月夜裏 野々香 小説の部屋

    

転移系火葬戦記 『縮地の指輪で・・・』

 

 

 

 第10話 1910年 『オスマン帝国とイランの再興』

 この世界に来て10年が過ぎた。

 日本は、日露戦争を回避。日韓合併も回避。

 清露戦争と黄河戦線の停滞。

 アメリカ、イギリス、ドイツが朝鮮共同租界港(南浦、元山、釜山、仁仙)を得ている、

 日本周辺の国際情勢は荒れ、軍拡を望む声が強まっている。

 今のところ、軍拡を抑えてるけどさ、

 右翼がさ、ロシア帝国を目の敵にしてるからさ、

 でも日露戦争なんてやったら

   戦費18億2629万円

   動員将兵約30万0000人

   戦没88429人  病死2万7192人  負傷者15万3584人  捕虜1800人だよ。

 どうせ借金して、朝鮮人守って、日本軍将兵を殺す日露戦争するよりさ、

 日本国内に鉄道を建設するほうがいいよ。

 だいたい、標準軌1km=20万円くらいだから、

 18億あったら9000kmは、伸ばせるんじゃないかな。

 因みに北海道の北の端から九州の南端まで直線で1840kmだよ。

 いっそ、日本縦断高速鉄道とか建設したほうがいいし。

 黒部ダムも、1億円くらいで建設できそうだし、

 外国から石炭、鉄を買うのを除けば、お金は、日本国内で回るし、

 日露戦争なんて、お金の大半を外国から借金して調達だよ。

 バカバカしてくやってらんねぇよ。

 でもまぁ 適当に妥協しないと、おれ、殺されるかも、

 いや、せめて生活必需品や基幹産業の国産化は、しようぜ、みたいな。

 お金は?

 お金は・・・金本位制なんだけどさ、

 一定数量の紙幣が社会資本として流通させないといけないからさ、

 実は、金の数十倍から数百倍は、紙幣を印刷して水増ししてるわけ、

 つまり、金本位制と言いながら、既にインチキなわけよ。

 だから、戦争したりして、借金したり、

 イギリスから戦艦を買ったりするとさ、

 金の数十倍から数百倍の紙幣が社会資本から消えて、

 国民は、犯罪に走らされたり、自殺させられるわけ、

 金本位制っていうか兌換紙幣ってさ、

 就業人口や消費人口に合わせて、印刷してないからね。

 世襲とか、利権とかが中心なんだけどさ、

 誰かが儲けるほど、皺寄せで、誰かが貧乏になるわけ、

 まぁ アマテラスが儲けるほど、社会資本を吸い上げ、

 周りを貧乏にしてしまうのと同じだね。

 てなわけだからさ、

 政府とかに、不換紙幣にしようぜ、って言ってるんだけど、なかなか、

 なんで好き好んで損するみたいな目で見られる。

 おれは、日本を近代化させたいんだよ。

 こんな、やっとこ冷蔵庫が作れるようになっただけの、

 不便で貧乏臭い生活なんて、できないよ。

 だいたい総力戦に備えて国家基盤を大きくしないといけないのに、

 なに、内輪で権謀術数やってんの

 

 

 

 あと、南関東ガス油田を掘るための機材は研究してるよ。

 メタンが3685億立方メートルほどだから、

 なにか埋めなきゃだけどさ、

 仮に何かを埋めて地盤沈下を防げても地盤がガタガタになると思ってもいいね。

 まぁ 住民は、あきらめろ、みたいな。

 

 おれ、千鶴子の透視で、味方を増やして、敵を排斥している。

 おかげで、大本教以外にも味方を作れるし、上手く霞ヶ関に浸透してるよ。

 困ったときは、縮地の指輪を使えるから有利、

 というより、薩長閨閥を除けば、おれ、最強かもしれない、

 でも千鶴子の話しだと、将校付きの随行士官は、例の勘察官が多くて、

 政官財の上層部も片腕として雇ってるらしい、

 ひと昔は、その手の力を持つ人間を恐れて、遠ざけていたらしいけど、

 おれの存在が大きくなり過ぎて、対抗しないといけなくなったようだ。

 やれやれ・・・

 

 

 

