しろうと考えではありますが・・・

事業承継機構

はじめに断っておきますが、これが実現すると、途方もなくたくさんのお金がかかります。


国が事業承継の補助金を始めるとアナウンスしました。
私たちの公社も事業承継の支援サービスは行っていますが、なかなか簡単なことではないようです。

さて、事業承継にも2種類あります。
一つは、既存事業が右肩下がりになってしまって、このまま続けても打開する見込みは薄い。かといって、どういう風に転進すればいいのか見当がつかない、といったもの。
廃業か否かといった選択です。

もう一つは、事業そのものは何とか継続できているのだけれど、社長が高齢化してしまい、跡継ぎがいても事業を引き継ぐ気持ちがない、といったケースです。
ここでは、もっぱら後者の例を考えています。


後継者がいないケースでも、状況はそれぞれに違います。
昔でしたら、オヤジが社長で、息子がいれば、その子が会社を引き継ぐのが当たり前でした。ですが、オヤジがまだ若ければ、命令系統が混乱しますので、通常、息子は他社に修行に出されます。
しかし、私たちの世代になると、「子どもが会社を継ぐか継がないかは、子どもの意思次第だ」と考える経営者が多くなりました。
ですので、息子がいても、オヤジの事業とはまったく縁もゆかりもない業界に就職したりします。
そのまま時が過ぎ、オヤジが60代の半ばを過ぎる頃になると、息子も40歳前後になっていますから、就職先の企業でも中堅どころです。
家族もいて子どもも小さい。今ある安定した生活を捨てて、オヤジの会社を継ぐのは、ちょっとばかり勇気がいるところです。
だから、なかなか仕事を継ぐ決断ができません。
もちろん、就職先で戦力にならず、いつでも実家に帰ってこられる息子さんもいるでしょうけど、そんな子どもに会社を継がせたくはありませんよね。
だから、難しいのです。

 
では、従業員の中から優秀な者を選んで、その人に承継してもらえるか、ということもなかなか簡単にはいきません。
まず、会社内に年功序列の空気があると、年下の優秀な経営者候補を抜擢すれば、もめます。
“社長の息子”なら特別扱いも通りますが、同じ従業員仲間の誰かが、ある日突然企業のトップに座るというのは、なかなか古参のみなさんには納得できないことでしょう。

ですが、もっと難問なのは、税金の問題です。
親子間の相続税だって、負担が大きすぎるというご時世ですから、ましてや赤の他人では、その負担に耐えられないと考える方が普通です。
もちろん値打ちの無い会社で税金なんかかからないのであれば、そんな会社は承継したくありませんし・・・。

 
さらに、もう一つ難しい問題があります。
中小企業の場合、経営者の懐と会社の会計とは、渾然一体となっているところがあります。
例えば、会社の回転資金を借りるために、社長の邸宅が抵当になっていたりするってことがあります。
引退する社長は、その際に、こういった自分の負債は清算しておきたいと考えます。自分にも家族がありますからね。
そうなると、その負債部分も、後継者が引き継いでいくことになります。
そして、その後継となる従業員にも家族があります。
「何もそこまでして、あなたが会社の犠牲になる必要はないじゃありませんか」と、奥様は反対します。
そんなこんなで、従業員に承継するのも難しかったりするのです。

そこで提案。「事業承継機構」の設立

 
大きな企業が傾いたときに、産業再生機構という組織が登場することがあります。「日本の産業の再生と信用秩序の維持を図るため、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者に対し、事業の再生を支援する」ところだそうです(Wikipedia)。
でしたら、「有用な経営資源を有し、それほど過大な債務を負っていないにもかかわらず事業の承継が難しい事業者」の方が、受け入れるリスクは少ないはずです。

そういった組織を国が作って、前記のような承継困難企業が発生した場合は、取りあえず、国の手に債権も債務も委ねて、ともかくも事業を続けてもらう、そうして、徐々に新しい経営体制に移行してもらう。
こんな仕組みがあってもいいんじゃないか、という提案です。
いかがでしょうか。
ただし、公費が支出される以上、かなり厳密な審査と、緻密が計画が必要かと思われます。もちろん、口利きや忖度なしで、お願いします!

それにしても、新しい事業承継の補助金、明日発表(h29.5.8)。気になるところですね。
 


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