千々町の地磯U
長崎 ルアー シーバス
2006/3/19
前回磯のヒラスズキを狙ってカスリもしなかった。そこで釣四郎は考えた。
ヒラスズキと言えばサラシ。では何故サラシなのか。
サラシが出来る場所は波が岩にぶつかり複雑で強いな流れが発生している。この流れの中ではベイトに対して遊泳力に勝るヒラスズキが有利。しかも海面下の細かな気泡がヒラスズキの存在を隠してくれる。また水面に広がったサラシが魚を水鳥から守ってくれるのでベイトの活動も大胆。しかも空気が水に揉まれて溶存酸素量が他所と比べて多いので活性が上がる。
まあ、こんな理屈でサラシでヒラスズキが出るのではと愚擦した。
しかし、サラシがドヤ〜ッと広がる磯は荒れた磯。地形と気象と何より釣行日が限定されるなかで条件が100%満たされるのはなかなか厳しい。
ではこの条件の外でヒラスズキにアタックをするにはどうすれば良いだろうか?。
ヒラスズキだってサラシの磯意外でもベイトを捕食しているはずだ。だって毎日海が荒れている訳では無いからね。
では何時何処で・・・。
それはマルスズキと同じく夜だろう。
つまり夜の磯こそヒラパラダイスなんじゃあないのかと釣四郎は結論付けた。
だけれども夜磯には二つの大問題が存在する。
大問題其の1.夜の磯は足元が見えなくて危険。
大問題其の2.夜の磯は超自然現象に遭遇しそうでムチャンコ恐ろしい。
大問題其の1に関しては、場所を良く知っていて、しかもお手軽で足場の良い場所で尚且つ月夜であれば何とかなりそうだ。
しかし、大問題其の2は本当に大問題だ。釣四郎が通いなれたあの旧江戸川だって時々チキン肌ブツブツになっちゃういや〜な夜がある。護岸にぶつかる小さな波の音がピチャピチャピチャピチャと耳にまとわり付いて、それが妙に気になり始めちゃうともうダメだ。ルアーへの集中は途切れ、やたら想像がこの世のモノでない世界へ誘導増幅誇張され大きく膨らみ、チラリソロリと後ろを振り返ればそうするほど尚更背筋がなにやらワサワサゾワゾワとして来て薄気味悪くなって来る。
背中にある堤防の向こうにはビッシリと民家が密集し、人の営みが集合集結しまくっている東京の川でさえそうなのだから、ましてや振り返れば崖やら森やらで、生ける人々の存在があまりにも遠い長崎の磯ではどうなる事やら考えただけでも100歩ほど引いてしまう釣四郎だった。
だがしかし、そうであってもヒラスズキは釣ってみたい。その御姿を我が手に収めて見てみたい。釣四郎の底なしの欲望は裏工作真っ只中のライブドア株のごとく上昇の一途を辿っていた。
う〜ん、う〜ん、どーしよーかなー。
えーい、ウニウニ悩んでいたって魚は釣れん。ルアーを泳がせなくっちゃ魚は釣れん。行け!、行たれ!!。
万が一見ちゃあいけない世界を見ちゃってキンタマ袋が縮みあがり陥没する程の事態になれば、その時は車に逃げ帰りキリスト様から弁天様からありとあらゆる神様の名前を叫んで、胸に十字を切ってお経を唱えなて泣きながら朝を待てばいいじゃん。
釣四郎は足の爪先から髪の毛の先まで、あらゆる場所からなけなしの勇気をかき集め凝縮し超自然現象にビビリまくった心に対抗する事にした。
幸い日曜日に先週行った千々の地磯に餌釣師のTD氏と行く事になっていたので(早朝現地待ち合わせ)、一足速く現地に入り夜磯にトライする事にする。
うふうふうふ・・・・、これでヒラスズキはワシのもんじゃて・・・うふうふうふふふふふふふふふふ。
午前2時半。千々町の地磯。潮は干潮に近い。
月は冷たく輝き夜の磯を明るく照らしていた。良く見える。
先週と違いチョイト波がある。
波は岩にぶつかり泡立ち広がり軽くサラシを形成していた。
ぬおおおおおおお、チャーンス!!!。
釣四郎はルンルン気分になった。
仕度を済ませ慎重にゆっくりと磯に降りる。
手前の小さなワンドを責める。夜ならシャローに出て来ている可能性が高いからだ。
明かりを消してゆっくり近づきキャスト開始。
ルアーにかかる水の抵抗で引き波と寄せ波を感じとりリールを巻いたり止めたりしながらゆっくり責める。
ノーバイト。
ノーバイト。
ノーバイト。
ノーバイト。
チョイト移動しワンドの入口付近を攻める。
ノーバイト。
ノーバイト。
ノーバイト。
ノーバイト。
先端に出て広く責める。
ノーバイト。
ノーバイト。
ノーバイト。
ノーバイト。
くーっ、なんでじゃあ?。ヒラスズキはおらんのかー!?。
時々ゾワワッと背中に何やら感じつつも、初めての夜磯に神経を集中させた。幸い月が明るくヘッドライト無しでも十分動き回る事が出来るので良かった。
しかしながらアタリは全く無い。コツリとも来ない。完全にノーバイト。
キャストすれどもすれども、ルアーを引いて引いて引き倒しても魚信は訪れない。
完敗。
釣四郎の燃ゆる決意と鉄壁の理論とは裏腹に夜の磯にヒラスズキはおろかマルスズキさえも姿を現さなかった。
夜明けが近づいて来た。
チョイト休憩しながら釣友を待つ事にする。
夜明け前、餌釣師TD氏登場。
開口一発、「釣四郎さん、ナビ無しでよくこんな処に来れましたね」。
先週釣四郎がどんだけ不安な気持ちでハンドルを握っていたかを理解してくれたようだ。
夜明け。
マズメのチャーンス!。釣四郎はウェーダーに着替えて再び磯に立った。
先週とは違い時々ウネリがやって来て足場を洗う。流石に夜はそんな場所には立たなかったけれども明るくなれば一歩前に出たい釣四郎だ。
TD氏も釣り座を決めて寄せ餌を巻き始めた。ベイトが寄ればチャンスは広がるかも知れない。
キャスト
キャスト
キャスト
だけれどもノーバイト。
すっかり明るくなっちゃった。薄らぐチャンス。
ググン
おお、ヒーットオ!!。
沖目でエラ洗い。
先週と全く同じ場所で来た。あそこにはシーバス好みの根があるのかも知れない。
寄せて来る。
波間に見えたお姿は・・・またもやマルちゃん。
足元まで寄せて来た。チョット足場が高いので先週のように浅瀬に引き上げる訳には行かない。普段釣四郎はタモを自分の横に置いておくのだけれども、本日は波が洗うので後ろの安全な場所に置いている。
振り向いてしゃがんでタモに手を伸ばした瞬間だった。
フッ
ぎょえええええ、バレちゃったあ!。
残念!。
だけれどもマルスズキ。いつもであれば地団駄ふんで大反省で悔しがるのだけれども、本日の狙いはヒラスズキ。何時もの本命は外道なのだ。
気分を取り直して再びキャスト開始。
今日は釣り人が沢山来ている。ルアーマンが多いようだ。先週は海も静かだったけれども釣り場も静かだった。(天気も悪かった。)流石は地元アングラー達。条件の良い日を把握していらっしゃるようだ。
けれども釣四郎は苦戦していた。しかし餌さ釣り師TD氏はもっと苦戦していた。寄って来るのはキンギョ(ネンブツダイ)ばかりで本命の気配が全く無い。お手上げ状態。

