告知の日
<2004年9月29日 告知の日> つづき
病院を出た直後は自分に何が起きているかわからなかった。体は震えているし、頭の中は真っ白でガンガン響いてる。動揺しているのがよくわかる。早く誰かに聞いて欲しい。そう思ったが主人は仕事中・・・
電話は実家の番号を押していた。でも変な心配はかけたくない・・・
私:「もしもし、お母さん?みほなです。いま。結果聞いてきた・・・」
声がうわずっている。冷静にならなくっちゃ・・・
でも母は私の声で普通じゃないことを察知したようだ。
母:「今日、診察日だったよね?どうだった?」
私:「うん・・・あのね・・・ガンが見つかったの。
全摘だって・・・」
声がうわずったまま、涙声にもなっている。続けようとしても涙が出そうで話せない。泣いちゃだめ・・・
電話の向こうでも沈黙が続く。そのあと同じことばかり言っていたような気がする。
母:「とにかく明日そっちへ行くから、気をしっかり持って。大丈夫?」
私:「うん。ありがと。声を聞いたら少し落ち着いた・・・」
外は風が強く、雨も降り出していた。まさしく嵐が来ようとしていた。
会社へ報告しに行くことになっていたので、電車で向かう。
電車の中でも震えていた。ガンなんだ・・・どうして私がガンになるの?自問自答しては、母の言葉を思い出す。「気をしっかり持って!」そう、こんなことでくよくよしてる場合じゃない。初期なんだからよかったやん。ちゃんと会社に伝えなきゃ。しっかりしろ、みほな!
駅の改札を出たところで、主人に電話を入れる。
私:「もしもし・・・忙しいときにゴメンね。結果聞いてきた・・・
ガンだって・・・。」
夫:「そうか・・・じゃあ?」
私:「うん。また入院する。詳しくは帰ってから言うね。」
主人の返事は意外とあっさりしていた。でもこの返事がかえって私を落ち着かせてくれた。
会社では泣きそうになりながら、なんとかこらえて結果報告とこれからの予定を伝える。
手術予定は11月半ばだったので、まだ1ヶ月以上ある。引き続き休暇を願い出たが、気分転換にもなるので、入院まで仕事をすれば?ということで、とりあえず10月2週目からの復帰となる。
夜になって主人が帰宅するが、なかなか話を切り出せない。向こうもわたしの様子を伺っているようだ。
「あのね・・・」どっちから切り出したかはわからないが、Drから言われたことを告げた。
夫:「なってしまったものは治すしかないやん。初期なんやから、
大丈夫なんやろ?」
私:「うん。でもガンより子宮をとってしまうことがショックで・・・。
子供産めなくなっちゃうよ・・・。ゴメンね・・・」
涙があふれてきた・・・今まで我慢してたものが噴出してきたかのように。
夫:「子供よりみほなの命の方が大切やん。子供が欲しく
なったら、施設から引き取って育てたらいいし・・・」
聞く人によれば不謹慎に思うかもしれない。でも主人なりの思いやりだっただろうし、わたしもその気持ちが痛いほど伝わってきて、そしてありがたかった。
夫:「前向きに考えて行こうや。くよくよしたって始まらへんし・・・」
「ワシより先に死なんといてや〜」
主人の言葉が心に響いた。
ガンなんかで死んでたまるか!そう思った。