いします。>
<インターネットの解約:お願いします>
◆最後に、財産の精算
ここまでいろいろやってきて、精算が終わったら、残った財産を関係者に譲ります。
しかし、ざっくりで300万円くらいかかる算段になってしまいました。意外と費用はかかります。
そのとき、相続するほどの遺産が残っているか、疑問です。
その区分をどうするか・・・、っていう課題は今後の検討事項となります。
ほんと、単にご臨終するだけなのに、きちんと始末をつけようとすると、いろいろと大変です。
だから、こういうものをセットで提供するビジネスって、これから必要になってくると思うんですよね。
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