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電子メールが一般的になってきた頃、都庁内では「メールで労働相談ができないか」という議論が起こりました。
事実、メールで相談を受け付けている労働組合とか、掲示板を活用したりしている労働組合もありました。
しかし、庁内では多くの担当者はこれに賛同しませんでした。
私も、メール相談には賛成できません。
というのも、「困って相談に来る人は、自分に不都合な情報を隠そうとする」からです。
このことは、“ずるい”というよりも、“やむを得ない”ことだと思います。
悩みを持っている人は、自分を助けてくれる人を求めて、あちこちと相談窓口をぐるぐる回りします。
その経過の中で、「言ったら自分に有利になることと、言っては不利になること」を学習します。
しかし、アドバイスを出す側としては、とてもそれが困るのです。
例えば、労働問題といえば「解雇」がその典型になりますが、「退職届をすでに出したか、まだ出していないか」によって、その後の対応は大きく異なります。だから、アドバイザーは必ずこのことを確認するはずです。
逆に言うと、「すでに退職届を出してしまった」という事実を話すのは、相談者にとっては不利に働きます。だから、それを秘匿しようとする。人間だからやむを得ないと思います。しかし、不十分な情報からは、不正確な回答しか提供できません。
こうしたことから、相談はアドバイザーと相談者との情報のキャッチボールによって行われるのが普通です。
「メール」だと、それができないのです。
また、「掲示板方式」だと、相談も回答も外部からの任意に行われるので、手間はかからないのですが、必ず“掲示板荒らし”と呼ばれる人が出てきますし、「自分で質問して自分で答えて悦に入っている人」も発生しかねません。あらぬ情報など書き込まれては、管理者の責任が問われかねません。
そこで提案。 |
DJ方式の悩み相談室! |
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ラジオのディスクジョッキーは、一般からリクエストを募集し、局側がこれを吟味して放送します。
それと同じ方式で、一般から「メール」で相談事を公募するのです。
とはいえ単に「何か悩みはありませんか」と広報すると、それこそいろんなものが集まってしまいますから、特定のテーマを決めて相談事を集めます。
集まった相談事の内容には、個人が特定できるような情報とか、企業秘密に属する情報とか、誹謗中傷に類するものもあろうかと思いますので、事務局側でそれを選別・修正します。
こうして事前処理を終えた相談内容をスレッドを立てて公表します。
また、その相談内容を専門家に見せて、フリートーキングを行い、その結果をさらに吟味して「模範解答」を作成します。メールグループやフェイスブックなどを活用してもいいでしょう。
ここまでやったら、相当いいものができますよ。
それに何より、担当した職員の実力がかなり上がります。
もっとも、今の役所は内部に専門家を育成しないシステムになってきていますから、体制的にはかなり厳しいかもしれませんがね。
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