月夜裏 野々香 小説の部屋

    

オカルト・ホラー短編小説

『地獄の七夕遊撃隊』

 

 霊界10丁目8番地は、地獄の最下層だった。

 地獄は、土地があっても作物を植えた先から盗まれ、

 騙し取られ、奪い合いが横行する、

 そのため、生産と流通が痩せ細り、経済破綻を起こしていた。

 下層に行くほど貧しくなり、

 上層番地から残飯が落ちてくるのを待つことが多くなる。

 男たちが円陣を組み、残飯が落ちてくるのを待っていた。

 「お腹空いたな・・・」

 「毛沢東。お前土地を耕せよ」

 「ヒットラーと東條がカツアゲするからいやだ」

 「盗んだ後、チャーチルが騙し取るだろう」

 「騙し取ってもルーズベルトとスターリンが奪うじゃないか」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息

 「死んだ後も働かなきゃならないと知っていたら、もっと真面目に生きてたな・・・」

 「神はいた。死後の世界はあった。共産主義はウソだったんだ」

 「なにをいう、死後の世こそ、共産世界そのものじゃないか」

 「ふん! 私腹を肥やせないのに一生懸命に働くなんて・・・」

 「人間は、そういう風にはできていないんだよ」

 「そうそう、共産主義なスターリンと毛沢東が頑張って働けばいいだろう」

 「ルーズベルトとチャーチルは、なんでここにいるんだよ」

 「ヒットラーのせいだ」

 「お前らが、がめつかったんだろう」

 「「うんうん」」

 「内戦で5000万も殺した奴と一緒にされたくない」

 「半分は、東條にやられたある」

 「嘘をつくな嘘を、ほとんど、文化革命で毛沢東がやったんだろう」

 「違うある。人口が多いせいある」

 「上が支配権を確保して、下より贅沢するだけで最下層は悲惨ある」

 「そんなの常識ある」

 「日本に占領されてたら死なずに済んだ者も多いだろうな」

 「日本が占領できなかったから、半分は日本人が殺したある」

 「嘘をつくな嘘を」

 「東條がヘタレだったからしょうがなくて自分で殺したある・・・」

 すとん!

 !?

 笹竹が真ん中に突き刺さる、

 自分のものにしようと、飛びかかった6人は、異様さに思いとどまった。

 それは、明らかに地獄のモノではなく、霊界のモノでさえなかった。

 「なんだ?」

 「七夕のたんざくだ」

 「何だ、それ」

 「願い事を書いて、叶えて貰うためだよ」

 「なんでそんなものが上から降ってくるんだ」

 「なんか、書いてる・・・」

 “あの人の車椅子をずっと押していきたい”

 「「「「「「・・・・・」」」」」」 ぞ〜!