 1月

  種痘法施行

  ロシアは、米国提案の南満州鉄道国際中立化案を拒否

  フランスのパリでセーヌ川が氾濫、大洪水が起こる

  陸軍省と海軍省が統合され、

  国防省(陸軍局、海軍局、情報局、設営局、規格局)が創設される。

 

 

 おれ、ガラス繊維を使って、900kgくらいのプレハブハウスを作ってる、

 全長3.1m×全幅2.4m×全高2.4mくらい、

 船で運んで海岸線から10km圏に転移させるか、

 河川を遡って、10km圏に転移させるとか。

 何がしたいかというと、緊急避難用アジトだね。

 山岳とか、こんなとこ行けないよってとこで、

 死角で孤立した棚地みたいなところがあって、そこに転移させてる。

 事前に家具とか送ると、ちょっとした棲家になるよ。

 トイレとか、水道はないけど、軍資金とか武器弾薬を隠したりとかね。

 あと、対外工作とかにも使えるよ。

 24時間で900kmを5回として、4500kmくらい行けるから、

 その気になったら、船を使わずアメリカまで行けるから便利。

 ていうか、上手くいけば、ワシントンとかメキシコシティまで、3日もかからない、みたいな。

 極北地とか、塞氷島とか、おれ、冬でも行けるよ。みたいな。

 あと、中東に行くルートを模索中かな。

 代理人に家屋を買わせる方法もあるよ、

 でも足がつくから気が進まないけど、結構、やってる。

 中国とか、インドとかを横断したりとか、3日くらいで到着できるよ。

 

 

 

  

 呉

 22000t級薩摩型戦艦 薩摩、安芸、摂津、河内が隊列を作って浮かんでいた。

 基本設計思想は完成度の高い、大和と長門を流用しているよ。

 長門型と大和型を足して割ったような軍艦は、日本国民を魅了している。

 イギリスの19560t級セント・ヴィンセント型戦艦より砲塔が1基足りないものの高速で航続距離が長く、

 アメリカの16000t級サウスダコタ型戦艦より大型で高速で、航続距離が長く、

 ドイツの18570t級ナッサウ型戦艦より大口径で、大型で、高速で、航続距離が長かった。

 不安要素があるとしたら素材と品質管理。

 希少金属とか増やさせたし、

 ディーゼルエンジンは、そこそこ自信あるよ。

 球状艦首(バルバス・バウ)とか、

 推力倍のディーゼル機関と電気推進も悪くないし、

 サイドスラスターと、ウォータージェット推進は、及第点に出来上がってる、

 ガラス繊維とか増やして軽量化できたし、底上げしたつもりだけど、

 なんとなく古臭さがあるかな。

 こんなことなら一度くらい、護衛艦に乗っておくべきだったよ。

 そうそう、アマテラスの技術は、巡洋艦とか、駆逐艦の建造でも応用されるよ。

 でも全面的に採用されるのは、潜水艦だね。

 海龍と妖龍は、未だ補足されたことがない、

 計算上、全艦艇が雷撃されてる計算になっていた。

 なので、海龍型の2000t級を設計してるらしい、

 まぁ 長期航海は、そのくらい大きくないと、大変だけどね。

 

 

 1910型戦闘機 “翔鷹” は、日本初の戦闘機で開発したよ。

  自重540kg/1000kg

  全長7.4m×横幅9.4m×全高3m

  120馬力  速度160km/h  航続力500km

  6.5mm機銃4丁

 

 

 

