デッドスロー
三夜連釣録
月夜にホシ
平成13年11月27日
仕事から帰宅途中釣四郎はルンルンだった。それと言うのも本日は短時間だけれどもシーバスを狙って旧江戸川へ行くつもりになっていたからだ。
帰宅後、大急ぎでドカドカと晩御飯をお腹に押し込んで、ついでにペットの世話をしていたら満腹気分で何だか気合が抜けて来た。加えてTVのお天気情報番組は「今夜は全国的に物凄く寒い!」と日本海側の雪の様子なんぞを流している。ベランダに出て見ると風は無いけれど確かに空気が冷たくて、ますます気分が萎えて来た。釣四郎は南国宮崎育ちなものだから爬虫類のごとく寒さには弱いのだ。
しかーし、こんな天の妨げがある日こそ、もしかしたら楽しい釣りが待っているかも知れないと、残り僅かになってしまった気合を焚き付け奮い立たせて、ブクブクモコモコに着込んで出撃した。
場所は何時もの旧江戸川スポーツランド対岸、スタートフィッシングは21時だった。パンパンに着膨れした釣四郎、おかげで全く寒くは無い。風が無いので助かったが、その為水面は鏡のようで、しかも上げ潮に突入しているので上流の水門は閉じられており、流れは全くと言って良いほど無かった。海で言えばベタ凪状態だ。
とりあえず船溜り水門脇からキャスト開始。しかし全然アタリが無い。粘らずに下流のテトラ帯へ移動。
思ったよりも潮位が低くて、ポツリポツリとテトラが水面に頭を出している。根掛りしないように注意しながらラパラCD9を引いて来る。空には冷たい月が輝き、水面下のテトラが良く見える。そのテトラの下からガバアッと出ると嬉しいのだけれども、そうは問屋が何とやら。
この場所は潮位が低い時の方が良い気がしているけれども、やっぱ低すぎるのもなー。おまけに流れが全然無いと釣れる気が沸かない。当然集中力も萎え萎えになって来る。いかんいかんとルアーの引き方に工夫を入れて気持の糸を繋ぎ止めるけれども・・・、どうもね。
マリーナ前まで下って来た所で一服。ブクブクに着込んでのキャストは肩凝よ。
身体をほぐして気分も新たに釣り再開。今度は上流側へ釣り上がる。沈みテトラのエッジと思われる辺りでルアーリトリーブに変化を付けるようにしながら釣り上がって行く。
足場が1段高くなっている所までやって来た。此処から上は沈みテトラの量も少なくなってしまうので、再び船溜り水門脇へ移動する。
相変わらずの無反応。時間もだいぶ遅くなって来てしまった。もう少しやったら帰る事にしよう。少しだけ風が出て来て、水面に映る対岸の明かりが細かく震え出した。
リトリーブ速度を目一杯遅くしてみる。
コン!
おおっ!!!。ビシッとアワセを入れるとグンとロッドが曲がった。と思った瞬間フッとロッドの曲がりが元に戻ってしまった。
ヒイー、一瞬でバラシてしまったあ!!。
けれどもシーバスの存在に元気が出て来た。デッドスローだ。再びキャストして極極ゆっくり引いて来る。
コッ
凄く小さなバイト。残念ながら釣四郎にはコイツをフッキングさせるテクは無い。
今度は岸とほぼ平行に引いてみる。
クン!
よっしゃああ!。ビシッと合わせるとばっちりフッキングに成功。一気に水面に出て来たシーバスは半分顔出しの横へスライドして行くような中途半端なエラ洗い。少しだけドラグを鳴らしたけれども温かい季節の時のような漲るパワーは噴出しない。あっさりとタモに収まった。
大きく見えたが計ってみると65センチだった。体高が有り実際の大きさよりもかなり大きく見える魚だ。背中から側面にかけて点々と模様が・・・。ホシスズキ(タイリクスズキ)である。ここ旧江戸川で釣四郎は時々コイツを釣っているけれど、そのうちマルスズキよりもポピュラーな存在になって行くのだろうか。
この後暫くキャストしたけれども、さっきのホシスズキが暴れた為かノーバイト。時間も23時を過ぎてしまったのでストップフィッシング。明日も仕事が有るのだ。
空気は冷たいけれども、シブイ中で1本掛ける事が出来たので気持はホカホカで旧江戸川を後にした釣四郎だった。
ストリンガー
平成13年11月28日
昨夜に引き続き、今夜も冷たい月に照らされた旧江戸川スポーツランド対岸へやって来た。昨夜は納竿直前に試したデッドスローに魚が来た。当然今夜は最初からデッドスローだ。シーバスは確実に居る。期待を胸にタックルをセットする釣四郎だった。
21時05分。船溜り水門前からスタートフィッシング。またまた鏡の様な水面だ。パラパCD9をスローにスローに引いて来る。数投したけれども期待にに反してノーバイト。直ぐにテトラ帯へ移動する。
そろそろ潮は下げ止まり、潮位が一番低い時間で昨日よりも更に低い。沈みテトラは其処彼処に頭を出している。
恐らくシーバスはテトラの向こう側、エッジの部分に付いていると思う。そこで釣四郎の作戦はこうだ。沈みテトラの向うにルアーを着水させて沈める。スローに引いて来てテトラの手前ギリギリでリフトし、エッジをなめるように引いて来る。と言う根掛り危険度Aクラスのモノであった。
神経を集中させて引いて来る。案の定時々カツカツとテトラに接触するし根掛るけれど、スローに引いているのでガッチリと掛って仕舞い回収不可能になってしまう事は無かった。昨夜の感じからするとシーバスの活性は低くバイトも小さいだろう。テトラとの接触による擬似アタリとの違いに気を付けなければ本当に根掛り連発となってしまいそうだ。
数投しては数メートル移動して少しずつ下って行く。引いて来たルアーをテトラに沿ってスウーッとゆっくりとリフトしていた。
ククッツ
!?!?!?!?