 6人は、一瞬にして、その場から遠ざかる。

 「な、なんで、あんなモノが落ちてくるんだ」

 「日本の笹竹なら、東條、お前が捨ててこいよ」

 「やだ、ルーズベルトが行けよ。車椅子は、お前のことだろう」

 「あり得ねぇ」

 「け、権力者がルーズベルトみたいな車椅子だったんだよ」

 「間接過ぎてアホみたいだ」

 「きっと、財産家が車椅子だから、それを押していきたいってことだろう」

 「それなら財産家を殺して、財産を自分のモノにする願いを書くだろう」

 「日本人は短絡ある。手足を切って人間豚で商売ある」

 「なんて野蛮な、収容所の鍵の番人がいいな。自分が逃げられないからまじめに働く」

 「馬鹿だな、保険をかけて、殺せば、財産プラス保険金じゃないか」

 「いや、保険金より、借金の肩代わりをさせて、刑務所に入れちゃえばいいだろう」

 「チャーチルとルーズベルトは相変わらず極悪で性根が腐ってるよな」

 「ていうか、あそこ、残飯が落ちてくるんだから誰か捨ててこいよ」

 「ていうか、捨てられたモノの終着地があそこなんだから、捨てる場所がないだろう」

 「このままだと食事ができないじゃないか。どうするんだよ」

 不意に闇が深まると、悪魔、サタンが現れる。

 「悪魔さん、それ邪魔だから、どこかにやってください」

 「・・・ほぉ 神の嫌がらせだな」

 「あいつは、綺麗ごと言う癖に昔から大量殺戮ばっかしてる嫌な奴だった」

 「お前らで、笹竹を天国へ持っていけ」

 「そ、そんな、ここに来るまで31回は殺されたのに」 東條

 「少ない。俺は、34回だった」 チャーチル

 「勝った。41回」 ルーズベルト

 「俺、50回」 ヒットラー

 「すげぇ」

 「まだまだ。俺104回」 スターリン

 「青いな。俺353回だ」 毛沢東

 「敵より、身内に恨まれてるやつは殺される回数が違うよな」

 「「「・・・・・」」」 うんうん

 「ていうか、殺した数だけ殺される法則ならもっと殺されるだろう」

 「まぁ 間接的というか、ファジーに緩和されちゃうんだよね」

 「でも、やべぇ〜 上に行ったらまた殺される」

 「一つ上に持っていけばいいだろう」

 「馬鹿だな。一つ上から落ちてきたに決まってる」

 「なんて、馬鹿共だ」

 「おまえら、あれがあそこにあると、食事ができない。お前らで天国まで持ってけ」

 「「「「「「そんなぁ〜」」」」」」

 「行って来い!!!」

 「「「「「「・・・・・」」」」」」 泣き

 

 

 6人は、短冊の文字が書かれない側へと回り込む、

 すぅー

 「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」

 さささ さささ さささ

 6人は、風が吹くたびに短冊の裏側へと回り込んでいく、

 「日本の七夕なんだから東條が持て」

 「笹竹の原産は中国なんだから毛が持てよ」

 「車椅子売って儲けたチャーチルが持て・・・」

 すぅー

 さささ さささ さささ

 「やだ。戦争で車椅子を作らせたヒットラーが持てばいいだろう」

 「車椅子のルーズベルトが持てよ」

 「障害者になんてこと言うんだよ。人でなし」

 「この世界じゃ 気持ちで動くんだから関係な・・・」

 すぅー

 「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」

 さささ さささ さささ

 6人は、笹竹を持ちながらくるくる回る。

 「こら! 毛。揺らすなよ。短冊がこっち向くじゃないか」

 「馬鹿、スターリンが震えるからだ」

 「違う、チャーチルのでぶったお腹がふるふるしてるからだ」

 「地獄なんだから少しは痩せろ。見苦しい」

 「これは、記憶なんだ。本当は腹ペコなんだよ」

 「いいから行くぞ。ここに笹竹があると食べられなくなる」

 

 

 霊界10丁目7番地

 人から殺されるほど憎まれる人生だった。

 憎しみで醜く歪んだ形相の者たちの殺戮が行われていた。

 姿形は、人間から逸脱し、獣、妖怪、魔物に近付いていた。

 憎しみが零体を変貌させたのであり、

 その発露は、自分自身の自業自得ばかりとは言えない、

 先祖から受け継いだ負の遺産がそうさせているのであり、

 社会全体が特定の者たちを憎むように仕向けたからであり、

 完全な自己責任とは言い難いのである、

 とはいえ、彼らは、望んでそこにいる。

 「俺ここで2回も殺されたよ」

 「少ねぇ」

 「おれは・・」

 「もう、いいよ。思い出したくもない」

 罵詈雑言が6人に向けられ、

 殺意の籠もった矢が飛んできて、手前で落ちる、

 襲撃者たちも、短冊に書かれた文字を読みたくも見たくもないのだろう。

 6人に復讐したくても、誰も短冊に近付いてこない、

 標的は、ヒットラー、スターリン、チャーチル、ルーズベルト、毛沢東、東條など、

 人それぞれで、憎しみの対象が違う。

 しかし、短冊に当てられず、

 見当違いの人間に当ててしまうと大変なことになるのか、

 腹いせに近い怒声と牽制で槍が飛んでくるだけだった。

 6人が笹竹を持ち、固まっているとほとんど当たらない、

 すぅー

 「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」

 さささ さささ さささ

 6人は、笹竹を持ちながらくるくる回る。

 「こら東條! ちゃんと持てよ」

 「違うだろう。スターリンの息で短冊が回ったんだ!」

 「いや、チャーチルが、俺の方に笹竹を回そうとしたんだ」

 「違うって、ルーズベルトが揺らしたからだ」

 すぅー

 「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」

 さささ さささ さささ

 6人は、笹竹を持ちながらくるくる回る。

 「こら! もう揺らすなよ」

 「いいから、先に進めよ」

 「お! あれ、ムッソリーニじゃないか」

 「いいよな。恨まれてる人数が少ないって」

 「同じ10丁目で、8番地と7番地なんて、たいして変わんないじゃないか」

 「そうだ。ムッソリーニにピザを驕らせよう」

 「「「「おー!」」」」

 6人が追いかけるとムッソリーニが逃げる。

 「く、来るな!」

 「こら! 逃げるな! ピザを食わせろ!」

 「ピザじゃない! ピッザだ!!!」

 「逃げるな!」

 「そんなもの持って近付くな!」

 「ピザを食わせろ!」

 「ピザじゃない、ピッザだ! だから近付くな!」

 短冊を持って走り回る6人組は走る凶器だった。

 殺意を込めて槍を投げていた者たちも短冊が見えると逃げ出し、

 6人組は、ピッザが食べられるまで7番地を蹂躙した。

 「ていうか、ムッソリーニ。お前も来い!」

 「い、いやだよ。なんで俺が」

 「お前だって、昔は、俺たちと一緒にいただろう」

 「俺の罪悪は、君らより小さかったもんね」

 「うるせ! さっさと来い」

 「嫌だ〜!!!!」

 ドタバタ ジタバタ ドタバタ ジタバタ

 ムッソリーニは、6人に追いかけられながら階層を上がっていく、

 

