しろうと考えではありますが・・・

まぼろしの経営力向上プロジェクト その4
〔3つの企業レベル〕

3つの企業レベルについて、当時、私が考えていたイメージは次のようになっています。
そして、信長→秀吉→家康への企業成長を促そうというのが、事業フレームでした。

信長型  経営者の行動力で技術・品質を売り込む! 
      長 所 短 所
経営者自身の資質が高い(知識・技術力・先見性がある・人脈が広い・経験が豊富)。 人材が育たない。 
経営者が先頭に立って営業活動を行う。 経営者がいないと、物事が先に進まない企業体質になる。
商品のブランド力、技術の水準が高い。 特定商品への依存度が高い。
創業直後の企業を押し上げていくためには、優秀な経営者の存在が不可欠である。経営者のワンマン体制であるため、即断即決で効率のいい企業運営ができるが、反面、経営者が思い込みで暴走すると止めることができなくなる。
ニッチな分野での単発勝負には強いが、主力商品の売上が下がると、経営に大きなダメージが生じる。

 

秀吉型    気配り上手で顧客のハートをつかむ! 
長 所 短 所 
徹底的に顧客のニーズを把握。 顧客の意向に振り回される。
積極的に商品情報を発信。 競合企業としのぎあいになる。
複数の商品を回転させながら、需要に対応。 自転車操業に陥りやすい。
社内でも従業員の意見をよく聞く。 居心地ばかりが良い会社になる。
顧客の手間を省くため一貫生産体制などを整備し、他社との差別化を図る。経営者だけでなく、従業員も顧客志向を常に意識しており、社内の風通しも良好。
企業PRも長けている。このため得意先から「小回りがきく」との評価されるも、値下げ要求を受けやすく、競合との価格競争に陥る危険もあって、資金繰りに苦労が多い。

 

家康型  仕組みや制度を練り上げて安定経営! 
  長 所 短 所 
経営計画に基づく企業活動。 臨機応変な対応に足かせ。
マニュアル等を整備し、何ごとも組織的対応で臨む。 ベテランの退職で「暗黙知」が失われる。
発生した問題を解決するよりも、問題が発生しない工夫を凝らす。 安定経営が長く続くと、社会環境とのズレを見逃しやすくなる。
強い財務体質。 コスト計算が甘くなる。
経営者は営業活動の前面から退き、組織体としての事業運営が中心となる。事業承継も万全で、BCPにも前向きに取り組む。
しかし、企業規模が大きくなり外注化が進むと、技術的なノウハウの継承が先細りになる。顧客との接触頻度も落ち、経営環境の変化に対する感覚が鈍る。マニュアルの機械的運用に終始し、経営の柔軟性が低下する。


これらは、ランチェスターの第二理論→第一理論や、レッドオーシャン→ブルーオーシャンへの事業展開にもかなっていて、それなりのものになっているはずです。

これに質問項目を作って、回答状況から、
「あなたの企業の信長度は80%」→「事業計画・資金計画の策定ができないと、身近な従業員が離反します」
「あなたの企業の秀吉度は70%」→「毎日の会社経営が忙しいのはわかりますが、事業承継への配慮も大切です」
「あなたの企業の家康度は65%」→「経営環境の変化を見逃していませんか。組織の硬直化にも気をつけるべきです」

と、いった風な切り返しを作ります。

私は、この3つのレベルを超える第四のレベル、「既存の価値観を度外視してイノベーションに挑戦する、龍馬型経営」というのも、考えていました。

じゃ、なぜこの案が実現しなかったかって?
その理由は、最初に説明してあります。
「根拠となるバックデータ」がない、一職員の考えだけで考案された事業案だからです。その筋の権威者が、きちんとした分析に基づいて、客観的な理論を組み立てなければ、ふざけた案としか受け止めてもらえないのです。
ですから、私は提案した最初の時点で、「実現は無理」と考えていました。

都庁において、もっとも発言権があるのは知事。そして、議員。そういう人たちは、都民の信託を受けて行政に参加しています。職員はその意見を受けて、実現のための仕組みを作り、それを実行するのが役割です。
民主政治というものは、そういうものですから、私はそれでいいと思っています。逆に、職員の側から自分への利益誘導を兼ねた案を出すようになると、ろくな事になりません。

職員提案制度というのもありますが、あれは、「あんなこと」や「こんなこと」など、いろんな雑念を持ってしまったために「物言わぬ職員」が増えてきたことを危惧してのこと。
若手職員は雑念がないから、いろんな提案ができます。が、「発案者」と「実行者」が異なるというのが、致命的なウイークポイントとなっています。

私のような者の提案はおそらく好感を持たれません。新規事業を担当するセクションは、大概の場合、「人」が足りません。「どこも人手が足りないんだから、余計なコトするな」ということです。仮に提案が採択されると、「だったら、1から10まで全部お前がやれ」と言われて、押し付けられる。
だから、うかつに提案できないのです。

とはいうものの、ボツになることを承知で、いろんな案を作ってしまうのですよね。
だってそうでしょう。そうじゃないと、毎日働いていても、つまらないじゃありませんか。

そんなわけで、退職して身軽になったので、無責任にいろいろ提案できるようになり、楽しませていただきました。

ということで、

どうです、私の経営力向上プロジェクト、どなたか採用してくれませんか。

本シリーズは、これで、しばらくお休みします。ネタも切れましたので。

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