 イギリスの代理人が現れる。

 どうやら、ロシアの南下政策が面白くないらしい、

 それでいて日本が高みの見物なのが信じがたいようだ。

 「日本は、中東に戦艦を売る噂があるのですが」

 「初耳ですね」

 「本当に?」

 「わたしは、宗教的なオブザーバーに過ぎませんし」

 「全部を知ってるわけじゃないですよ」

 「こちらの情報筋と違うようですな」

 「誰か発起人なのか、他人のせいにする御方が多くてね。困ったものです」

 「しかし、武器を渡して撃たせてから取るのが、帝国主義じゃないですか」

 「つまり、イギリスが、中東に、それをしてもいいと?」

 「さぁ しかし、日本は、中東の石油利権が欲しいだけなのでしょう」

 「中東の石油利権は、あなたが思うより、小さいかもしれませんよ」

 「そして、中東と日本の間は、いろいろと、障害がある」

 「それは、障害にならない間、日英同盟が堅持されるということですよね」

 「まぁ 同盟国ですから、通商妨害をするようなことは、ありませんよ」

 「それは良かった」

 「時に・・・彼らアラブ人は、戦艦を上手く使えるのでしょうかね」

 「建造できなくても使うことぐらいは、出来ると思いますよ」

 「なるほど・・・時に・・日本海軍は、戦艦輸出で不安にならないのですか」

 「新型戦艦を建造したそうですし。日英同盟があるのに戦争仕掛けてくる国は、少ないでしょう」

 「そうかもしれませんね」

 そんなやりとりがあった。

 まだ、噂の段階なのにどこで聞きつけたのやら、

 こいつらの情報収集能力って、世界最強なのかね。

 

 

 

 

 2月

 1868年に明治維新を達成して、42年。

 初代志士の多くは、老後を迎え、

 二代や三代が現れる。

 政官財の癒着と利権は、膠着した世襲を形成する。

 無論、学閥から成り上がる道と、

 商才を発揮して成り上がる道も少なからずある、

 おれの場合 “縮地の指輪” を利用するのが早道だからさ、

 奇をてらって宗教家として、早々に地盤を作ったけど、

 信長の比叡山焼き討ち以降というべきか、

 政治権力の陰に隠れて主流になりきれないというか、

 新興宗教によくあるパターンなのか、その先が進めない、

 間接支配な感じ、

 別に宗教がどうのというわけじゃないけどね。

 まぁ 二世とか、三世とかのオブザーバーなんだけどさ、

 それは、それとして、公共投資に必要な資源が足りない、

 おれの知識と、持ってきた情報だと、具現化できるものが少ないし、

 だいたい、日本の基礎工業力が足りなさ過ぎる。

 

 おれの大本教派閥が伊藤博文を暗殺から助けてから、政治的発言力が増している、

 そして、なぜか、日露同盟派が巻き返していた。

 霞ヶ関の某所

 「オスマン帝国と、イランに戦艦を売却して、日本の無事が図れるのでしょうか?」

 「中東に戦艦と武器を輸出して、領地が得られるなら悪くないし」

 「欧米諸国の戦艦は、東アジアから中東に行くだろうよ」

 「本当に?」

 「というより、厄介者になった古い戦艦は、いらないだろう」

 「弩級戦艦同士が撃ち合ったとは、前弩級戦艦が海上を支配するのでは?」

 「のろまな、戦艦は、潜水艦の標的にしかならないよ」

 「だといいのですが」

 「しかし、中東は、北極圏や南極圏の無地主地とは、わけが違う」

 「アメリカ、イギリス、フランスの利権を脅かすと、日本が殺されないか?」

 「今のところ、アメリカとイギリスは、日本を制圧する気がない」

 「制圧できなくても経済制裁されると、生糸と繊維が売れなくなり、外貨が得られなくなる」

 「清露戦争してるなら、清国とロシアから必要な外貨が得られるでしょう」

 「そして、日露接近を恐れて、アメリカとイギリスも対日制裁を渋る」

 「また、ロシアは、中東のアメリカとイギリスを排斥できるのなら、日本を支援するでしょう」

 「もう一度、グレート・ホワイト・フリートが来るかもしれないだろう」

 「アメリカは、戦艦を建造できても東アジアで戦争する予算がないよ」

 「だいたい、東アジアに基地がない」

 「フィリピンがあるでしょ」

 「日本と戦争できるような基地じゃないですよ」

 「ロシア海軍もいるのですがね」

 「薩摩型戦艦4隻で撃破できるのでは?」

 「油断はできませんよ」

 「かもしれない。しかし、日本の潜水艦を撃沈出来るとは思えない」

 おれは “御使い様” だし、

 大本教派閥は、基幹産業や工業利権と深く関わっていて、

 日本の政官財をある程度、操作できた。

 

 