 

 霊界9丁目3番地

 階層を上がるにつれ、闇は、少しずつ照らされ、明かりも増える、

 人は、人柄と人の成した事柄で居心地のいい階層に収まる、

 そして、現世(うつしよ)が、そうであるように隠世(かくりよ)も、ややこしい事が起こる、

 人柄が悪く、恐怖と圧政が臣下・部下を締め付け、

 弱体化させたことで反乱を押さえ、

 国のモラルを保たせた事が功績にされ、

 腐臭漂う霊人なのに上層階層にいたり、

 人柄が良く、善良過ぎた不決断が臣下・部下の暴走を誘発させ、

 戦争、反乱、飢餓、モラル低下を招き、災厄を生じさせる。

 そのため、身綺麗な霊人なのに下層階層にいたりする、

 というわけで地獄絵図というものの、

 ところどころ、そうでない区画が作られ、

 階層に似合わない人々が、妙な異空間を作ってしまうことがあった。

 また、優れた思想を広め、あるいは血族を残したことで、

 子孫と弟子が善行を働き、その功績で階層に上がったり、

 逆に悪行を働き、下層が下がったりで浮き沈みする、 

 つまり、子孫や弟子がいない霊人の階層は固定され、ほぼ動かない。

 しかし・・・・

 人だかりができていた。

 大半は、贔屓にする子孫と弟子がいない者たちだった。

 「さぁ 張った張った。いまの “買い” は、黒人大統領だ!」

 「彼を応援することで、アメリカ合衆国は人権蹂躙、人種差別をしてきた歴史の終止符を打つよ」

 「「「「「「・・・・」」」」」」 し〜ん

 そう、子孫や弟子がいなくても、上階層に行く方法があった。

 霊界先 “人” 取引市場

 ここで、赤の他人で思想的に敵対しても・・・

 速い話しが仇の子孫でも、その男を応援し、

 その男が善行を積めば上にいける。

 しかし、あくまでも先“人”取引。

 信用取引なので、当て込んだ当事者が失敗すると悪行に加担したことになった。

 そして、賭け金は、自分の功績と地位そのもので “買い” も “売り” も命懸け、

 下手をすると下の階層に行くことになる、

 6人は、腕組みしながら現世鏡を見つめる。

 振り分けられた功績は、現世で “運” といった曖昧なモノに置き換えられてしまう、

 大戦の時は、贔屓する対象のいる固定相場と、

 贔屓する対象の存在しない変動相場が激しく絡み、

 どちらの陣営にも “買い” や “売り” が殺到し、

 裏切り者が現れ、

 ランチェスターの法則を覆してしまうことも少なくなかった。

 「どう思う? ルーズベルト」

 「んん・・・黒人大統領か・・・こいつ大丈夫かな・・・」

 「先“人”買いだからな〜」

 「当たると大きいけど、黒人だしな〜」

 「でも、結構、買いが入って、上がってるじゃないか」

 「「「「「「んん・・・・」」」」」」 腕組

 「ルーズベルト。黒人のモラルってどうなんだよ?」

 「んん・・・一般的には低いと思うけどな〜」

 「最初の大統領だから頑張るんじゃないの?」

 「でも権力者になると人間変わるからな」

 「「「「「・・・・」」」」」 うんうん

 ざわざわ ざわざわ

 「こら〜! そこの馬鹿ども、そんなモノ持って近付くな〜!」

 槍が飛んできて、手前に落ちる。

 そう、7人を何回殺しても殺し足りず、憎んでいる人間も多かった。

 すぅー

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、笹竹を持ちながらくるくる回る。

 「おい、ムッソリーニ。しっかり持てよ」

 「東條が押してんだろう」

 「違うだろう、スターリンが引っ張って貰おうとしてるからだ」

 「もう、ちゃんとやれよ」

 「ていうか、短冊の裏側に回る為にズルすんなよ。みんな嫌々やってんだからさ」

 「ヒットラー! お前が一番ズルしてんだろうが」

 「いや、原因を作ってんのはチャーチルだろう!」

 「人のせいにすんな!」

 笹竹を中心に7人はくるくる回りながら9丁目3番地を蛇行し、

 「この七馬鹿ども、こっちに来るんじゃない!」

 「いや、短冊が回るから・・・」

 「来るなって言ってんだろうが!」

 群集は逃げまどい、

 そのまま、上の階層に向かって進んでいく、

 

