しろうと考えではありますが・・・

面接官の甘辛度を調整する

ここのところ、労働力不足で就職活動も売り手市場に傾きつつありますが、それでも就活はかなり加熱ぎみでして、一人の学生さんがたくさんの会社にエントリーするため、採用担当はずいぶんと苦労していると思います。
小さな会社だと、そんなことはないのですが、大企業だと一度にたくさんの応募者の面接をすることになりますが、面接を少数班に小分けにして行うと、面接官の評価のブレが問題になります。
具体例を出してご説明した方が分かりやすいかと思います。

採点 順位 面接官
応募者 大甘班 平凡班 厳格班
Aさん 80 1 80
Bさん 70 2 70
Cさん 60 60
Dさん 60     60  
Eさん 50     50  
Fさん 60     60  
Gさん 30       30
Hさん 40       40
Iさん 30       30
合計点 480   210 170 100

この面接では、応募者が多数だったため、4人ぐらいの班を3つ作って、別室で面接することにしました。
一見するとAさんが一位になるのは順当のように思われますが、合計点を見ると、「大甘班」が「厳格班」の倍以上になっています。
つまり、「大甘班」の評価が全体の評価となっているということです。

事務方もそういう問題が生じるのはよくわかっています。
こういった場合、最後に各班が結果を持ち寄り、誰を合格者とするかという総合判定が行われるのが普通です。
「間違いなく合格圏内」「絶対不合格圏内」という人については、疑義が生じません。しかし、ボーダーライン層にいる人をどうするかが、いつも問題になるのです。
「平凡班」「厳格班」は、「大甘班」の点数が高すぎると感じます。しかし、そういうことを言ったのでは失礼なので、そうは言いません。
「自分たちの見ていない応募者を云々することなど、我々にはできない。そもそも、こういうやり方で採用を決めること自体、おかしいんじゃないか!」と、矛先は事務方に向けられます。

そこで提案。

採点 順位 面接官
応募者 大甘班 平凡班 厳格班
Aさん 80 1 80
Bさん 70 2 70
Cさん 60 60
Dさん 60     60  
Eさん 50     50  
Fさん 60     60  
Gさん 30       30
Hさん 40       40
Iさん 30       30
合計点 480   210 170 100
1班あたりの平均点=
合計点/3
160  
甘辛指数=
1班あたりの平均点/
各班の合計点
0.76 0.94 1.60
甘辛指数×
各班の合計点
160 160 160

まず、全体の合計点を出します。
その合計点を、班に数で割ります。そうすると、班あたりの平均点数が出ます。
これを各班の合計点を割ります。
この数字を、私は「甘辛指数」と名付けました。点数が小さいほど、評価が高い(甘い)ということになりますね。
そして、甘辛指数を各班の合計点に掛けると、当然のことながら、班別の合計点は横並びします。
つまり、班ごとの甘辛が消えたことになります。

さらに、この甘辛指数を、応募者個々人の評点に掛けてみます。

元の
採点
甘辛調整後
の採点
順位 面接官 
応募者   大甘班
甘辛指数
0.76
甘辛調整後
の点数
平凡班
甘辛指数
0.94
甘辛調整後
の点数
厳格班
甘辛指数
1.60
甘辛調整後
の点数
Aさん 80  61 2 80  61
Bさん 70  53 70  53
Cさん 60  46 60  46
Dさん 60 56 60 56
Eさん 50 47 50 47
Fさん 60 56 60 56
Gさん 30 48 30 48
Hさん 40 64 1 40 64
Iさん 30 48 30 48
合計点 480 479 210 160  170 159 100 160
平均点 160 160        
甘辛指数=
1班あたりの平均点/
各班の合計点
  0.76   0.94   1.60  
甘辛指数×
各班の合計点
  160   160   160  

結果的に、Hさんの方がAさんより順位が上、ということになりました。

いちいち電卓をたたいていたのでは、この点数計算はひじょうにたいへんになりますが、今は、Excelの時代ですから、予め表さえ作っておけば、結果は瞬時に出ます。
万能ではありませんが、面接官の個人的評価によるブレはかなり軽減されます。

ただし、この提案には3つばかり大きな欠点があります。
第一に、これはグループ間の平均値の違いをならすというだけでして、面接官個々人の評価基準のブレまで補正するものではないからです。「平均点はほかと同じだが点数の高低差が大きい」グループがあると無意味です。もちろん応募者個々人に対する面接官の「えこひいき」まで、是正できません。
第二に、事務方が予め、各面接官に、甘辛調整について説明しなければならなくなります。とても、めんどくさいです。面接官側が、この仕組みを即、理解できるとは限りません。
第三に、大甘な面接官に、「自分が大甘であること」がわかってしまいます。他の面接官にも、「あの人は大甘だ」と知れてしまいます。

おそらくは、第三に理由から、私の提案は、なかなか採用されないのです・・・。


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