ダブルヘッダー
長崎 ルアー シーバス 青物
2005年8月28日
深夜二時をを過ぎた頃、釣四郎は小江漁港の堤防の上に立っていた。
例によって一人で始めての場所、しかも真っ暗なものだからうろうろうろうろしまくった。深夜に水辺の公園を一人で歩いていると心細いったらありゃしない。ポ〜ンポ〜ンと何処からかピンクのゴムボールが跳ねて来て、キャッキャッと子供の声でも聞こえて来たら・・・なんて考えたらオシッコちびりそうだったよまったく。
で、無事ポイントである堤防の先端にたどり付く事が出来た。テトラ帯だけれども明かりがあって夜でも安全にテトラに降りる事が出来た。
此処は川がらみの港なので、先日の台風が連れて来た雨の影響が懸念されたけれども水はクリア。予想よりも遥かにクリアすぎる。もうチョットだけ濁っていたほうが良いのだけれども、まあ夜だから良いか・・・。
外灯の明かりを頼りにタックルをセットしキャストを開始する。狙いは勿論シーバスだ。
明かりによって出来る堤防の明暗部。テトラの際。沖目。表層。中層。底。船道があるだろうと思われる辺り。尽く狙いルアーを通しシーバスを誘ったけれどもコツリともアタリは無かった。
雰囲気は良いけれどベイトが居ない。明かりにイワシでも群がって居てくれればチャンスは大有りなんだけれども・・・。
そのうち雨が降り出しやがった。最初は気にするほどの量では無かったけれども、そのうちマジメに降り出した。何時もは万が一を考えレインウェアを持って来るのだけれども、今夜に限って持って来ていない。クッソオーッ。
車までは遠い。とうする!?。とりあえず止むまでテトラの影にガサゴソと潜り込んで雨宿りだ。
暫くたつと雨も止み釣り再開。
だがしかし、またまた降って来やがった。再びテトラに潜り込む釣四郎。
ところが今度はなかなか止まない。チョット小降りになったかなーと思っているとザーザー降りに逆戻り。悶々とした時を過ごす。
テトラの中でじっとしていると首や腕の辺りを何かがモゾモゾ這い回る。始めは気のせいかと思ったけれども、やっぱり何かが間違いなく釣四郎の身体を這いずり回っている。そのうちソイツはTシャツの下に入り込み腰の辺りを徘徊しだした。それをバシッと上から押さえ込みつまみ出したらフナムシだった。
ぎょえーーーーーっ、いまや釣四郎の身体はフナムシ御殿と化しつつあった。
水に濡れたイヌの様に全身を身震いさせフナムシを追い払いひたすら雨が止むのを待つ釣四郎。
幾度となく繰り返された身震いの果てに遂に雨は小降りとなって来た。
退却うーーー!!。
こうして釣四郎はフナムシ地獄から脱出した。
車に戻る途中、仕事の準備をしていた漁師のおじさんに話しを聞いたらやっぱりシーズンは春先なんだそうな。どうやら東京湾のように一年中釣れると言う訳にはいかないようだ。夏鱸はいったい何処におるんかなー。
夜明けも近い。釣四郎は以前アオリを狙った1キロ堤防に向かってアクセルを踏み込んだ。
1キロ堤防。新聞には良い型の青物があがっていると書いてあった。しかも写真付きでだ!。
実はこの報道に目が眩み過去2回ほどトライしているのだけれども、いずれもチビッコネリゴをゲットしただけに終わっているのだった。チビッコとは言え、高速ジャカジャカ巻きのルアーを追って来るのが見えるものだから、これはこれで熱くなっちゃう。しかも食う直前で見切られるものだから尚更だ。
しかーし、忘れてはいけない。狙いはチビッコでは無い!。あくまでも両手で抱える青物だ。今度こそ!、こおんどこそお!!。そんな思いを胸に釣四郎は夜明けの1キロ堤防に立ったのだった。
今回は堤防の上からではなく、手前のテトラに降りてキャストを開始した。ルアーは勿論メタルジグ。
ルアー着水後すぐにジャカジャカやる。次はショートジャークのジャカジャカをやる。今度は暫くルアーを沈めてジャカジャカ。その次は底まで沈めロッドを立ててジョートジャークのジャカジャカ。またまた表層でのジャカジャカ。
いやまったく疲れるぜ!。
必死で巻き上げているとググーーーーンと重くなった。
来た来た来たあ!!。
だけれどもドラグは鳴らない。右へ左へ突っ走るけれども軽い。
あがって来たのはやっぱりネリゴ。
ネリゴとはカンパチの若魚の事を言うのだそうだ。カンパチは別名ネリと言い、その子だからネリゴ。出世魚ではないからどのくらいの大きさまでをネリゴと言うのか判らないけれども、「3キロのネリゴ」と書いてあるページもあるのでかなり大きくなるまでネリゴと呼ぶようだ。
沖でボイル!。
メタルジグが何とか届く距離だ。チャーーンス!。
うりゃあ!!。
着水と同時に高速ジャカジャカ巻き。
アタリ無し!。
もういっちょお!、おりゃあーっ!!。
リキが入って超高速ジャカジャカ巻き。
アタリ無し!。
あっと言う間にボイルは遠ざかって行ったけれどもまだまだ居るはず!!。
とうりゃあーーっ!!。
更に限界超高速ジャカジャカ巻き。
巻け巻け巻けえええええっ!!!!、うあああああーーーっ腕が限界じゃあ!!。
くっそーっ、アタリ無し!。