 

 

 霊界8丁目5番地

 霊相と霊能もまた別だった。

 地獄でも天国に近い豊かな区画が作られることがあった。

 忠臣で善良なのに王、上官、上司の巡り合わせが悪く、

 結果的に総合で悪行をなした人たちがいると、そうなりやすかった。

 そう、地獄なのに上位霊界に近い空間が出現したり、

 上位霊界なのに地獄に近い空間が生まれたりする。

 「総統!」

 「「書記長!」」

 「総理!」

 「大統領!」

 「首相!」

 「ドゥーチェ〜」

 「「「「「「「これは、ようこそ」」」」」」」

 「「「「「「「や、やぁ〜」」」」」」」

 習慣なのか、条件反射なのか、昔と同じ敬礼と歓待を受けてしまう。

 「ルーデル君。ご無沙汰だね」

 「ハイル・ヒットラー!」

 「いや、それは、もういいから・・・」

 「私の戦功が足らずこのようなみすぼらしい場所に・・・」

 「いや、いや、水を少し分けて貰えないだろうか」

 「食事もあります」

 「ああ、少しだけなら、上等なものを食べると腹を壊してしまうのだ」

 「そ、そうでありますか・・・」

 「ざ、残飯でいいんだ。本当に・・・」

 「し、しかし・・・」

 「いや、本当に頼むよ。長居すると息苦しくなるし」

 

 7人は、それぞれに歓待を受けた後、集まり、

 そそくさと、上の階層に上がっていく、

 「「「・・・ぅ・・・食い過ぎた・・・ヤバい・・・」」」

 チャーチルは、慌てて岩陰に向かい、

 毛は慌てて、木蔭に向かい、

 ムッソリーニは、トイレに駆け込む、

 「馬鹿だな3人とも、ここは、鬼門だから気を付けろって」

 「卑しんだよ、チャーチル、毛、ムッソリーニは・・・」

 「だけど、俺たちのせいで、彼らは低い階層にいるんだよな・・・」 ポツリ

 「「「「「「「はぁ〜」」」」」」」

 すぅー

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、笹竹を持ちなが短冊の裏側に回ろうと、くるくる回る。

 

 

 