 そうそう、白人の金融系経済学者が来ると、

 必ず緊縮財政させようと画策するし、世論操作する。

 赤字国債はいけない! みたいな。

 こいつらは、国家や国民に借金を押しつけて国家を支配したいとか、

 拝金奴隷にしたいんだな。って思うわ、

 まったく、隠し金庫に金塊と、利権をたくさん持ってる連中は、度し難いね。

 貧困層に拳銃持たせて、資本家の御殿に転移させてやりたいわ、

 お金持ちは、金塊や札束で身を守ろうとするのかね。

 たぶん、貧困層は、金塊や札束に目もくれないで、引き金を引くと思うぜ、

 ていうか、日本の金融支配の牙城を守らせてるのが、朝鮮人なんだわ、

 まだいるんだよね。

 ていうか、追い出しても、追い出しても入ってくるし、

 兌換紙幣から不換紙幣に移行させようとすると、必死に邪魔してくるのがこの連中、

 人口や産業規模に応じて紙幣を増やそうとすると、必死に邪魔するのがこの連中、

 あと、ベーシックインカムやろうとすると、必死に邪魔するのがこの連中、

 金融支配者がゾンビ帝国を作りたいのか、死に物狂いで、粘着アンチしてくるよ。

 なんなんだろうね。

 こいつら・・・

 

 

 

 

 3月

  中央倶楽部結成

  グレート・ノーザン鉄道ウェリントン雪崩事故おこる

  箕面有馬電気軌道(後の阪急電鉄)が梅田〜宝塚間・石橋〜箕面間で開業

  立憲国民党結成(憲政本党・又新会・無名会などが合同)

 

 てなわけで、八島。敷島、朝日。浅間、常磐。吾妻。

 浮きドック1隻と武器弾薬のイラン売却が決まり。

 イラン人の船員が操船を学んでいる。

 対価は、ゲシュム島(1491ku)、

 イラン人は、ポルトガル軍やイギリス軍の北風には抵抗しましたが、

 戦艦4隻・装甲巡洋艦4隻売却という太陽に服を脱いだようです。

 日本は、ここを足場にして、石油利権を手に入れるつもりですよ。

 航空戦力がある程度、整備されてきてるので、守るのは、難しくなさそうです。

 

 

 そうそう、オスマン帝国に富士。初瀬、三笠。出雲、磐手、八雲と浮きドックと、

 あと装甲列車とか。武器弾薬も売ってあげました。

 航海は、先に同盟国イギリスの港に給炭船を配置していたので、順調だったようです。

 

 対価は、バスラをから南方域(3000ku)を貰いました。

 となりのクェートは、イギリスの保護国になってましてね。

 日英同盟でお隣さんです。

 オスマン帝国も、どうせ、辺境で、イギリスに奪われるくらいなら、アラビア海を捨て、

 バスラ域(3000ku)と、戦艦3隻、装甲巡洋艦3隻を交換することにしたようです。

 バスラと交換に戦艦と装甲巡洋艦を引き渡したあと、

 いきなりイギリスとの関係が冷え込みました (笑

 どうやら、売るのは、装甲巡洋艦数隻だけだと思っていたようです。

 売却規模が大きすぎて、理解不能なのかもしれません。

 ゲシュム島(1491ku)に第01師団、第02師団、

 バスラ域(3000ku)に第03師団、第04師団、第05師団、第06師団と、

 新設した建設部隊6つを送り込みました。

 

 でもまぁ 日英戦争未満のようです。

 イギリスとアメリカが戦艦をゲシュム島に近づけたら、

 翔鷹が戦艦の上空を旋回したので、

 まずい、と思ったのか、引き上げたそうです。

 この時代、対空火器と言えるような武装を持ってるのは、日本の軍艦くらいです。

 

 

 4月

  清が幣制則例を制定(銀本位制の導入)

  ブリュッセル万国博覧会開催(〜11月7日)

 

 バスラで油田を採掘できたと報告がありました。

 タンカーで日本に運びますけど、

 製油所を先に作ったほうがいいかもみたいな感じでした。

 ていうか、もっと、鉄が欲しい、みたいな。

 清露戦争で鉄鉱石と希少金属は、入ってきますけど、

 なかなか、生産が追いつかないみたい、

 