数年前に神奈川県の三崎港で知り合ったルアーマンが釣四郎の目の前でイナダをゲットしたけれども、あんなのオイラも釣りてーぞーっ!!。
意欲とは裏腹に腕だけ疲労困憊の釣四郎、ちょっと休憩。
この堤防に到着した直後から小雨がパラパラ降っているけれども、ボイルが起これば全く気にならない。堤防ではアジコ(マメアジ)がけっこう釣れている。恐らくベイトはコイツ等だと思われる。
暫くキャストしていると何かがルアーを追っているのが見えた。しかーし食わない。
くっそー、アッタマ来ちゃう。またまた熱くなる釣四郎だった。
底からショートジャークで巻き上げているとグングングーーーーンと魚が乗った。
よっしゃーっ、ヒットオ!!。
しかしコイツもネリゴ。テトラの際で無茶苦茶走るものだからリーダーをボロボロにされちゃった。
再びボイル!。今度は広い範囲にわたっていてそこかしこでシブキがあがる。
一気にヒートアップしてジャカジャカ巻きまくる。キャストしまくる。腕が悲鳴をあげる。けれども乗らない。なんでぢゃあ!!!!。
例によってあっと言う間にボイルは静まってしまった。
それでも釣四郎はガンバル!。
ジャカジャカググーーーーンン!。
おっしゃあ、ヒーット!!。
今度は前より手応えがあるぞお!、パワーが違う!!。
けれどもやっぱりネリゴ。一回りサイズアップして30センチオーバーだった。
シイラやイナダは来ちょらんのかなー?。
ザザザーッ。
異様な音に振り向くと極狭い範囲にダンゴ状に固まったベイトが水面を蹴散らし逃げ回っていた。
ナブラだ!。
もう腕がヘロヘロヨレヨレだけれども気持ちは一気に盛り上がった。
でりゃあーっ、根性ジャカジャカ巻きいっ!!。
来ない!。
うりゃあーっ、闘魂ジャカジャカ巻きいっ!!。
来ない!!。
ぬりゃあーっ、精神力ジャカジャカ巻きいっ!!。
来やがらない!!!。くやしーーーーっ!!!!。
だんだん休憩をとる間隔が短くなって来た。しかしへばってはいられない。一発が待っている一発があ!。
お日様もだいぶ高くなって来た。「タイムアップも近いかなあ。」と思っていたところにまたまたヒット!。おそらくネリゴだろうけれどもガンガン走る。少しだけれどもドラグも鳴らしてくれた。抜きあげるとこれも30センチオーバー。
これくらいになると走りのパワーも違って来る。このサイズでこの走りならば数キロクラスならばどんな事になっちゃうんだろう!?。ドキドキしてきちゃう!!。ボイルしているのはこのサイズのネリゴではないかと思われる。
もー流石に体力の限界と思っていたけれども、魚が釣れた途端に何処に隠れていたのかモッコシモコモコ元気が湧いて来た。
ザザザザーーッ!。
おおおおおおっ、ナブラ発生。しかも釣四郎の正面!。
ずりゃあーーーっ、キャストオ!。
ターボ全開!。
ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ!。
くーっ、バイトしない!。
まだナブラは消えない。
ぬおりゃーーーっ、キャストオ!。
アフターバーナー点火あ!。
ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ!。
かーっ、バイトしない!。
あーっ、ナブラが散って行くう!!。
とりゃーーーっ、キャストオ!。
ロケットブースター点火あ!。
ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ!。
くっそーっ、バイトしねーー!!!。
もー腕がくたくた。もー限界。もー巻けねー。暫く休憩!。
それからも釣四郎は頑張った。ヘロヘロの腕になけなしの若さと元気をブチ込んで頑張った。へこたれそうな腕を説得しなだめすかしお願いし頑張った。けれども遂に型物のヒットは訪れなかった。くーっ!。
気が付けばもうお昼。流石にこれ以上は期待出来ないだろう。ストップフィッシングだ。
青物狙いはなんて過酷なのだろう。同じルアー釣りでもシーバスのナイトゲームは想像力の世界だ。「あのテトラの際に魚が着いているだろうからルアーをこう通してここで誘いをかけて食わせるタイミングをつくってやって・・・」などと思いながら水中のルアーをイメージして「来い!、来やがれ!、居るんだろうそこに。」と呟きつつ釣るけれども、この青物釣りと言ったら壱に体力弐に体力って感じだ。
だけれども諦めないぞお。次は栄養ドリンク山ほど買い込んで勝負ぢゃ!。待っとれよお!!。
帰り支度を済ませた後、堤防をチョイト覗いて回ったら立派なサヨリが釣れていた。サビキでアジコを狙うよりこれ専門のほうが絶対よさそうな感じだった。
今回の釣行ではこのカニを沢山見つけた。大きいヤツで甲羅が大人の拳くらい。なんてカニか知らないけれども、コイツを追っているのかタコがテトラの間を泳いでいくのも見た。ちょっと不思議な光景だった。 |
追記
やっぱ一回寝てから出撃せんとイカンね。キツイわ。宿に帰り着いた釣四郎は15時間ほど爆眠してしまった。
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