 霊界7丁目2番地

 生前の世界を第一の人生、

 死後の世界を第二の人生と考えることができた。

 第一の人生の成り行きが、圧倒的に長い第二の人生の運命を左右する、

 親の育て方や環境が悪く、地獄に落とされた者がおり、

 己が自業自得で地獄へ落ちた者もいる、

 また他人から地獄へ落とされた者もいる、

 先天的、後天的など、いろんな、加減算の結果、階層と住む区画が決まる、

 むろん、服役した場合の評価も反映されるため、自首も悪くなく、

 冤罪で服役した場合は、先人取引で加算されることになっていた。

 交通事故で過失100パーセントがほとんどないように、過失0パーセントもほとんどない、

 そして、現世と違うのは、切り捨てがなかった。

 過失100パーセントになったとしても、誘発させた環境が悪かったなど、探せば見つかり、

 全体に波及させてしまう。

 結局のところ、現世と地獄は、全体責任として扱われ、

 巡り巡って人類全てに覆い被さった。

 7人組

 「つまり、天国人が嬉しかろうと、地獄人が嘆こうと関係なく」

 「このままの格差で終わらせないのが神の目論見だと思うな」

 「じゃ 格差はあるけど、将来的に天国にしてしまうと?」

 「それなら、少しは手を貸せばいいのに」

 「人類だけの力で天国を作らせたいのだろう」

 「少しは、干渉すればいいのに、俺、挫けちゃっただろう」

 「奇跡を見ても人の性質は変わらない。そんなの既成事実だろうが」

 「まぁ そうなんだけどね」

 「だいたい、理不尽過ぎるよ」

 「俺の思うに、人類に対する神の理想が高過ぎたか」

 「失敗をDNAに蓄積させることで、より強靭で知性的な種に自己改革させていく計画なのでは?」

 「事故、病原菌、毒、巻き込まれで、人が死んだりするのは?」

 「死後の世界を主軸に考えるなら隠世(かくりよ)が本番」

 「そういう経験を持った霊人が現世に影響を与えることで失敗が減るのでは?」

 「むしろ、経験は生かされず、犯罪も減ってないぞ」

 「現世は、不幸を含めた経験を積ませるだけの場所じゃないかな」

 「しかし、そういう総合利益の犠牲にされる個人は、堪ったものじゃないだろう」

 「俺たちが言うのもなんだが、運が悪かったじゃ 納得いかないな」

 「そうだよ。悔しさは憎しみになるし、悲しみは怒りになるし、犯罪を増やすこともある」

 「だから人間は、まだ途上と考えるべきじゃないのかな」

 「そこまで、自虐になることはないだろうが」

 「自虐にならず、現状が最高と思う方が哀れ過ぎるよ」

 「まぁ それは言えるがね・・・」

 他人のせいで、憎しみ恨みを抱え込み、

 復讐し、八つ当たりで恨みを買い、

 その結果、地獄に落とされた者たちの地獄絵図が広がっていた。

 「こら! 死にやがれ!!!」

 7人は、石を投げつけられて追いかけられ、

 「わー 来るな! 近付くな!!!」

 時に短冊の裏面に回ろうと走り回って、

 「わっ こ、こら、こっちに来るな!」

 「だ、だって短冊が!」

 「うるせ!」

 今度は、逆に住人たちを追い散らしていく、

 

 

 霊界6丁目3番地

 性欲におぼれた者の世界が広がる、

 各階層ごとにあるのだが、上に上がるほど品位が少しずつ良くなっていく、

 「おー! この辺は綺麗どころが多いな」

 「だけど、なんか、いま一つ味気ないな」

 「ムッソリーニ。お前の変態性癖に合わせられる女性は、この辺じゃ少なそうだな」

 「ふん! もう帰る」

 「付き合えよ。ここまで来たんだから」

 「そうだそうだ。自分だけズルイ」

 「しかし、なんて、低俗で汚らわしいところだ」

 「そうそう」

 「ヒットラーと東條は、そういうとこ、真面目だから・・・」

 「まぁ 金を盗む奴もいるなら、性に価値を見出し、性を盗む奴もいるわけだ」

 「何を自己弁護しやがって」

 「ていうか、チャーチルは葉巻。ルーズベルトは煙草。スターリンはパイプをやめろよ。鼻に付く」

 「「「うんうん」」」

 「同盟は変なところでまじめだから嫌なんだよな」

 「「「うるせ!」」」

 すぅー

 風が吹くたびに短冊が回る、

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、笹竹を持ちながらくるくる回る。

 

 

 霊界5丁目1番地

 凶悪な世界が広がっていた。

 その動機は、憎しみ、復讐、憤怒だった。

 現世で虐めていた者が、霊界で数十倍返しで虐められ、時に殺される。

 そして、殺されても死ねないのが霊界だった。

 何度も復讐され、何度も殺される者も少なくない、

 例えば、多くの者から少しずつ奪って恨まれた者は、別の場所で多くの者からネチネチとやられ、

 殺されるまで至らないものの気持ち的に死ぬ。

 少数の者から多くを奪った者たちも、ここで復讐される。

 剣が投げつけられ、7人組の手前で落ちる、

 まず短冊に当てられず、

 見当違いの者に当たると、ペナルティもあった。

 「毛は、あと100回は楽に殺されそうだな」

 「「「「「「うんうん」」」」」」

 「スターリンだって粛清で殺した数だけ、かる〜く、殺されるじゃないか」

 「ヒットラー。お・ま・え・も・な!!」

 「「「・・・・」」」 しょんぼり

 すぅー

 風が吹くたびに短冊が回る、

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、笹竹を持ちながらくるくる回る。

 そして、暴虐の区画は、別の悲鳴によって掻き消されていく、

 「こら、七馬鹿。さっさと死ぬか。それを持ってどっかに行け!」

 「いや、死ぬ前にそれをどこかに持っていけ」

 復讐者も復讐される者も散を乱して逃げ惑う。

 「だ、だって風が・・・」

 「風のせいにすんな!」

 「いや、君たちには大変、済まないことした」

 「うるせ! 毛、絶対に八つ裂きで殺してやる!」

 「スターリン。お前は極寒で銃殺だからな」

 「ヒットラー。お前はガス室だからな。死ね!」

 「やーぃ 人気者♪」

 「こら! チャーチル、お前も殺してやるからな」

 「げっ!」

 「ルーズベルト。お前は、黒焦げに焼いてやる」

 「あれ、トルーマンだから!」

 「うるせ! 焼け野原にしやがって、死ね」

 「つうか、七馬鹿。お前らが追い掛けてくんな。あっちへ行け!」

 「だって、風が・・・」

 「言い訳すんな!」

 「だって、短冊を下に投げ込んだお前らが悪い」

 「上に行きたくなかったから、下に落したんだ!」

 「酷い!」

 「やかましい!」

 7人には、風に惑わされながらも、くるくる5番地を走り回り、

 住人に散々迷惑をかけながら、上の階層に上がっていく、

 

 

