梅雨明けの磯で
長崎 シーバス
2005年7月17日
長崎は梅雨が明けた。
入梅宣言からずーっと雨らしい雨が降らない空梅雨が続いたけれども、ここへ来てラストスパートがやって来た。一時は地球温暖化の前に砂漠化が始まるのではないかと危惧していた釣四郎だけれども、一気にドバドバーッと雷のおまけ付きで大雨になっちゃったものだから、長崎の小さなダム達はカラカラ大減水状態からいきなりタプタプ満水状態に復活した。
長崎地方は大きなダムが無いものだから空梅雨は大問題なんだ。佐世保では夏を待たずに節水が行われていたくらいだ。しかしこれでやっと一安心出来た。
さて、降水確率午前10%午後0%の素敵な休日が予想される日曜日、釣四郎は朝も暗いうちからシーバスをゲットすべく仲間と出撃した。
今回釣り場へ案内してくれるのはNA氏。いつもの”お気軽堤防隊”のメンバーではなく本格磯釣り師だ。磯ド素人の釣四郎の為にポイントをチョイスしてくれた。
で、連れてこられたのは島。
島と言っても渡し船やフェリーで行くのでは無く立派な橋で本土と結ばれている島だ。
この橋が有料で片道700円もしやがった。この頃橋梁工事の談合問題が騒がれている事を、世間にうとい釣四郎ですら知っているものだから、「こいつぁーもしかして・・・」とつい疑っちゃいましたぜ。
さて釣り場へ着いたけれども、そこはかつてこの島が炭鉱で盛り上がっていた当時を偲ばせる廃墟の裏の海岸だった。
ウェーダーを着込んで廃墟を眺めつつ浜へ向かって下る。
浜は砂と言うには大粒だけれども砂利と言うにはあまりにも小さい極小の石粒で構成されており、その小さな浜の両脇が磯になっていた。
両方の磯には既にそれぞれ二人一組づつの釣り人が入っており、釣四郎達はこの浜で釣る事にした。現在ルアー修行中の磯釣り師は過去にこの浜でシーバスをゲットした事があるのだ。
水が濁っている。手前の水は赤黒くチョイト沖は軽い濁り。いいかも知れない。
タックルをセットしてジャボジャボと膝下まで入水してキャスト開始。
釣四郎はウェーダー初体験だけれどもコイツは素晴らしい。実に素晴らしい!。波に合わせて忙しくキャストしなければならない長靴とは雲泥の差だ。それにルアーの飛距離が断然違う。ブラボーだぜえ!!。
最初は定番でセオリー通りにイワシカラーで狙っていたけれども濁りを考えアピール系に替えてみた。泳がせ方もただ巻きからリトリーブスピードをやや落としたストップ&ゴーに変えた。コイツが良かったようだ。
グン!、グングングン!!。
と来た。
シーバスが来た!!。
アワセを入れて巻き上げる。
ジャンプをしてくれないけれどもイカやアラカブ(カサゴ)とは全然違うこの感じ。ドラグも鳴らないし恐らく中学生サイズだろうけれども紛れも無いシーバスの抵抗。
これだぜ、これ!!。これが釣四郎の求めていたヤツだぜ!!。
あがって来たのはやっぱりチビッコシーバス。
でもムッチャンコ嬉しいシーバス。
綺麗なシーバス。
長崎での初シーバス。
嬉しい一本。
いつもの旧江戸川では、「狙っているのは君じゃあないんだよ」と言ってリリースするところだけれども、この一本は嬉しかった。
写真を撮ってリリースすると波打ち際を突っ走って帰って行った。
もう満足。大満足。
煙草をふかしてお茶を飲み一息ついたところで、至福の中に霧のように拡散して行った戦闘意欲を再びかき集め集結させて次を狙う。
ちぎれ藻が多くなりミノーでは釣り辛くなって来た。おまけに脇にある崖の上からお日様が顔を覗かせ始めた。
ルアーをフローティングミノーからシンキングに変え、更にバイブ、メタルジグへとチェンジしていく。だけれども反応は無い。
暑い。ウェーダーは暑い!。ブワッと猛烈に暑い!。汗がガンガン噴出して来た。
崖の近くの日陰へ逃げ込み小休止。一服していると磯にいた組が帰ってゆく。ルアーマンだ。近くを通った時に声を掛けると獲物のでっかいチヌ(黒鯛)を見せてくれた。チヌ(黒鯛)もルアーで釣れると聞くけれども実物を見るのは初めての釣四郎だ。