苦戦のTD氏
ノシッ!。
ルアーが押さえ込まれた。
アワセを入れると同時に重たく突っ込む。
なんじゃ!?。
ヘッドシェイクもジャンプも無い。
ただただべらぼうに重たく突っ走り潜る。
チヌ(黒鯛)か!?。
釣四郎の脳裏にこのイノシシ野郎の正体があれやこれやと浮かんでは消える。
その間にもリールから糸を引きづり出しつつルアーから逃れようと突っ込む。
時々ラインから異様な感覚が伝わる。根ズレしている。
ロッドを高く揚げて何とかかわそうとする釣四郎。
何とかかんとか足元まで寄せて来た。
砕ける白泡の間に見えた姿は・・・・。
緑がかった魚体に黄色いストライプ。
「ええーーっ?、ヤズ(イナダ)!?。
今度はバッチリタモに収めた。
で、つくづくと魚体を眺める。やっぱしヤズ(イナダ)じゃん。こんな季節に釣れるとは思わなんだ。やっぱ長崎だね。

50cmのヤズ こんな季節に・・・
TD氏に見せると暫くして氏は作戦を変更した。
「こんなのが居るのではクロ(メジナ)は沖に出ちょらんと見た」。と言い浅場に浮きを移した。流石!。
だがしかし来ない。どーにも来ない。何故だか来ない。魚が居ないのか、それとも根の奥から一歩たりとも出て来ないのか、はたまた完全完璧に見切られているのか判らないけれども気配の「け」の字もありゃしない。周りの釣り人をそれとなく見回すけれどもやっぱり来ていない。雰囲気はバッチリなんだけれども一体全体どーなっちょんのよ。
釣四郎も頑張りに頑張ったけれども次なるバイトは訪れなかった。
向こうの岩でエギングで粘っていたお兄さんがチビッコイけれどもミズイカ(アオリイカ)を釣ったのを見逃さなかった釣四郎は、チョイトだけエギを投げたけれどもダメでした。やっぱイカをやる時は片手間ではイカンね。徹底的に投げ続けシャクリ続けないとね。

粘るエギンガー
お昼を過ぎた。
流石にストップフィッシング。
またもやヒラスズキを出せなかった。ヒラへの道は厳しいのー。だがしかーし、一回や二回のスカで諦めるような、そんな潔さはあいにく持ち合わせていない釣四郎。新たな作戦をひねくり出して次こそは捕っちゃるぜ!。
少々ヤケクソ気味な決意を胸に釣り場を後ににする釣四郎だった。

この鳥が頻繁にやって来た。誰?。なんて子?。
追記
信じられないような状況のなかTD氏は掌より更に小さいけれどクロを水の中から釣り上げた。徹底的な粘りと工夫と辛抱を見せてもらった。ムチャンコ小さい獲物だけれども、何故を追求するとこの魚に大きなヒントが隠されているような・・・。
けれども釣四郎はアマチュア。この貴重な一匹から本日の状況を、ヒットさせたシーバスやヤズと関連付けて聡明明快に推察する事は出きるはずもなかった。
今回のヒットルアー

メガバス:ゾング77(マルスズキ バラシ)

メガバス:X−80 トリックダーター オイカワ(ヤズ ゲット) カラーっていったい何だろう?。
|
釣り話し2006 へ戻る
|