小雨の水門下
平成14年6月12日
昨夜は生温かい風がビョービョーと吹きまくり、気持ち的にはワクワクする夜だったけれども、いかんせん釣りには全く期待出来なかった。
ところがどっこい今夜は北よりの風が適度に吹いて涼しい夜だ。小雨交じりだけれどもこいつはチャーンス!!。勿論釣四郎は晩ご飯もそこそこにロッドを担いでスクーターに飛び乗った。
向かった先は当然旧江戸川だけれども、何時ものスポーツランド対岸では無かった。
江戸川スポーツランドのすぐ上手に江戸川水門が有る。この水門は中ノ島を挟んで二つの水門からなっている。一つは純粋に水量調節の為の水門。もう一つは船用の水門。この船用水門は東京都側に有って、船が此処を通過する時にはこの水門が開くのだ。
そして今夜、釣四郎はこの船用の水門下にポイントを決めた。何故なら、今夜釣りが出来る時間帯の潮位が高いのだ。
何時ものスポーツランド対岸は素敵なポイントだけれども、いかんせん釣四郎の経験では潮位が低い時の方が有利なんだ。
それに対してこの水門下には船が通過する関係上カケアガリが有る!。このカケアガリは潮位が低いと肩から上がシャローすぎてお話しにならない。つまり潮位が高いほうが釣りやすいのだったったあ。
さあ、野生のカンを信じて釣四郎は小雨に煙る水門下にロッドを持って決然と立ったのでありました。
でもその前に、チョットだけスポーツランドの水上バスステーションに有る桟橋にルアーを通してみた。けれども全くの無反応。けっこう期待をしていたのだが残念だ。ウォーミングアップと言う事にしておこう。
水上バスステーションの柵を越えて水門へ向かう。以前此処を訪れた時には、巨大レンギョの腐乱死骸が二つも転がっており、以来気分的に好きではなかったのだけれども、釣四郎の背中に取り憑いている坊主が勢力を盛りあげている今、そんな甘っちょろい事を言っている場合では無いのであった。
先ずはバイブレーションで。こいつを引くとカケアガリの位置がつかめる。大体の位置を把握してしまえば、その手前でリフトしてシーバスに誘いをかける事が出きる。
ところで釣四郎は今回、毎回毎回これでもかと使用して来たラパラCD9を持って来なかった。ラパラ以外の釣りを習得してみたくなった為なのだが、これがなかなか難しい。
ラパラはただ引きですこぶる強力にして安定した威力を発揮する素晴らしいルアーだけれども、逆に言えば芸も面白みも無いルアーだと言えない事も無いと思う。
市販されているルアーは、使い方さえ間違わなければ釣れるルアーに違いない。問題はその「使い方」。コイツが解っていないと魚にプレッシャーを与えるだけのモノとなり、たまに釣れてもそれは偶然と言う事になる。
あま、この辺りを考えながら「イッチョウやってみるか」としているのだ。それに釣れなくても「大きな収穫があった。」とか「糸口が掴めて来た。」とか言った何ら具体性のカケラも無い言い訳も出きるしね。
水門の真下までやって来た。ゴソゴソッと言った感じのアタリにアワセを入れたけれども乗らなかった。直後、大きなV字波が辺りに広がる。シーバスどうかは不明だけれども、一瞬、釣四郎のオデコに焼き付けられた外道王の烙印がテカッと光ったような気がした。
最近、リップレスのルアーが流行っているけれども、釣四郎も今夜はそんなルアーを使用していた。「メケメケ」のヘッドヘッドをゆっくり引きながら時折極極小さなジャーックを入れてる。カケアガリのほんのチョット手前でこれまた小さくジャーックして暫く止めておく。これを繰り返していた時だ。
再び水上バスの桟橋方向へ釣り下ってゆく。
ゴトゴトゴトッ
まるでルアーが底をとっているようなアタリ。
本当にアタリかいなと半信半疑で軽くロッドを立てるとバシャバシャバシャッといきなり目の前の水面をエラアライでシーバスが蹴散らした。
「おおおおお、シーバス!」と慌てて追いアワセを2,3発入れる釣四郎。
ファイトが極近場で展開するので至極楽しい。久しぶりのシーバスのジャンプに思わず「おうおうおうっ!」っと声が出てしまう。
無事にランディングしたのは61センチのシーバスだった。アタリは何だかシャッキッとしなかったけれども、ファイトはすこぶる元気で、「夏のシーバス」って感じだった。いや、この嬉しい1本にニッコリの釣四郎だ。
ところで最近釣四郎はフックをバーブレスにした。ものすごーっく不安が有ったけれども、この1本で完全に気持ちが吹っ切れた。「ちゃんとテンションを保っていれば大丈夫!。逃げられたら、それはそれで運が無かったと思えば良い。カエシが有ろうが無かろうがバレル時はバレルのだから。」と言った心境にやっとなれたよ。イヤイヤ、釣四郎も成長したもんだ。
当たり前の事だけれども、バーブレスフックはルアーを魚から外す時にすんごく楽だ。3本錨のトレブルフックの2本が掛かっていても一発で外せちゃう。今までは「チョット待ってろよー、今外してやるからなー」などと言いつつ苦労していたけれども、バーブレスは流石にスンナリと外せちゃう。皆さーん、けこう良いですよバーブレスは。