磯場が空いた訳だ。当然そこへ入る釣四郎。
足場は全面フラットで実に釣りやすい。所々に大きな溝があるけれども、そいつさえ気を付けていれば何の問題も無い釣り場だ。
若干の濁りとサラシで雰囲気はバッチリな感じ。
ストンと落ちこむエッジ部分をねちっこく攻めてみるけれども無反応。
そこへ休憩していた磯釣り師が参戦した。
幾ばくもたたないうちに「追って来た!、追って来た!!。」と磯釣り師。
釣四郎のキャストにもリキが入る。
チョイト場所を移動した。
足元の水面下はテーブル状に前に突き出していて、2メートルくらい先でストンと落ち込んでいる。更にその先に大きな岩が沈んでいて、沈み岩と足元のストンの間の数メートルに波が来るた度にサラシが出来ている。
だんだん磯でのルアーの動かし方が判って来た。ただ漠然と引いていたのではよろしくない。波によってできる流れに合わせなければならない。
ルアーはレッドヘッド。
沈み岩の向こうへキャストする。そうしてゆっくり引いて来た。岩をかすめた辺りで引き波が来る。
リトリーブを止めると引き波を受けてその場で泳ぎ続ける。
真下から黒い影がいきなり高速で出現しレッドヘッドを引っ手繰った。
ノシッとロッドが曲がる。
腰を入れてフッキング。
ガンガンガン!。潜る潜る!。どんどん潜る!!。
すんごいパワー!。相手は何者だろう?。この力、もしかして噂のヒラスズキか!?。
ポンピングするようにリールを巻いて浮かせる。
ついに波間に魚体が現れた。
チヌ(黒鯛)じゃあ!。
なるほど力強い訳だ!!。
ネットを伸ばしてランディング。しかしこれがなかなか難しい。波!。さあ入れようとすると波が邪魔をする。
本日は遥か沖縄方面に出張って来ている台風の影響か定期的にうねりがやって来ていて、こいつが来ると大飛沫が磯に舞う。ランディング中なので逃げる事も出来ず頭からドッパリかぶっちまったい。ずぶ濡れじゃあ!!。
やっとの事で取り込みに成功。フックをバーブレスにしてあるのでドキドキしちゃった。
いや、初めてルアーでチヌ(黒鯛)を釣ったぜ!。オデコがコブ状に盛り上がっている迫力有るツラをしたヤツだ。
磯釣り師に「持って帰る?。」と尋ねると首を横に振る。長崎ではチヌ(黒鯛)の人気は今ひとつのようで、磯のメインはメジナ。チヌ(黒鯛)は外道らしい。うーん信じられんよ、まったく。
リリースした後、煙草に火を付け満足感で一杯になった心を楽しむ。
さあ次だ!。ロッドを手にして再び磯際へ立つ。
数投目に、チビッコイけれども再びチヌ(黒鯛)が追って来た。バイトには持ち込めなかったけれども、こいつ等やる気満々じゃん!。
釣四郎の気持ちはヒートアップした。
だがしかし、身体の方もヒートアップしまくっていた!!。
急に身体が重くてだるくなった。足元がフワフワする。感じが変だ。体中にノイズが溜まっている。随分昔、学校の全校朝礼で味わった事のあるクラクラする感覚。貧血をおこしかけている時の感じだ。
ヤバイ、熱中症になりかけている!!。
急いで岩陰に戻って腰を下ろすと手の先っぽに軽いシビレを感じる。ウェーダーを脱いでシャツも脱ぎ、水分を取ってクールダウン。ちょうどソヨソヨと風も出て来て気持ちがいい。
危うく全国300万の女子高生ファンを悲しませるところだった。
磯釣り師も暑さにたまりかねてウェーダーを脱いだ。
ストップフィッシング。
楽しかったけれども、いい教訓にもなった。
ウェーダーは実に素晴らしいけれども暑さに著しく弱い。身体を冷やしながら釣る方法を考えなくては。アイスノンでも懐に忍ばせようかと真剣に考えてしまった釣四郎だった。
今回のヒットルアー
えーと、何てルアーだっけ。忘れてしまいました。数年前の国際フィッシングショーでもらったヤツ。シーバスゲット。
タックルハウス M 黒鯛ゲット
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