しろうと考えではありますが・・・

消費税はこんな上げ方もある。

消費税の徴収方法についての論議が盛んですね。
消費税は、ひじょうに身近な税金でありながら、その仕組みを知る人は、あまり多くありません。政治家や官僚と言われる人も同じです。私もあまり詳しくありません。

まず、基本的に知っておいてほしいことだけをお話ししますと・・・

商店は、商品を売ってお金を得ますが、その際、消費税がつきます。

一見、商店が消費税をそのまままとめて納税していると思われがちですが、実際には販売する商品(とか、その材料)を仕入元から購入するときの仕入れ価格にも消費税が含まれています。

したがって、販売額に載せられた消費税全額から、仕入額に含まれる消費税額を引いたものが、実際の納税額になります。

消費税を8%とすると、こんな計算になります。



この仕組みがあるので、消費税を一律に上げないと、イレギュラーがたくさん出てしまって、複雑になるのです。いっぱん消費者はそのことが、よくわかっていません。

今回、消費税の10%へのアップが議論される中で、食料品など生活必需部分の消費税額を抑えるという考え方が出されています。

消費税率を二本立てにすると、ややこしくなるのは確かです。
例えば、食品の消費税を抑えたとき、お菓子はどうするのか。健康食品はどうするのか。高級グルメも店屋物も同一に扱うのか。
お菓子も食品同様とすると、食玩と呼ばれる、おもちゃ90%・お菓子10%の商品はどうするのか。

さらに、食品を構成する仕入れ部分の控除の取り扱いはどうするのか。食品添加物の仕入消費税は、どうするのか。料理の料金の中には、調理器具・食器・運送代なんかもかかっているけど、どこで仕分けするのか。

食品を生活に欠かせない消費とするならば、食品以外の生活経費、例えば家賃、光熱水費をどうするのか。
等々、ややこしい問題は次々起こってきます。
 

これに対し、国は一律の税率にして、マイナンバーを使って、別途割り戻すような案を、逆提案しています。

しかし、これとて、問題がないわけではありません。というか、大問題です。

「いったんは同じ税率で消費税を取って、後から返すのでは実感がわかない」と、政党は反対していますが、それを脇に置いたとしても、マイナンバーカードを読み取るための端末の経費は誰が負担するのでしょうか。まさか一般商店に「買え!」と命じるわけにはいかんでしょう。たぶん、国が負担し、税金で費用を賄うことになるのでしょうが、べらぼうな費用を税金で負担するというのは、いかがなものか。
その後、通信費用などがかかったら、その部分はどうするのか。ポスレジと一体型で使うような場合は、どう切り分けるのか。
プライバシー保護は、ほんとうに大丈夫なのか。マイナンバーカードのような重要なものを、お買い物のたんびに持ち歩いて、なくしたらどうしようか、とか。
等々、こっちも、いささか問題があります。

私個人としては、すべて一律の税率にする方が、すっきりするように思います。
お金も、手間もかかりません。
しかし、こんなこと書くと、非難ごうごうで、ネット上のリンチに遭いかねません。

そこで、提案。

こんな風な、区分けもできます。
今、問題となっているのは、グレーゾーン部分の取り扱いです。
だから、グレーゾーンの税率もついでに低めに抑える。
つまり、こうなります。
グレーゾーンにかからない分野、しかも、仕入れ消費税額の部分でも疑義が生じない分野の商品を線引きして消費税アップしていく。
たとえば、鉱工業製品がそうでしょうし、住宅・家電もそうでしょう。そういう分野だけ、取りあえずアップする。
それ以外の分野については、「将来的には同率とする」としながらも、今回は上げない。
これなら、選挙公約も守られる。
よくある玉虫色の解決です。

国は、本来取れるはずの税収が減る。国民は消費税が増える。商店は手間が増える。いい意味でも悪い意味でも、“三方一両損”の解決方法でございます。
※それでもたぶん、文句は来るでしょう。

ちなみに消費税については、もっと深刻な問題があります。

商店は、消費税の納税のための資金をキープしておく必要があります。
しかし、日々の金策に走り回るうちに、ついつい、そのお金も運転資金に使ってしまうのですね。たぶん、納付期限までには何とかなるだろう、とか考えて・・・。
で、払えなくなってしまう。
そんな窮状が、風に乗って聞こえてきます。
徴収方法の議論を続けたり、徴収手段に税金を使うのだったら、そっちの方をどうにかできないものでしょうか。

それから、それから。私が心配するのは、1,000兆円の国の借金。
そんなに負債を抱えていて、その国から、私の年金はちゃんと払ってもらえるのでしょうか。
とても心配です。
消費税どころの問題ではありません。
その借金を減らすためでしたら、私は消費税アップも仕方ないと思っています。

消費税は所得を隠して税金逃れをしている人も均等にかかりますから、ある意味、公平な制度です。
諸外国と比べても10%は高くはありません。
しかし、ダダ漏れに税金を垂れ流して、もっと国の借金を増やすようだったら、今の税率を上げない方がよいと、考えます。
私たちが苦労して貯めた郵便貯金や年金の積立なんかが、観光客の来ないホテル建設の呼び水にされたようなことがありましたよね。そんなのなら、やめてもらいたいです。

それから、6月とか10月とか、五月雨式とか、中途半端な時期に上げるのって、絶対やめて下さい。
実務的にとてもたいへんですから・・・。


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