シャーローに難儀する
平成13年10月30日
昨日の昼間、釣四郎は神奈川県三浦市の天気予報画面を前に唸っていた。夜から朝にかけての降水確率40パーセントで傘マークが出ている。釣四郎はこの日、職場から戻ると同時にガガーッと速効で着替えて、既に用意万端にしてある道具を担いで駅に戻り、三崎港へエギングに行く予定を立てていたのだ。しかし、電車釣行の釣四郎にとって夜中の雨は厳しい。うむむむむとギリギリまで迷った挙げ句に止む無く中止を決意。翌日のシーバスに変更する事にした。
おかげでグッスリと寝ちまった釣四郎の釣り支度が整ったのは夕方近くだった。何処へ行こうかと考え、とりあえず浮かんだのは荒川河口ヘリポート横。スクーターをテッテケテーと飛ばして現地へ向かう。
その途中、急に旧江戸川河口付近に有るH型石積みが気になった。そこは話しに聞いていたけれどもまだ行った事の無い場所だ。明るい時間なので初めての場所を見てみるにはちょうど良い機会だ。今は満潮を少し過ぎた時間だけれども、その場所はシャロー(浅い)らしいので潮位の高い今はちょうど良いだろう。てな訳で急遽目的地変更。旧江戸川河口H型石積みへ向かう釣四郎であった。
荒川河口のツルツルのゴロタ石を警戒してブーツに取付けたスパイクシューズを外し、旧江戸川の河口付近に立ったのは16時30分頃だった。
見てみると、なるほどH型の石積みが岸から数メートルの所に等間隔で四つ並んでいる。どういう訳か石積みが有る所だけコンクリートの護岸となっていて柵が設けてある。下手には湾岸橋の橋脚がズラリと見え、その向うに東京ディズニーランドの駐車場入口が覗いている。護岸の柵は釣四郎のおへそくらいの高さなので何の問題も無い。背後は階段状になっており、座って休憩を取るには丁度いいし、その更に上は芝生だから釣れなくて釣れなくてどうしようも無い場合、寝転がって頭を冷やす場所にはうってつけだ。星でも眺めて対策を練ろう。
さて釣四郎は一番上流側に有る石積みの頭の部分、流れが当っている所から釣り始めた。
イワシカラーをセットして石積みギリギリにルアーを打ち込む。久しぶりにピンポイントキャストをしたけれども、バッチリ決める事が出来て嬉しいね。数年前はよくルアー乗合船に乗ったけれども、橋脚狙いの時は薄暗くて距離感が微妙に狂ってしまい、ルアーをコンクリートに思いっきりぶつけてメーカーの売上げに貢献していた。
ルアーをあれこれ替えながら少しづつ下流へ移動してゆく。ラパラのカウントダウンミノーを使うと直ぐにコツコツと底に接触してしまう。ドシャローなのだ。シンキングは使用不可である。
陽は沈み夜となった。時折橋の向うで炎が上がり川面が赤く染まる。何だろうと思ったら、東京ディズニー・シーのオリンポス火山だった。イベント中なのだろうか。かなりの迫力である。
暗くなると其処此処にベイトが現れて来た。旧江戸川で久しぶりに見るベイトの群れだ。期待が沸いて来た。しかしながら潮はどんどん引いて行く。釣四郎のリップレスミノーですらゴツゴツと底に当るようになって来て、とうとう1本根掛りでロストしてしまった。
石積みの下へ移動してみる。若干こちらの方が水深が有るようだけれども、やっぱり時々底に当ってしまう。では上手側はどうだろうかと移動してみたけれどもやっぱり同じであった。
と言う訳でこの場所を諦めて移動する事にした。初めて来たけれども、大潮満潮前後2時間くらいが限度だろうと思う。また増水時はベイトの避難場所となる可能性が高いので、そんな時期を狙って来てみたい場所である。
さて時間は19時30分。帰りの時間を考慮しなければならないので荒川まで行くと釣りが出来る時間が短い。ならば何時もの旧江戸川スポーツランド対岸へ行こう。このところ激シブの為あまり期待は持てないけれども・・・。
20時少し前に釣り場に到着した。水門は五つの扉のうち三つが開いており、水はとうとうと流れている。潮位は低く、その点においては微かな期待が持てた。
いつもの船溜り水門横へ入ってキャスト開始。
水門からの水は定期的に流れを変えてうねっている。足元ではその流れの変化を受けて時には早く流れたり、また時には上流側へ逆流したりと常に変化している。
ラパラのCD9蛍光黄色を下流に向って岸とやや平行になるように引いて来た。
コツッ!
小さなバイト
ピシッ!!
軽くアワセを入れるとグンとロッドが曲がりフィッシュ・オン!。
ロッドを通して魚の抵抗が伝わって来るが、あまり大きく無いようだ。さしたる抵抗も見せずに水面に白い魚体がユッタリと現れた。
ん!?
50センチくらいかと思っていたらとんでもない!。予想より遥かにデカかった。魚は軽く潜ったかと思うと一度激しくエラ洗いをして底へ底へとドラグを鳴らしながら潜って行く。ロッドを立ててそれを防ぐ。この下には堤防の基礎部分が突き出しているのだ。
再び浮いて来た。タモを伸ばしてランディングに入ろうとすると今度は沖へ向って走り出す。一度タモを横に置いて少々強引に寄せては走り、寄せては走りを繰り返しようやくタモに収まったシーバスは76センチであった。
ルアーのフロントフックとリアフックが軽く口を塞ぐかっこうで掛っていたので、自慢のパワーを出せなかったようだ。ルアーを外すとガバーと大口を開いた。怒りをぶちまけて居るのだろうか。
リリースするとゆったりと上流へ泳いで行った。
久々にスズキサイズを手にして大変上機嫌な釣四郎だ。
さあ、気分上々で2匹目を狙う釣四郎。しかし、更なるバイトはいっこうに来ない。ではと下流へ移動する事にした。遠くでドオーン、ドドーンと大きな音がする。東京ディズニーランドの花火だ。あのまま旧江戸川河口に居たら見物出来ただろう。
テトラ帯へやって来た。ラパラCD9を投げ込みながらゆっくりと下って行くがバイトが無い。ルアーをあれこれ替えながら移動するけれど反応は無い。全く魚が居ないとは思えないのだけれど。佐野ルアーを登場させたいが、今夜はこの場所でやる予定では無かったので持って来ていないのがちょっと残念である。
再び船溜り水門横に戻って来た。潮は下げ止まりを迎えていたが、水門が開いている為相変わらずの流れだ。この場所で23時まで粘ったけれども結局二匹目を手にする事は出来なかった。
しかしながら久しぶりの型物に大満足だ。雲の間に間に満月を間近に控えた月が、家路に向かう釣四郎の背中を冷たく照らしていた。