アジ曽根

餌釣り 鯛 長崎

2006/04/01

 

 桜の時期になると恒例となった乗っこみの鯛を狙っての アジ曽根釣行の話しが持ち上がる。あの場所はウネリが強力なので釣四郎は船酔い地獄に落ちてしまう。あまり乗り気では無かったのだけれども半強制的にメンバーに入れられてしまった。

我等日本人は何故だか鯛が好きなのだけれども、それは縄文時代の貝塚から鯛の骨が出土しているから、随分大昔から鯛を好んで食していた事がうかがえる。

江戸城では何かしらの祝いの行事があると必ず鯛の尾頭付きが食事に出された。江戸城には全国の殿様とその側近及び幕府の役人その他大勢がドカドカ登城し常駐ているからその必要数は大変な量になる。当時は大型冷凍庫が無かったから捕れたての鯛を山のように調達しなければならない事になる。それは当然不可能。

そこで幕府は専用生簀を江戸と近隣の漁村に設けさせ日頃から捕れた鯛を此処にキープさせていた。こうして膨大な消費量をまかなっていたのだけれども、こんな事をしてまでも鯛を出したい食べたい食べさせたい日本人。鯛は今も昔も食の王様だ。

江戸時代の料理のレシピ本に 鯛百珍料理秘密箱 と言うのがあったそうなのだけれども、なにしろ秘密箱でっせ。なんだかそそられるタイトルだけれども、それには鯛料理のレシピが102種類も紹介させれいたそうな。102種類でっせ、こりゃもう大変な数だね。しかも当然純和風のハズだろうから、限定された調理法及び調味料でよくぞそこまでと関心してしまうほか無い。

鯛と言う呼び名は 平魚(たいらうお) が略されて タイ となったと言う説や 恵比寿様の釣るめでたい魚 からそう呼ばれるようになったとか はたまた上級魚としての大位(たいい) から来ているなど色々あるようだ。

エビで鯛を釣る と昔から言われているけれども、鯛が赤いのはこのエビを好んで食べるからなのだそうだ。エビの殻に含まれるナントカと言う難しい名前の色素のせいで赤くなるのだそうだけれども、そうするとチヌ(黒鯛)をエビで養殖すると赤い黒鯛になるのかしらなどとヒネクレた考えもチラリと浮かんでしまった。

この魚は長生きする魚で30年とか40年とかの長寿魚なのだそうだ。これくらい長生きであれば噂に聞いて「ホンマかいな」と眉にツバをこすり付けたくなるメーターオーバーの話しもまんざらウソとは思えなくなって来る。

 

話しはそれまくっちゃったけれども、この日のアジ曽根はナギまくっていた。季節天候関わり無くウネリがある海だと信じていたけれども、その穏やかさに驚いてのスタートだった。

こんな穏やかな日も有るのかと安心しまくっていたら、午後には風が出て来て案の定 北島サブちゃんの演歌の海 に変貌してしまった。しかも雨のおまけ付きときたもんだ。おかげでやっぱり今回も釣四郎は最後に船酔い地獄へ叩き落された(オマツリをじっくり解いているうちに来ちゃったよ)。

釣果のほうはと言うと、釣四郎はたった3匹。不慣れな3本針、4本針の手前マツリに苦しみました(くっそー、提供された仕掛けのハリスをブッチンブッチン切って1本針か2本針にしちまうんだった)。

しかしながら「たった3匹」は鯛釣りで使う言葉じゃないね。

では他者はどうだったかと言うと、これがもー前回同様釣れまくり(昨年の釣行記「鯛の嵐」参照)。超大物は釣れなかったけれども、しかしながら50や60センチオーバーは珍しくない。これ位の型だと最初は「うおー、デッケー!」と皆が叫ぶのだけれども、そのうち「おお、いい型じゃん」になっちゃうからこの海は恐ろしい。しかも外道がほとんど来ない。ナントカって魚(どうやら高級魚らしい)が2匹だけ。後はぜーんぶ鯛、鯛、鯛ずくし。

おお、良型

写真を撮ろうにも船長がチャッチャカ針を外して生簀にほおり込んじゃうからその暇も無い。「喜んでいる暇があったらサッサと餌付けてもっとデカイの釣っちまいな。」ってな感じだ。

ダブルで来ちゃったよ

釣れて来る鯛に黒っぽいのや綺麗なピンク色をしたのやらが居るので後で船長に聞いてみた。すると黒っぽいのはオスでピンクのはメスとの事だ。産卵を控えたこの時期になるとオスはそうなるのだそうだ。そうして産卵をすませるとオスもメス同様のピンク色に戻るのだそうだ。やはりオスは黒々としたデカイのに限るって事ですかね。釣四郎ってばチョイト卑屈になりそう・・・。

釣四郎のも良い型でしょ

今回我々は2隻に分かれて釣行したのだけれども、もう1隻の方は数より型狙いのポイントに入り大型をズラリと揃えて帰って来た。生簀から大物が甲板にゴロンゴロン掬い出される光景は壮観でしたぜ。こちらも外道は少なかったけれども、その中に40センチクラスのクロ(メジナ)が3匹も混ざっていたのにはビックリした。磯もしくは岸近くに住むと思っていたのに、こんな海の只中に居るとは・・・。しかもタナは60メートル前後なのに。これには驚きの釣四郎だ。

このサイズが美味いんだよね

釣りの途中で電動リールがぶっ壊れると言うアクシデントに見舞われた人もいたけれども全体的には皆大満足な釣行だったようだ。

やはりアジ曽根はとんでもない釣り場だった。

なるほど平魚(たいらうお)だね

ちなみに何故此処を「アジ曽根」と言うのか船長に尋ねたところ、「味気の無い根」だからアジ曽根と言うとの説を教えてもらった。確かに回りは海だけで景色の変化は何も無いけれども、この爆釣の海を味気無いとはまいっちゃうね・・・。

我々5人の釣果

大型クーラーを持ってこないとこうなっちゃう

 

追記

写真には写っていないけれども、もう一人釣りまくりの人がいた。60センチクラスを釣りあげたのでカメラを向けると、「こんなサイズで撮らんといて」だって。もーみんな感覚がマヒあいちゃってたね。

この時期の鯛を特に「桜鯛」とか「花鯛」と呼び、昔から珍重されているとの事だけれども、花見の季節がら桜を見ながらお酒に酔うハズが桜鯛を釣って船に酔った釣四郎でした。シャレにもならんの〜、トホホ。

翌日起きたら部屋が何となくコマセ臭い。ウエアーからバックから昨日使用したモノ全てにコマセの匂いが・・・。勘弁してくれよ〜。日曜の午後にユニットバスでジャブジャブ洗濯する釣四郎の姿があった。

 

参考:当日の船

昭栄丸 長崎県 茂木港

進栄丸 長崎県 木津港

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