 そうそう、日本各地に翔鷹を配備しました。

 沖合に展開していたアメリカ、イギリス、ロシアの艦船が、一気に減ったようです。

 そして、石油が欲しいドイツが接触してきました。

 ドイツに石油を売れば、優秀な工作機械が買えそうです。

 よしよしな感じです。

 

 あと、イタリアは、日本とドイツがオスマン帝国に肩入れすると知ると、

 フランスとの関係を修復している、

 イタリアは、国民を煽ってオスマン帝国との戦争を進めてる、

 たぶん、史実通り伊土戦争になるのかもしれない、

 

 

 5月

  青森市で大火(全市焼失)

  英王エドワード7世崩御 - ジョージ5世即位

  日英博覧会開催( - 10月29日)

  地球がハレー彗星の尾の中を通過(欧米では18日)

  大逆事件  宮下太吉・新村忠雄ら検挙

  イギリス自治領として南アフリカ連邦成立

 

 日本の中東進出とバスラ域(3000ku)とゲシュム島(1491ku)の得とくで

 日本の武器弾薬の供給を受け、オスマン帝国海軍とイラン海軍が再建し、

 中東からロシアと、イギリスの影響力が相対的に低下していくよ、

 これで、ドイツの3B政策とベスラを結び付けられたら日独連絡が楽になるよ。

 

 そして、第二次日露協約調印

 ロシア帝国は、日本の中東進出で怒っても、

 清露戦争は、日本と取引しないとまずいのか、日露貿易が増えそうです。

 ロシアは、日本の生活用品と加工品を輸入して満州を開発する気のようです。

 

 英露で組んで日本を潰してやれ、という風に行かないみたいで、助かりました。

 おかげで、日英同盟は、まだ続いてます。

 こちらも日本の中東進出と艦隊輸出と武器輸出で怒ってる節があるのですが、

 日英同盟を破棄してもロシアが強くなるだけで、いいことがなく、現状維持のようです。

 でも、イタリアが一番怒ってたかな。

 なんでか、わからんけど (笑

 そうそう、オスマン帝国とイランは、近代化で日本と組むことにしたようです。

 取引が急速に拡大してますよ。

 

 

 

 

 6月

  大逆事件 幸徳秋水・管野スガら検挙

  宇高連絡船開業

 

 

 封建制は、資本主義と共産主義の両方から攻撃されやすい、

 かと言って、権力基盤となる諸侯の利権を大きくして守ろうとしても国民が蜂起したら、

 諸侯に裏切られて共産化する。

 そして、諸侯の利権を押さえ、庶民の生活を向上させると新興勢力が生まれやすく、諸侯に反感を買う、

 さらに国民の下克上で、封建制の権力基盤が失われるかもしれないという、悩ましい問題を抱えている。

 そのことを知ってる資本主義勢力と共産主義勢力は、

 報償と恩給で諸侯が不満を持ち、犠牲を強いる戦争を利用するし、

 大逆な行動を起こすよう世相を仕向け、漁夫の利を得ようと仕向ける、

 さらに反動で政策を諸侯寄り、あるいは庶民寄りな政策をさせることで、片方の反感を買わせ、

 封建的な権力基盤を切り崩そうとする動きもある、

 政策的なバランス調整は必要でも、

 それは、資本主義や共産主義な攻撃に操られて起こすべきじゃない、

 早い話し、戦争したら負け、みたいな。

 それでも、大逆事件は、起こりましたけど、

 大正デモクラシーは、低調なようです。

 元々 日清戦争・日露戦争の理不尽に対する不満と反感で、アメリカ民主主義に傾いただけで、

 この手の庶民感情の流れというか、世論は、利権漬けの偉い人には、わからんのです (笑

 

 

 

 7月

 北極圏に行くついでにツングースカも行ってきました。

 一応、怖いのでガイガーカウンターみたいなモノも、持って行きましたよ。

 まぁ なにかないかな。とか、探し回ったんですけどね。

 それらしいものはなかったですけど、幾つか破片を見つけたんで持って帰りました。

 

 