 霊界4丁目4番地

 現世で幸せな人生でも、霊界に来ると地獄にいる者たちがいる。

 早い話し、他人から見て人並な人生でも地獄に落ちる人たち、

 保身のため改革を潰し、

 己が見栄のため、他者の誹謗し、

 妬みのため人の成功の目を潰し、助けなかった者たち、

 彼らは、明確な敵意と悪意を持って生き、

 己が小さなプライドとテリトリーを守ることに成功した者たち、

 彼らの多くはリスクの少ない個人に損失を与え、

 その不利益を全体に広げてしまう。

 現世で知られない心の襞も、

 霊界では、姿形となって丸見えになった。

 現世で復讐することの無駄と愚かさが、地獄で体現されている、

 人間に見えない姿形の者たちもいた。

 上の階層に行きたくても行けない、

 醜さゆえの同族嫌悪で、心内を話せる友人すら得られない孤立した世界、

 先人取引できる功績すら持ち得ていない、

 私利私欲に走り、利己的で独り善がりな人生に終始した者たち、

 「この辺は、大戦とあまり関係ないんだな」

 「大戦と直接関係ない人間の方が多いと思うけどね」

 「しかし、ほっとするね。一休み、一休み」

 「でも少し眩しくなったな」

 「天国に近付くとそうなるよ」

 「あっ でもスターリンと毛は、ヤバいかも」

 「「・・・・」」 キョロキョロ

 「お前らに媚びて、権力を利用して、ここに来た連中は多そうだな」

 「それは、そいつらの自業自得だ」

 「やられる前にやれの世界を作ったんだよな」

 「「・・・・」」

 「俺もやばい・・・」

 「そいえば東條も、5人組とか、隣組とかやってたな」

 「目障りな奴を密告で片付けた奴もいるからね」

 「嫌いな奴を冤罪で牢獄に入れたりとか」

 「「・・・・」」

 「腹へった〜」

 「その辺の草でも食ってろ」

 「昔は、もっといいもの食ってたんだけどな〜」

 「いまじゃ 消化できないよ」

 一人の男が放心し、呟きながら横切っていく、

 “なんで、白米に固執したんだろう・・・”

 “なんで、白米に固執したんだろう・・・”

 “なんで、白米に固執したんだろう・・・”

 

 すぅー

 風が吹くたびに短冊が回る、

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、短冊の表を見ないように笹竹を持ちながらくるくる回り、

 上の階層に上がっていく、

 

 

 霊界3丁目7番地

 鉄道が走り自動車が行き交う、

 繁華街が作られ、工場があった。

 お札が使われ、商品が売買され、サービスが提供される、

 地上と似て非なる世界は、不自由の証しだった。

 霊界で実証されたモノがインスピレーションという形で現世に投じられ、

 紆余曲折を経て、出現する、

 近代科学の最先端は、霊界が発祥であり、

 蓄積された功績の集大成が現世の相続者に振り分けられた。

 近代科学の多くが欧米文化から出現する、

 その下地は、皮肉なことに科学万能を元にしていない、

 なぜなら・・・

 

 死んで目を覚ますと誰かが首を絞めていた。

 「くっそぉ〜 欲も俺のことを殺したな!」

 「げっ!」

 「それは、お前の親が俺の妻を奪って行ったからだ」

 別の霊人が現れる

 「誰だお前!」

 さらに別の霊人が現れ、

 「それは、お前の親が俺の土地を騙し盗ったからだ」

 「誰なんなよ」

 さらに別の霊人が現れ、

 「だから、それは、お前の親が自分の罪を俺になすり付けたからだろうが」

 「」

 「」

 喧々諤々 喧々諤々

 冤罪された者の恨み、騙された者の恨み、

 奪われた者の恨み、殺された者の恨み、

 現世の恨み辛みの復讐の連鎖がネチネチと成されていた。

 「ぐ、ぐっ 苦しいぃ・・・」 ガクッ!