ビシッツ!!
グンとロッドが曲がってヒットオ!!。やっぱり居たね。コイツはジャンプをせずに突っ込みもせず水面を重く重く右へ左へのたうつ。ドラグを鳴らす事も無く、難なくタモに収まった。いい型だ。
フックを外そうと明かりを当てると何か変。口に何かを咥えている。良く見てみるとストリンガーであった。一度釣られてストリンガーにキープされた魚なのだ。その時、どういった理由かは知らないけれどもロープからストリンガーが外れてしまい、お刺し身になる事を免れたのだろう。
しかし、口に大きなストリンガーが掛ったままでは色々と不自由だったに違いない。外してやってリリース。
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この73センチにはストリンガーが・・・
一服して再びキャスト開始。
マリーナ横の造船所前まで来た。
ググン!
明確なアタリ。アワセを入れるとバシャバシャバシャっと元気なエラ洗いを繰り返す。チビッコだけれども元気なヤツが掛ると楽しくなっちゃう。
元気な55センチだった
リリースしてマリーナ前まで来た時迂闊にもルアーがガッチリ根掛った。回収器なども投入したけれども外れない。ロスト覚悟で引っ張るとラッキーにも外れてくれて助かった。
この後、再び船溜り水門脇で狙ったけれどもバイトは無かった。気が付いたらもう0時近く。予定よりかなりオーバーしてしまった。ストップフィッシング。今夜も温かな気持で釣り場を後にする釣四郎だった。
虎落笛(もがりぶえ)
平成13年11月29日
気を良くして今夜もやって来ました旧江戸川。場所は連夜の江戸川スポーツランド対岸だ。
20時30分に釣り場に立つと、まだ上流の水門が開いており若干流れが有った。そして風も有り小波が川面を揺らしている。昨夜までは満月に近づいて次第に丸さを増して来た月が冷たく輝いていたけれども、その月も雲に隠されて姿が見えない。
とりあえず船溜り水門脇からスタート。例のショートバイトは有るけれども、フッキングに持ち込めるアタリは無い。そこで下流の沈みテトラ帯へ移動。
湿気を含んだ風は段々強くなって来る。時々頬にポツッ・・・ポツッ・・・と雨粒まで運んで来るようになった。そんな状況のなか釣四郎は今夜もデッドスローでシーバスを狙う。
流れが急に無くなった。上流の水門が閉じられたのだ。この場所でカウントダウンミノーを沈めてデッドスローに引いて来るには流れが無い方がやりやすいけれども、魚の活性も落ちるような気がする。幸い風が有るのが救いだが、水面が荒れて水中のテトラの様子が極めて見づらい。また、揺れる小波に対岸の明かりが反射してラインの様子もすこぶる確認し辛い。ルアーがどの辺りを泳いでいるのかが判らないのは困ってしまう。野生のカンに頼るしか無いようだ。
昨夜はマリーナ前まで釣り下って、そうして引き返したので本日はその下流を狙ってみる。こちらは更にテトラがキツイので更なる注意が必要だ。しかしその分期待が持てた。
しかし全くアタらない。この辺りでは川幅が最も狭くなっている所だから沈みテトラの幅も狭いようだ。そこいらが原因かなと思って昨夜攻めた上手側へ移動してみた。
風はどんどん強くなる。こんな風の時は佐野ルアーを投げたいところだけれども、いかんせん潮位が低すぎる。根掛りには強い佐野ルアーだけど、流石に此処までテトラが現れると辛いだろう。
ラインが風になびく。更にはロッドまで煽られるようになって、ルアーがテトラと接触しているのかどうかも解らなくなって来た。これではショートバイトなんて取れない。船溜り水門脇へ移動してみる。
ヒョオオオオオーーー・・・・、ヒョオオオオオーーー・・・・。
堤防の上に有る柵に風が当って虎落笛(もがりぶえ)が鳴っている。ショートバイトどころかアタリそのものも取り辛い。ストップフィッシングだ。強い風に追われるように釣り場を後にした。
今夜のような強風の時はバイブレーションの方が良かったのかな?。状況が変化しているのに、何時までも同じ釣り方に固執して抜け出せなかった釣四郎でした。