 大本なんですけど、

 開祖 & 教祖派 VS 御使い様 & 御使い乙巫 の構図が (笑

 ほら、開祖教祖は聖で。おれは、俗で棲み分けしてたんですけどね。

 出口もさ、意外に世俗だし、

 おれも立場上、宗教的に押し切ることがあるからさ、

 しかも、おれ、忙しいから、まともに行事に出てないし (笑

 主導権の奪い合いで、時々ぶつかるんですよ。

 でも、信者の前では、手を繋いで仲良くしてみせたりとかね。

 そのほうが信者の分母が大きくなるし、信者の割り振りも大きいでしょ

 

 

 

 

 

 8月

 なんか、イギリスが翔鷹売ってくれって、来てます。

 嫌なんですけど、同盟だし仕方ないし、

 ちょっと、古いタイプの50馬力くらい飛行機が数十機があるので、

 工作機械・工業用ダイヤ、オイルとか、優良大型商船と交換することにしました。

 日本は、工作機械と商船で、いいものが少ないみたいです。

 いい材質の鋼板を製造しても加工するたびに工作機械が使えなくなるとか、駄目駄目。

 正直、見かけが、未来風の軍艦でも素材があまり変わっていない、

 そうそう、バスラの石油が日本に来たので、

 石油精製所、火力発電所、製鉄所を新設することにしました。

 

 

 硫黄島

 南端に摺鉢山(169m)あって、

 そこから北端まで直径10m程のトンネルを全長8kmほど、掘ってる。

 平均海抜10mくらいの高さなので、場所によって深いかな。

 外壁は、かなり厚めのジオポリマーにしてる、

 主線から網の目のように支線のトンネルが伸ばすことになりそう。

 でも隆起してるし、場所によってばらつきもあるだろうから、

 耐久性が長くないような気もする、

 そうそう、火山島なので、スターリングエンジンで地熱発電と、

 あと、南方なので、太陽光熱発電が使える。

 電力さえあれば、淡水プラントで水も作れるし、悪くない、

 こういった投資ができるのは、日露戦争してないからかもしれない、

 そして、南満州鉄道がない、おかげかもしれない、

 経済的に足を引っ張るものがないと、できるのかね。

 電力があるので、トンネル内の熱を強制的に放出させてるから、意外に涼しい気がする。

 あと、10年もしたら、太平洋戦争時の硫黄島より気合の入った要塞になるかな。

 

 

 

 

 

 9月

 山手線が標準軌(1435mm)で完成した。

 山手線の史実より早期拡大完成は、日露戦争しなかったからかな。

 あと、政治力も使ったけどさ、

 本当は、ケレン味だして広軌(1520mm)で建設してもいいかなって、思ったけど、

 反発が大きかったんでやめました。

 でもジオポリマーとかで地盤を強くしてるし、

 余裕のある作りにしてるんで、あとの楽しみにしたいね。

 山手線を標準軌で作れば、あとは、自動的に標準軌だからね、

 なんか、山手線の完成を祝ってますけど、 

 普通に南関東ガス田を掘ったら、この辺も海の底なんですけど、

 上手く詰め物を地下に入り込めるなら、地盤地下を抑えられるかもしれないけどさ、

 期待しないで欲しいね。

 おれの縮地の指輪じゃ 科学や技術で工業を伸ばせない、

 その上、製鉄所は、鉄を溶かす燃料がないとダメ、

 優れた高張力鋼を作るのにも、

 カーボンナノチューブも、

 ガラス繊維さえ、燃料がないと製造できないわけで、

 オイルロードをイギリスとアメリカに押さえられているようじゃ 見通しが暗い、

 やっぱし、600年の安寧を見込んで、地盤沈下覚悟で、掘るしかない気がしてくるわけ、

 おれ、帝×大戦の魔人加藤の気分なんですけど、

 関東大震災が終わって、ガスの採掘をはじめるとして、

 南関東の疎開というか、遷都をしないと、

 そうそう、遷都といえば、甲府盆地の風土病は、どうなってるんだろう。

 大学病院に投資して調べさせたんだけど・・・・

 

 

 

 ニコラテスラ(54)来日

 見張られてたのに、どうやって来たかって?