 「やったぁ♪」

 夫婦、親子、兄弟、親類縁者、隣人が憎み合い、

 前半生で愛し合った者たちが死後、殺し合うことも珍しくなかった。

 骨肉に近付くほど利害が絡んだ者たちの憎しみは強く深く激しくなっていく、

 憎しみは、直接、相手に伝わり、苦痛を与える。

 現世と違って、社会的な制約を受け難く、

 永遠と繰り返される愛憎と復讐の連鎖は、復讐、復讐の復讐、

 復讐の復讐の復讐、復讐の復讐の復讐の復讐・・・

 時に復讐者は当事者より、現世の仇の子孫の復讐を選択する、

 そして “目には目を、歯には歯を” の復讐劇が繰り返され、

 地獄の上階層に近付くにつれ、

 “目と歯” の相殺取引が増え、復讐が短縮され、

 子孫繁栄の足掛かりも増えていく、

 高位の霊界に上がるにつれて、復讐など負の取引は減り、

 高位霊同士の互助会。ヒエラルキーが形成され、

 その影響は、現世の成功者たちの集まりとなって、協力と協定が増えていく、

 子孫は、インスピレーションを受けやすくなり、

 相互支援と幸運、発見、開発、生産などで利益を受けられる、

 霊界の上位層と地獄は、現世への支援、復讐の表現が違うだけであり、

 現世への影響は似ていた。

 地獄の7人たち

 「この辺まで来ると功績の相続や交換が増えるのか」

 「因果律の基本だよ」

 「戦争とかじゃないかな。第三者同士が殺し合うの」

 「いや、村と村同士の殺し合いとか。強盗殺人とか、飢餓で殺されたとかもあるし」

 「右の頬を打たれたら左の頬も向けよ、か・・・」

 「繰り返される復讐の輪廻からの解脱で、一番いい方法なんだろうな」

 「現世は刹那的だから、霊界を知らなきゃ 無理だと思うね」

 すぅー

 風が吹くたびに短冊が回る、

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、短冊の表を見ないように笹竹を持ちながらくるくる回る、

 住人たちは、乞食のような風体の7人から遠ざかり、近付こうともしない、

 「この辺は、我々への憎しみが少ないある」

 「権力者への憎しみは間接的だからな」

 「憎しみを抱えてると成功できないし、上にいけないからね」

 「恨まれていると、もだろう」

 「復讐を終わらせるか。さっさと相殺するか、しないと上にいけないよ」

 「だけど、この階層になると息苦しいし、食べ物も合わない、とても住めないな」

 「こんな姿形じゃ 恥ずかしくていられないよ」

 「俺たちだって、後、100回くらい殺されたら上の階層に上がれるかも」

 「痛いから嫌だ」

 「ぅぅぅ・・・目が回る」

 「いつもより、回ってます」

 「もう、いい加減にしろ!」

 

 

 霊界2丁目1番地

 上の階層に近付くにつれ、都心から外れ、自然が増えた。

 肉体を持たない霊体の利便性と優位性が物理的な利便性を超えてしまう。

 霊界で長く住むようになると、肉体を持つ不自由と不利益が理解され易くなる、

 現世と肉体の価値を突き詰めるなら

 不自由な中での五感の発達、知情意の発露、繁殖が第一の人生の目的であり、

 第二の人生の位置を決めるための受験勉強に過ぎない、

 霊界の上位に近付くにつれ、

 負の感情が薄れ、正の感情が強くなっていく、

 景色は、神秘性と幻想性と美しさを増し、

 霊体の生活は、現世よりはるかに自由で制約がないことに気付かされる、

 ある者は、空中に浮かんで物思いにふけり、

 ある者は、土を捏ねて創作に生き甲斐を見出していく、

 伝説上のユニコーンも、この世界の創作に過ぎず、

 人が乗って宙を駆け巡っていた。

 言語の壁はなくなり、

 以心伝心は正確無比となって利便性も増していく、

 木々は豊かに実り、人々は思い思いに摘んで食べていた。

 「「「「「「「・・・・・」」」」」」」 ごくんっ!

 「美味そうだな」

 「間違いなく、消化不良を起こすよ」

 「仙人の世界に近付いてるな」

 「楽園に近付いてるんだよ」

 「いいなぁ この辺は妖精まで下りてくるんだ」

 「地獄にもいただろう。妖怪」

 「あれは人間が醜悪になったもの。上層階層の妖精は創作物」

 「この辺の階層まで来ると、肉体がゴミと思えるある」

 「地獄じゃ 現世以上に不自由なんだけどな」

 「不公平だな」

 「じゃ さっさと殺されて上の階層に上がればいいだろう」

 「痛いからやだ」

 すぅー

 風が吹くたびに短冊が回る、

 「「「「「「「わわわわ・・・」」」」」」」

 さささ さささ さささ

 7人は、短冊の表を見ないように笹竹を持ちながらくるくる回る、

 

 

