しろうと考えではありますが・・・

中高年オタク向けツアー in Tokyo
最初に言ってしまいますが、そんなツアー組んだって、希望する人はいないはず。
でも、海外では、オタク系のコンベンションがけっこうビジネスとして成功しています。
ありえるかも。

日本は、若い人たちにお金がありません。
ところが、子育てが終わった年寄り世代は、老後資金を貯め込んでいます。
こうしたことから、今の「仮面ライダー」や「戦隊もの」は、「おじいちゃんとお孫さん」をターゲットととした企画を組んでいます。

だったら、そんな手の込んだことをせずに、私たち高年齢者オタクが自然に楽しめるイベントを考えてみてはいかがでしょうか。
実際、昨年、『電人ザボーガー』のリメイク映画を見に行ったら、映画館は足下もおぼつかないおじいちゃん達がたくさん来ていましたし・・・。
※うんちく:電人ザボーガーの“ザボーガー”の由来は、監督がやる気が出ず、「さぼろうかぁ」と言ったことに由来するということです。
こういうのを「おたく知ってる」と言って自慢するのが、オタクです。

現代美術館で夏に催された『特撮博物館』もずいぶんよい仕上がりになっていて、最終日近くには、入場待ちが出てかなり混雑(混乱?)したみたいです。

当然、私も行きました(しかも2度も)が、来場者の年齢層も高く、お堅い東京都現代美術館のファン層拡大には、かなり貢献したのではないでしょうか。


前口上はこれくらいにして、早速出発することとしましょう。
中高年オタク向けツアー in Tokyo!   
始発駅は西武池袋線の大泉学園駅にしましょう。
ここは、日本アニメの発祥の地。
今でも東映アニメーションがあって、駅には銀河鉄道999の車掌さんのオブジェがあります。

まずはここで記念写真。

うんちく:近所の商店街には銀河鉄道999をかたどった街路灯が立っています。
ちなみにこの商店街は「ゆめーてる商店街」です。名前の由来は・・・、説明不要ですよね。
西武新宿線の上井草駅前には、ガンダムのブロンズ像があります。
近くにサンライズの本社があることから、地元の要請があって作られたそうです。
けっこうカッコイイです。

うんちく:ガンダムはストーリー内でも「白いモビルスーツ」と呼ばれるように、原案では白っぽかったようですが、オモチャ会社の要請により、「白・赤・青・黄色」の塗装となりました。「そうでないと、子供に受け入れられない」という理由でした。

うんちく:当初、ガンダムのプラモデル商品化権をもっていたスポンサーは、もっぱら低年齢の子供たちを対象とした玩具を販売していました。そこで少年たちに「ガンダムはどう?」を尋ねましたが、「難しすぎる」という感想だったようです。
このため、会社はガンダムのプラモデル商品化権をバンダイに譲ってしまいます。
実は、ガンダムに熱狂していたのは、もう少し年齢層の高い中学生以上だったのです。
結果は、ご存じのとおりです(出所:語れ!機動戦士ガンダム KKベストセラーズ)。
銀河鉄道999だったら、本物の機関車を見たいですよね。

東京都立の小金井公園(中央線・東小金井、武蔵小金井)には、本物のSLが保存されていますよ。
また、近くの江戸東京たてもの園には、『千と千尋の神隠し』に登場したような銭湯も保存されています。

うんちく:ちなみに小金井公園に保存されているSLはC57ですが、銀河鉄道999の機関車はC62です。こういう細かいところにこだわるのがオタクです。
次なる目的地は京王線の調布です。
ここは日活映画の撮影所があるところで、角川大映撮影所には、大魔神のかなり大きい像が飾ってあります。

ちなみに、調布という地名は、昔、布で税金を払っていたということに由来します。つまり、産業都市だったわけです。
そして、布をさらすにはキレイな水が必要。昔の映画も、フィルムを現像するにはキレイな水が必要。その共通点から映画産業が定着したと言われています。

うんちく:調布駅と布田駅のちょうど中間あたりに、『アジアン・タイペイ』というエスニック料理店があります。
そのオーナーは、私たちが子供の頃に憧れていたひし美ゆり子さん(というよりウルトラ警備隊のアンヌ隊員)のご主人です。
そんなわけで、当時に関係者が集まることも多いようです。
私は以前から、この通りを「アンヌストリート」と名付けてしまえばいいのでは、と考えています。けっこう効果的な街おこしになるんではないでしょうか。経費もかかりませんし。
もちろん、ご本人の承諾が必要ですが・・・。
近くの深大寺に鬼太郎茶屋があるので、ちょっと寄ってみましょう。
ご存じのとおり、作者の水木しげる氏が長年にわたって調布市の住民であることから、深大寺にこんな茶屋ができました。

