しろうと考えではありますが・・・

次世代創業者育成プログラム
本題とは関係ないのですが、前回の続きです。
多摩動物公園にチーターという猫科の動物がいます。チーターのオスは普段、メスや子供たちから仕切られたところで生活します。いつも一緒にしていると、繁殖しなくなってしまうからだと解説書きにはありました。
 
ところで、東京都では新しい知事の目玉政策として、「子育て支援」に乗り出すようです。
その絵柄は次のステップを踏んでいます。
若者の就労支援→出会い・結婚支援→親子の健康作り→高齢者などによる多世代支援→子供・子育て支援

役所が「出会い系」の事業まで手を出すのには疑問もあるところですが、どうやらそこまでやらなくてはならない状況だと認識されているようです。
ですが、個人的見解から言わせてもらうと、役所が繁殖管理までするようになったら、その生きものは<近い将来の絶滅が危惧される種>と、覚悟すべきだと思います。

ところで、灯台下暗しとはよく言ったもんで、東京都庁には独身男性職員がたくさんいます。
世間では生涯独身率が男性で20%くらいだと心配されていますが、都庁のその比率はこれを超えているはずです。
かくもうす私も、その一人でありました。
別に、主義として独身を通したというわけでもありません。男だったらどこかで家庭を持つのが当然という意識が根強く残っていた時代を過ごしてきました。
しかし、「何かを犠牲にしなければこの先乗り切れない」と考えたときに、いちばん支障が少ないと思ったのが、「家庭を持つこと」だったので、なりゆきでこうなってしまったのです。たぶん、ムリに家庭を持ったとしても破綻していたと思います。

今の若者が家庭を持たないという気持ちも、これに近いのではないでしょうか。


さて、本題に移りましょう。

私は、この福祉保健局のスキームを見たときに、そのまま企業の後継者支援に引きなおせないかと思いました。実は、企業の事業継承も手詰まり状況になっているからです。
この事業の最大の特徴は、「実際に企業を創業させる」という点にあります。いきなり独り立ちさせるのです。

実際に会社を立ち上げさせるのはリスクが大きいので、シミュレーションで仮想的に事業運営を行わせるという例はあります。
しかし、現実に企業経営をやってみなければ、なかなか手応えは感じられません。
そこで、親からも相応の費用を捻出させて、これと行政側の補助金を合算し、本当の会社を設立させるのです。

そして、企業の育成段階に応じて、各種の支援プログラムを行います。
例えばこんなパッケージ支援を考えてみました。

子育て支援だと   経営支援だと  
就労支援 後継者教育 企業の後継者を集めて事業計画を作らせ、実際に創業するまでをサポートする。
出会い・結婚支援 販路開拓支援 創業した若手経営者の販路開拓を手助けする。
健康作り支援 経営内容チェック 財務内容などをチェックし、事業運営の安定化を図る。
多世代支援 提携先拡大 生産協力、資金、販路面での協力企業を募る。
子供・子育て支援 事業拡大支援 新規事業の開発に向けた助言・援助を行う。

おそらくは数年を要する遠大な事業になります。途中で失敗するケースも多いでしょう。しかし、それも経験としては大切です。

そして、各後継者に1人ずつ、専任の中小企業診断士を付けることにしましょう。診断士さんもベテランよりは、若手の人がいいと思います。両者で併走するような仕組みを作ります。
一方、ベテランの先生に、若手診断士のメンターとして、必要な助言を行ってもらいます。年に数回、報告会のようなものを設けてもいいでしょう。起業家同士を競わせると同時に、補佐する診断士にも競争をさせるのです。そのようにして、両者の実力を向上させます。
これらの経費は行政で負担してもいいと思います。

これまで企業経営は、企業の自己責任で行うものと考えられてきました。
しかし、それでは後継者が育成されません。高齢化した経営者の中には、「自分の代で事業をたたもう」と思っている人が多いのです。
社長さんが70歳だと、お子さんは40代でしょう。民間企業にお勤めならば、バリバリの中堅クラスとなっています。簡単には会社を辞めて親の企業を継ぐことはできません。家族もそれまでの安定した生活を見切ることに、反対すると思います。

だったら、最初から後継者を企業家として歩かせるという方策もあっていいのではないでしょうか。
広い目で見れば、それも社会政策のひとつだと思います。

だって、「出会いと結婚」が行政の施策になる時代なんですから。

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