手術までの日々


入院が決まってからも前日まで仕事をしていた。会社として大事な仕事に取り組んでいる途中で、一番忙しい時期だったから。まして、1ヶ月も休むとなったら他の人へ負担を掛けることになる。入院までにできることをすべて片付けてからと思っていたので、入院前日までの仕事となった。

仕事をしているほうが気が紛れるというのも理由のひとつだった。いくらガンではないといえ、手術を受けるのは初めてのこと。まして、肉体の一部を切り取られるということは、想像もしていなかったので、不安だった。空いた時間にはインターネットで調べまくった。
細胞検査士の方のサイトで詳しく調べれば調べるほど、私に起きていることが大変なことなんだと実感した。他のガン患者の方のサイトを見て、わたしはまだここまでは行ってないという安堵感も得た。今から思うと自分の気持ちが不安定だったから、サイトの内容に一喜一憂していたのだと思う。でもある程度の予備知識を持てたからこそ、手術に関しては変な安心感があった。事実、入院中のちょっとした不安も、「あのとき、サイトに書いてあった症状に似てる・・・だから私だけじゃないや」と思えた。

<2004年9月2日(火) 入院の日(手術前日)>

手術に必要な検査は済ませてあったので、手術前日の入院となった。

当日は朝から雨だった。午後の入院だったので、朝から入院準備をする。このときから、私には雨が付きまとうことになる。これからの出来事を占っているかのように・・・(ここでBGM「はじまりはいつも雨」/by Aska・・・わたしのテーマ曲になってしまった。「嵐を呼ぶ男」のほうだという人も・・・)
入院の手続きを済ませ病棟へ案内される。
6階南病棟620号室4人部屋。内科と婦人科の病棟で同室には婦人科の方が2人、内科の方が1人いた
「よろしくお願いします」とあいさつもそこそこに、着替えが終わると入院中の流れの説明に始まり、手術前診察や手術の流れなど、DrやNsが頻繁に病室にやってくるので、落ち着けない。「はあ〜手術を受けるんだなあ」と改めて実感。すると「みほなさ〜ん、今から剃毛しますからねえ〜」とNsの声が!「ええっ剃毛!!」うわさに聞いていた剃毛をまさか自分が体験するなんて!と思っているとNsが続ける「普通なら入浴時にご自分でしていただくのですが、場所が場所ですから傷付けるとまずいのでねえ。」剃毛を済ませたころ、ちょうど入浴予約の時間となり、浴室へ。あわてて入院準備をしてきたので、ボディブラシを忘れてきた。あ〜あタオルで洗わなきゃ・・・

入浴を済ませ、病室に戻ると、ベッドの頭のところに「手術・絶飲食」の札がかけてあった。そういえば流れの説明の中で、前日21時から絶飲水、当日朝から絶食と言ってたっけ。食事だけが楽しみなのになあと思いながら、手術前日の予定は終了したので、入院完了や明日の予定を両親や主人へ連絡する。そして・・・ヒマだったので同僚や友人、妹にメールを送りまくる(もちろん病院の外で)
夕食も終わり、手術に備えて早く寝ようと思うのだが、なかなか寝付けない。同室の人と話す気分にもなれない。初日だし、まわりがどんな方かわからないし・・・ずっとテレビをみていたが、もうすぐ絶飲水となる。いまのうちに飲んでおこう・・・と水ばかり飲んでいた。そして、21時。睡眠剤をもらっていたので飲むと疲れていたのか、すぐ眠りにつけた。