 おれが船に乗って、東海岸まで迎えに行きました。

 寝てる間に船に乗せたので、驚いてましたけど、

 本人は、日本に行きたがってたので、

 日本で研究所を与えて、資金提供したよ。

 これで、電気分野で欧米を追い抜ければいいけど、

 

 

 

 10月

  ポルトガル王国で革命。第一共和政成立(国王マヌエル2世は英国へ亡命)

  エレフテリオス・ヴェニゼロスがギリシャ王国首相に就任

  タイ国王ラーマ5世崩御 - ラーマ6世即位

 

 

 いま、霞ヶ関にいる。

 なんていうか、こいつら人間じゃねぇ的な

 権謀術数が蠢いて魑魅魍魎の巣窟みたくなってるけど、

 仲間入りしている。

 ほら、妻が透視能力があるんで、政官財で頼る人も多いわけ、

 最近、自己責任とか云う政治家と官僚が増えてる気がして、そいつら、白人と交流が多いみたいだ。

 自己責任とか言う、おれ得で他人損な厄病神に限って、責任取らないから、

 政治権力や行政権力を与えちゃ駄目なんだよな。

 おれはそう思うね。

 だけど、そう言う奴らに限って、政治家とか、官僚が多くてな。

 そして、しがらみなんで、交流してたりな。

 なので、政敵の金庫室から紙幣を抜いて、味方の工作資金にすることが増えたよ。

 人間、お金が乏しくなると、意気地がなくなるし

 逆に金が転がり込むと横柄になるし (笑

 マジ、わかりやすいわ、

 でもやり過ぎると、おれが疑われるからさ、困ったもんだ。

 でもまぁ 東京府政と東京市政を廃止させて、東京都政に一本化させるし、

 あと、大阪市政と京都市政を廃止させて、大阪府政と京都府政に一本化させるつもり、

 何人か神隠しにあったみたいだけど、

 制度的に整理したほうがいいからね。

 ていうか、守りやすい甲府に遷都してぇな。

 そんなこと思ってたら、

 どうせ遷都するなら、日本の中心に近い赤城山がいいよ。みたいなことを言われた。

 なんか、沈みそうな名前だな。

 ていうか、活火山だから壮大に爆発して・・・

 でもまぁ それらしい理由もあって、軽井沢にロシア、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、

 オスマン、エチオピア、バチカンの皇領地があって、

 首都機能を近づけたほうが安心して、金庫の金を増やしてくれるらしい、

 それなら、隣の榛名山の方が・・・って、そっちも着底してたし。

 

 

 

 

 11月

  メキシコ革命 マデロが蜂起

 