うんちく:水木氏が、戦争で片腕を失ってから漫画作家として生活を維持してきたことはよく知られていますが、実は、子供の頃から「神童」と呼ばれるほど絵画が上手く、将来が属望されていた少年だったことを、あまり知る人がいません。
作風も、今の鬼太郎とはまったく違い、芸術的な作品が数多く描かれています。
京王線を後にして、次に訪問するのは小田急線の祖師ヶ谷大蔵です。
言わずと知れた「ウルトラマン商店街」がここにあります。かつての円谷プロダクションがここにあったことから、由来します。

うんちく:ウルトラマンのふるさとは、当初、実在するM87星雲に設定されていましたが、台本の誤植によりM78星雲とされたまま、現在に至っています。

うんちく:初代ウルトラマンのお面は、A、B、Cの3タイプあります。
Aは、初期の構想により「口が動く」という設定のため、軟質な素材で作られていたので<しわ>が寄ってしまい、使用中止になりました。
BとCは一見区別がつきません。この違いは長年私にとって謎でしたが、よく見ると、Cはわずかに笑みを浮かべています。Bは、どっちかというとおちょぼ口です。
なぜ変えたかについて、当時の美術関係者は上役に「正義のヒーローは、最後に不敵な笑みを浮かべるものだ」と説明したとのことです。
実は、ウルトラマンの顔のデザインのベースには「弥勒菩薩」が含まれています。だから、アルカイックスマイルを浮かべていなければいけないのだ、と私は勝手に憶測しています。

うんちく:ウルトラマンの活動時間が3分間なのは、制作費を節約するというオトナの事情からです。そのためにカラータイマーが胸に付けられました。しかし、デザインした成田亨氏はこれに不満で、自作の絵画に登場するウルトラマンにはカラータイマーが付いていません。
祖師谷大蔵から砧方面に坂を下っていくと、東宝の撮影所があります(その途中に、かつて円谷プロがありました)。

東宝スタジオの玄関先には、大きなゴジラの像があります。

うんちく:ゴジラが劇場公開されたのは、昭和29年。その反響はとても大きく、海外に輸出されるとかなりの外貨を稼ぎました。このため、国は「怪獣映画の輸出」を国策として考えたようです。今のアニメ振興と似てますよね。
でも、当時はもっとすごくて、何と「怪獣映画の制作費に補助金を出した」らしいです。このため、あっちでもこっちでも怪獣映画が作られるようになり、いきおい質の低下を招きました。
しかし、怪獣映画には予想外に費用がかかったのです。
「当時は通常30分ものの番組で250万円から300万円という予算が相場だったが、特撮部分に予算が大きく奪われる特撮作品は、1本の制作費が750万円から1000万円もかかっていた。これに対してテレビ局から支払われる制作費は550万円程度であり、制作が進むに連れどんどん赤字が累積していったのである。(出所:特撮の神様と呼ばれた男 鈴木和幸 アートン)」
でも、円谷英二氏は職人気質で、自分が納得できるまで何度でも撮影をし直させたとのことです。
足を伸ばしてお台場に行くと、等身大のガンダムに出会えます。
迫力が違います。

うんちく:実は2009年にも、同じく等身大のガンダムが近くの公園に展示されたことがあります。
ところが、その位置では、湾岸道路からガンダムの姿がよく見えたため、自動車の渋滞が慢性化してしまいました。当時それを「ガンダム渋滞」と呼んでいたそうです。

うんちく:ガンダム以前にもロボットアニメは数多くありました。ガンダムがそれらと明らかに違っていたのは、「敵・味方」「正義・悪」の区別がつきにくくなったことです。
このため、敵方のパイロットだった「シャア」大佐や、敵のやられ役モビルスーツである「ザク」(その名はザコに由来する)は、今でも主役をしのぐ人気があります。

うんちく:ガンダムに近い作品に「マクロス」シリーズがあります。ガンダムとの差別化で、マクロスの特色となっているコンセプトは、「戦闘機がロボット形態に変形」「歌が武器になる」「男女間の三角関係」です。
最後にもう一度ゴジラと邂逅しましょう。
日比谷の映画街にはゴジラの銅像があります。

うんちく:初演作のゴジラの着ぐるみは2つ用意されましたが、最初のものは、あまりにも重くて使えなかったようです。2番目の着ぐるみについて円谷監督は、「人間的な動きをさせたくない」という意図から、片手を固定し、自由がきかないようにしたとのことです。

うんちく:昭和29年には、東京タワーですら建っていませんでした。そこで、ゴジラの標的にされたのは、銀座和光の時計台です。この高さに合わせるために、当時のゴジラの身長は50mと定められました。今じゃ、小さすぎます。634mのスカイツリーは、とてもなぎ倒せません。

うんちく:当時、東宝は銀座和光の了解を得ずに、ビルをゴジラに倒させました。ビル側はそれに腹を立て、以降、東宝の撮影は禁止されました。その反省から、ゴジラが建物を倒すときは、必ず建物の所有者に了解を得るようにしているそうです。ちなみに、「vsデストロイア編」でも、きちんと事前にご挨拶がありました。きれいにビッグサイトをぶっ壊してくれて感謝します、川北監督。

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