しろうと考えではありますが・・・

高齢者の所有現金一時預かり共済制度
リバースモーゲージ(モーゲッジ)という制度をご存じですか?
「リバースモーゲッジ(Reverse mortgage)とは、自宅を担保にした年金制度の一種。自宅を所有しているが現金収入が少ないという高齢者世帯が、住居を手放すことなく収入を確保するための手段として注目される。自宅を担保にして銀行などの金融機関から借金をし、その借金を毎月の年金という形で受け取る。」(Wikipedia)です。

私も、いちおう邸宅(マンション)呼ばれる小部屋に住んでいます。
身寄りもないので、住むところを購入するのは無意味なのですが、“高齢者になると賃貸物件を借りづらくなる”という話を聞いて買いました。たしかに大家としては、貸した早々に部屋でポックリ逝かれては物件の値打ちが下がりますから、気乗りはしないのも当然です。

しかし、私としても、あの世までマンションを持っていくことはできませんから、いずれこの部屋は無駄になります。そこで、住んでいる区でリバースモーゲージをやっていないか、調べてみました。
やってないんですよね。
「社会福祉協議会が不動産を担保にお金を貸してくれるから、そっちを利用しろ」という回答です。ところが、不動産担保型の生活資金貸付の案内を見ると、「推定相続人の連帯保証」が必要となっています。
相続人がいないから、いずれ無駄になる不動産を何とか換金したいのです。それじゃ、まったく意味がありません。
ずいぶん不親切だな、と最初は思いました。

しかし、よくよく考えてみると、それも無理からぬことなんですね。
まず、区役所には不動産を査定する能力がありません。外部の専門家に頼めば費用がかかります。それは皆さんの税金から支払われます。

査定できたとしても、不動産の値打ちは老朽化するうちに下がっていきます。いつになったら譲渡されるかわからない不動産を担保にして、とりあえずお金を支払っていくというのは難しいです。
さらに、将来、居住者が亡くなって不動産が区の所有物になったとしても、買い手が付くかどうかわかりません。管理もたいへんです。その費用も、すべて皆さんの税金で賄われます。

そういったもろもろのことを考えると、区役所がこの制度導入に二の足を踏むのは納得できます。
しかし、とはいっても、私のマンションは、いずれ国庫の所有物にされてしまうのですよね。
いやですね。それも。

 そこで考えてみました。
相続人のいない高齢者の手持ち現金を行政に貸し付ける制度。

高齢者であっても、そこそこの資産を持っている人は多いです。なぜなら、将来の生活保障が不安ゆえ、自分の老後のために蓄財しておかなければならないからです。しかし、それを目当てにオレオレ詐欺などが横行しています。

高齢者の悩みは、自分がいつまで生き長らえるかわからないこと。
1年300万円で生活したとしても、10年で3,000万円、20年で6,000万円が必要です。そのくらいの資金がなければ安心して隠居生活に入れません。
しかし、楽隠居になれてしまうと、けっこう短命だったり、ボケが早まったりしてしまうから、今度はお金が余ってしまいます。相続人がいなければ、残ったお金はただの紙切れでしかありません。

仮に60歳で定年時に手元現金が5,000万円あったとします。
そのうち3,000万円を区役所に貸し付けるという仕組みを作ります。役所はこのお金の運用益を使って区民向けの施策を行います。元本には手を付けないようにします。
また、相続人がいる場合は入会をご遠慮いただくことになります。区役所が私人間のごたごたに巻き込まれたのでは、面倒ですから。

手元に残した2,000万円で、高齢者本人が年300万円で生活するとしましょう。最初の5年間で1,500万円が消費されます。残りは500万円です。

そうすると年金が出ます。年金は人によって違いますが、仮に国民年金のみ70万円出るとします。
そうなった時点で、区役所は預かった3,000万円を上乗せ評価し、4,000万円にアップします。そこから毎年200万円を本人に返還するようにします。
すると、ちょっと節約すれば、提供者はこれで約20年は生活がしのげます。85歳までなんとかなれば、大概の人は大丈夫でしょう。
お金が底をつけば、どっちみち生活保護に頼らなければならないのですから、こっちの方が良いと思います。

もし、途中解約したいならば、最初の提供額から手数料分を1割程度差し引き、これを残高から減額したお金が本人に戻るようにします。簡単に解約できないようにする仕組みは必須です。
また、残念ながら残額を残したまま本人が没した場合、その残額はすべて、役所側の原資に残るようにします。
死んだ人にとって紙切れになってしまったお金が、生きている人の生活資金として活かされるという制度です。

実は似たような制度に「中小企業倒産防止共済」というのがあります。
取引先の万一の倒産に備えて資金を積むという制度です。
しかし、万一に備えるというよりは、「危険回避のために収益の一部を別に置いておく」という、“安心代”貯金のような性格が強い制度というのが、私の見立てです。

とすれば、それと似たような制度が、高齢者の生活維持のためにも作れはしないかと、ま、考えた次第です。
 同じような制度を民間がやったならば、かなりのリスクが伴います。絶対に手を出さない方がいいでしょう。
しかし、行政ならば、そこそこ信頼はできます。

ただし、行政側が大きなお金をプールすると、それを原資にして、とんでもないところにリゾートホテルを作ったりしようとする圧力がかかりますから、注意が必要です。そうならないことが保証できないなら、こわくて大金を預けられません。
それと、こういう制度ができると、銀行は猛烈に反対すると思います。

そんなわけで、この制度はアイデア倒れになります。
お年寄りは老後の不安のため、せっせと蓄財を続けることになるでしょう。たとえそれが紙切れになったとしても・・・。

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