 大本信者を介して、メキシコ人との間に人脈を作ってるよ。

 どこの国でも低層階級は、貧しいからね。

 だから武器を渡すと犯罪者になって、警察に追われる、

 そして、自然に反政府側に追い詰められる、

 恐怖心と保身で、ちょっと、手を差し伸べるだけで、外患と手を組む。

 あとは、資金援助していくだけで、国家中枢に外患内患が上り詰めてしまう。

 未来のCIAとか、KGBとか、KCIAが、よく使ってる手なんだけど。

 利権頼りの確信犯は半分わかってる国賊だし、

 正論語りの馬鹿は、こういう仕組みがわからないから厄介なんだけど、

 格差が大きくなると世襲と利権が先鋭化するし、

 権力が先鋭化すると専横性が強くなって、人材が低迷する。

 まぁ バカになっていくから、建設的なものがなくなって、争奪戦というか、

 政治が劣化して、国民の政治不信が強まって離反してしまう。

 当然、反政府勢力も同時に育つ構造が生まれて、与野党が逆転してしまう。

 あとは、適当な時期に武器弾薬を供給すれば、軍事クーデターとか、革命を起こせて、

 傀儡が政権を正統化させるため外国と妥協させられる。

 なので、おれも真似して、メキシコの犯罪者を味方にしてるよ。

 おかげで、地元系マフィア、アメリカ系マフィア、日本系マフィアの犯罪組織が政争中だよ。

 アメリカさんは、味方の組織に渡した軍資金と武器が敵に渡したから、

 裏切り者探しで内部分裂中だよ。

 おれが、やってるんだけどね、

 ほら、わざわざ、日本から紙幣とか武器とか運ぶのって無駄でしょ

 だから、途中で、アメリカの反日系権力者から、紙幣とか、

 アメリカ軍から、武器とか、黙って借りちゃう、

 返さないけどね (笑

 因みに100ドル札1g以下だとして、900kgだと90万枚。9000万ドルだよ。

 金塊だと900kgだね。

 まぁ そんなに入った金庫室って、少ないけどさ、

 表に出せない資産で、あるとこにはあるし、金本位制で9000万ドルは、大きいわ、

 因みに工作員になってくれた日系アメリカ人は、みんな、お金持ちだよ。

 でも、メキシコとか、コロンビア、ベネズエラ、中南米諸国で

 信頼できる人間は、なかなか、見つからない、

 一応、民族派とか、国粋派がいるみたいなんだけど、

 妻の透視だと、アメリカ資本系のガス抜き右翼団体と、ガス抜き左翼団体が多いらしい、

 なので、反米秘密結社を作りました。名づけて “青き雷”

 清々しさの中に力強さと速さと煌きがるアニヲタネーミングかな。

 

 

 

 

 2000t級幻龍型潜水艦 

  全長67.7m×全幅6.35×吃水6.6m

  ディーゼル電気推進6000馬力 + スターリングエンジン100kw(136馬力)

  水上12kt  12000海里

  水中20kt  400海里/5kt

    533mm魚雷 (艦首6基12本。艦尾2基4本)

 

 スターリングエンジンは、研究用でアメリカから購入したヘリウムを利用しました。

 飛行船を作るほどの量じゃないので、構わなかったようです。

 圧縮は、3気圧ほどでしたが、効果てきめんでした。

 

 

 

 

 12月

  第27議会召集

 

 オスマン帝国とイランは、日本から買った戦艦・装甲巡洋艦と武器弾薬で、国益を守れそうな感じ、

 日本は日本で、石油があるならと大型船とか、作らなきゃで、設備投資を増やしてますよ。

 ていうか、石油と工業品を輸出できるなら、金本位制にしておく意味ない気がする。

 「不換紙幣をばら撒こうぜ」

 「い、いや、それは、ちょっと・・・」

 まだ、そんな感じ、

 

 

 そうそう、いろんなディーゼルエンジンと、航空エンジンを開発してるよ。

 今のところ、この二つが戦力の鍵を握ってる気がするからね。

 楕円ピストンと、ロータリーエンジンを試作させてるけど苦心惨憺中かな

 あと、トランジスターとか、ロケットとかね。

 トランジスターは、原料がゲルマニウムとシリコンなのは知ってるけど、作動方式なんて知らない

 ロケットは、まぁ 液体水素と液体酸素なんだけど、保管と管理と制御が大変。

 成形炸薬弾は、おれ、なんとなく、わかるよ。

 でもまぁ 大学出の大本信者を集めてヒントだけ与えてやらせてる。

 軍資金は、アメリカから持ってきた金を日本で紙幣に変えたわ、

 新聞を読むと、アメリカで怪盗が現れたとかで、騒ぎになってるらしい、

 たぶん、犯人は、おれのことかな。

 でも表沙汰にならないはずの金塊だったんだけど、

 盗まれたのが表の銀行の金塊というのが、不思議だ。

 でもおかげで、政治工作と金融革命が進みそう (笑

 

 

 

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 おれ、 千鶴子(24)   秋斗(4)  裕也(2)  史郎(♂)

 

 

 史実  面積67万2100ku  総人口5098万人

 

 戦記  面積42万4249ku  総人口5463万人

  ゲシュム島(1491ku)  第01師団、第02師団、

  バスラ域(3000ku)  第03師団、第04師団、第05師団、第06師団、

  極北(ウランゲル)島(7850ku)

  塞氷(セヴェルナヤ・ゼムリャ)諸島 (37000ku)

    八十一(シュミット)島(467ku)

    八十(コムソモレツ)島(8812ku)

    西七十九(ピオネール)島(1527ku)   東七十九(十月革命)島(14204ku)

    七十八(ボリシェヴィク)島(11206ku)   小七十八(小タイミル)島(232ku)

 

  南基(ブーベ)島(58.5kku)

 

 

 

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第09話 1909年 『伏龍の季節』
第10話 1910年 『オスマン帝国とイランの再興』
第11話 1911年 『ドデカネスの戦慄』