 天国の門前

 代理人と悪魔は、チェスをしていた。

 「世界は3層構造だ」

 「来世に行くほど構成素材が自由になり、繊細になっていく」

 「差し詰め、現世は個体の世界。霊界は液体の世界。天国は気体の世界といえるだろう」

 「小さな努力と善行で、来世は自由と希望を得られる」

 「しかし、間違った選択をすると、来世の地位を自ら貶めてしまう」

 「間違った選択をする者は多いな。特に誰かが干渉してから」

 「現世は不自由だから人を迷わせる」

 「不自由であることが人を精悍にさせ、鍛え、創造させ、価値を高めさせる」

 「気体の世界である天国のモノを液体の世界の霊界に落とすのは、境界違反では?」

 「気体が集まって液体となり、霊界へと落ちることはある」

 「モノはいいようで・・・」

 「人類は、多くの善行と悪行を成しながら増え、善と悪の隙間を埋めて連なっている」

 「その結果、天国の笹竹が人の手を通じて霊界の最下層まで落とされていったのだ」

 「計画通りに?」

 「神は、アルファでありオメガであり。全体であり個性でもある」

 「天界と霊界と現世は連なって、常に底上げがなされるように計画されていた」

 「人類は、堕落しても堕落しなくても、相互補完し合う運命なのだ」

 「彼ら7人は、苦しみながら、笹竹を天国まで持って来るだろう」

 「彼らの魂の一部が浄化され」

 「各階層の霊の魂も撹拌させ、些少なりとも全体を浄化させるだろう」

 「そして、僅かであっても霊界と現世の底上げがなされる」

 「そして、天国ですかな?」

 「現世、霊界、天国の境界は、存在し続ける」

 「人類の罪悪が減るなら、よりスムーズに天国の門へと誘われ易くなる」

 「固体である現世では、誰しも己が望みを叶えながら生きることはできない」

 「むしろ、己が望むままに生きた者は、霊界で霊性が開き難く」

 「天国は遠い事が多いだろう」

 「人は “傲慢(チャーチル)、嫉妬(東條)、大食(毛沢東)、淫欲(ムッソリーニ)、

 怠惰(スターリン)、貧欲(ルーズベルト)、憤怒(ヒットラー)” といった重荷を捨てて善行を成し」

 「全体の利益に生きた者は、魂が軽くなり、霊界の条件が高くなるのであって」

 「例え悪行から離れて生きる事があっても」

 「善行から離れ私利私欲に生きた者でも、悪を野放しにした者は辛い世界なのだ」

 「天国は、己が魂を浄化させた経験を服を着替えるように同調させることができる」

 「未成熟で不遇の死を遂げた者たちでさえ、自由に生きることができる世界なのだ」

 「人と社会の矛盾はなくなりませんよ」

 「人は、神に支配されるのではない」

 「自己矛盾こそ、進化と変化の原動力であり」

 「人と社会の軋轢に苛まれながら自己改革と社会変革を成すのだ」

 「自己矛盾から起こる選択が人の自由意思であり」

 「人が生きた証しとしての権利を得て神の相続者、継承者となるのだ・・・」

 「例え、悪が含まれたとしても時間とともに飲み込まれ、浄化されることになる」

 「神は、一切手出しすることもなく」

 「子たる人類の権限だけで、神の計画は成し遂げられる」

 「・・・なるほど、そろそろ、彼らが来るようだ」

 「代理人イエス。私は去ることにしましょう」

 「・・・・・」

 

 そこは、白銀と黄金に包まれた結婚式会場のような澄んだ世界だった。

 清楚な服を着た天国の人々がまどろみ、

 物に満たされ、美味そうな食事がテーブルに並んでいた。

 乞食のような7人は、居心地が悪く、眩しげに笹竹を運んでくる。

 「これは、7人とも御苦労だった。少し、休んでいくといい」

 「いえ、すぐ、戻ります」

 7人を惨めにする光景が広がり、

 煌びやかな世界には、自分の腐臭を放っていい場所もなく、

 お腹が空いていても、食べることも飲むことも叶わない、

 存在を否定された世界だった。

 7人は笹竹を置いて帰ろうとする。

 「ああ、降りて行くのは自由だが、帰りは大丈夫かな?」

 「「「「「「「・・・・・」」」」」」」

 「まだ恨まれているのではないのか?」

 「「「「「「「!?」」」」」」」

 「その笹竹を持っていけば、無事に帰れると思うが・・・」

 

 !?

 

 「「「「「「「い、いゃあああああああああ〜〜〜!!!!!!!」」」」」」」

 傲慢(チャーチル)、嫉妬(東條)、大食(毛沢東)、淫欲(ムッソリーニ)、

 怠惰(スターリン)、貧欲(ルーズベルト)、憤怒(ヒットラー)、

 7人の絶叫が天国の門前で木霊した。

 

 

 

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 月夜裏 野々香です

 200万HIT記念オカルト・ホラー短編です。

 初のホラー作品です。

 

 

 現世(うつしよ)は、先“物”取引。

 隠世(かくりよ)は、先“人”取引。

 先物も先人の取引もほぼ同じです、

 

 

 白米は、副食でビタミンB1を補われなければ成り立たず、

 戦場は、ビタミンB1の不足を招き、脚気を増やし命取りでした。

 日清戦争 脚気死者4064人/脚気患者4万1431人   戦死者977人/動員24万000人

 日露戦争 脚気死者2万7800人/脚気患者21万1600人   戦死者3万7200人/動員108万8000人

 下手なオカルト・ホラーより、よほど怖い数字です。

 

 

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思いつき短編集

オカルト・ホラー短編小説 『地獄の七夕遊撃隊』