しろうと考えではありますが・・・

感動創造コンサルタント

世の中に経営コンサルタントと呼ばれる方は多々、いらっしゃいます。
中小企業診断士のような資格を持っている人が大半ですが、コンサルタントそのものは明確な資格ではありませんので、私が、「〇〇コンサルタント」と名乗ってしまえば、コンサルタントになります。

さて、話は変わりますが、同じく、世の中には「ブラック企業」と呼ばれる会社が存在するようで、ま、それも定義はないのですが、一般的には残業代を踏み倒す会社や、自爆営業といって「営業目標に到達できなかった売り場は、従業員が商品を買い取れ!」というような無茶な命令を出しているところをいうようです。自爆営業というのは、実は目新しい方法ではありません。昔から、「親類縁者をみんな契約させたあげく解雇されてしまった外交員」とか、いうのもありました。
最近ではこういう古典的なブラックさに加えて、「24時間営業なのに、夜中は従業員1名で店番をさせたために、しょっちゅう強盗に入られてしまった飲食店」や、「入社間もない従業員をどんどん管理職に登用してしまい、過労で潰してしまう販売店」、あるいは、「態度のハッキリしない従業員に、『やる気がないなら、今すぐ窓から飛び降りろ』と命令する社長のいる会社」、「従業員の借金を肩代わりする代わりに、違法スレスレ、あるいは違法そのものの仕事をさせる会社」なども、ブラックの部類に入れられています。
しかし、人手不足の今日、こんな会社からは従業員がどんどん逃げ出してしまいますから、就職希望者が途絶えると店舗が維持できなくなってしまいます。

ところが、最近耳にするところでは、こういうのとは違った、「明るいブラック企業」というのも、出現しているという噂です。
職場のノリは体育会系。「さぁ、みんな。今日も頑張ろう! お客様の笑顔が僕たちの生き甲斐だ! 残業代なんかいらないぞ!」ってな具合らしいのです。
にわかには信じがたいのですが、私も、ある日食堂で、若いサラリーマンが「オレ、もう30時間連続で働いてるよ!」「オレなんか、50時間続けて働いたことだってあるぞ!」って、明るく会話をしているのを聞いて、正直驚きました。
私もそこそこ連続稼働したことがありますし、そういう同僚を見てきたこともあります。
ですが、そんな日々が当たり前になると、中途で病魔に冒されてしまい定年まで職業生活を全うできなかったり、家庭崩壊したり、ということが、少なからずあります。

ま、それはそれとして、関心事は、「明るいブラック企業」というのは、どのように成り立っているのだろうか? という点です。

明るいブラック企業が従業員をつなぎ止めている秘密には、何か労務管理上のテクニックがあるはずです。
いくらなんでも、金を積んで文句を言わせない、なんてゆとりのある会社はブラック企業にもいないでしょうから、それなりに経営者も工夫をしているはずです。
いろいろ想像してみることは、さほど難しくありません。(※どこぞの公共機関で、その辺のところを調査研究してみてくれませんか?)

まず、自分たちが売っている商品・サービスの価値を、従業員一人ひとりに教え込み、ほとんど信念の域にまで高めること。
「今、これを買えばお得ですよ!」という言葉によどみがあれば、心の動揺が顧客にも伝わります。ですから、経営者自らもその商品を惚れ込まなければならない。ジャパネットの社長が、自分で使ってみて「良い」と感じられた商品だけコマーシャルするのと、同じです。

第二に、職場の人間関係がひじょうにいいことです。
イジメや暴力で人を従わせたとしても、長続きはしません。
もちろん、「アイヒマン実験」のようなマインドコントロールが存在しないとは言えませんが、いずれにせよ強制力だけでは、従業員を長くつなぎ止めることはできないでしょう。安い給料、ぎすぎすした人間関係の職場で自爆営業などさせられたのでは、とっとと退職した方がましです。
おそらく、明るいブラック企業内部では、従業員同士の絆が強く意識されるような仕組み、あるいは自分の責務に強くコミットするような仕組みが作られているはずです。

第三に、顧客や取引先と会社との関係も良好であるはずです。
何かにつけて因縁をつける客ばかり訪問されるようでは、働く側が嫌になってしまいます。仮にそういう顧客様がいらしても、うまくマネジメントする手立てが予め決められていなければなりません。そうでないと、怒鳴られている従業員が「自分は周りから見捨てられている」と思ってしまいます。
これは、私の個人的見解ですが、「人間関係のストレスは人間関係で解消される傾向がある」という説を持っています。つまり、顧客や上司からストレスを受けやすい職場では、そのストレスは部下や同僚へのイジメに繋がりやすくなる、という見方です。
逆に、顧客から感謝の言葉などを頂戴できると、従業員のやる気はことさらに高まります。そういう工夫を織り込むのも、企業経営の妙だと言えます。

そこで提案です。
世の中にたくさんあるコンサルタントの方で、どなたか、「当社は、働く従業員の感動を創造します」というような支援をする会社は、ありませんでしょうか。
日頃、多くの企業と接触しているコンサルタントの方なら、そういう観点で企業を観察すれば、ひじょうにうまくやっている会社が、どのようにやっているのかを把握できるはずです。

ブラック企業ができることならば、清廉潔白な真面目企業ができないはずはないのです。

とはいえ、こういったことにお金をかけようという経営者の方って、たぶん少ないのでしょうねぇ。
だから、まずは、そういう雰囲気を醸成することが大切だってことを、経営者の方々に知らしめることが必要だと思います(※どこぞの行政機関で、そんなことに取り組んでいただけませんでしょうか?)


以前、私が経営革新のお手伝いをした企業さんで、IT関係の会社さんでしたが、そういった企業内の雰囲気を高めるということに熱心な経営者さんが、いらっしゃいました。
自らもITエンジニアだったんですが、特定派遣の会社でして、個々の従業員は自社内ではなく派遣先の企業で過ごす時間が大変長いのだそうです。そこで、行き詰まってしまうと、どうしようもなくなってしまう。
従業員同士をほっておいたのでは、なかなか顔見知りになる機会も少ない。そのため、わからないことを聞く相手もいない、という状況だったそうです。

そこで、その会社では、毎月誕生日会をやったり(さらにその様子を従業員の故郷の家族に中継したり)、バーベキュー大会をやったり、職場旅行をしたり、社長や従業員ブログを作ったり、いろいろと人間関係を深めるような工夫をしていました。

まだ、ITプチバブルの頃でしたし、その後、リーマンショックなどもあったので、それが続いているかわかりませんが、今でもその会社は多方面で活躍しているようです。
そういう、ホワイトな企業が、1社でも増えるように、「感動を創造するコンサルティング」があってもいいのではないかと、私は思います。


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