初ゲットは便意の嵐

荒川河口 シーバス

2004/3/13

 

今年に入ってずっと北国へ出かけていたものだから、雪の無い東京は正に天国!。雪が無いって何て素晴らしいんだあ!!!!。

とっても暖かいので夜釣りも平気!。

昨夜は、スポーツランド対岸へ出撃したけれども水が動かずバイトすら無かった。それに、実はバチパターンが少々苦手な釣四郎なのだ。

シーバスがベイトを捕食している時は、ゴンとかガンとか明確なアタリがあるけれど、バチパターンに入ると、トンとかユサッとか言ったチンケなアタリが多くなって、あれはどうにもイライラして来ちゃう。ついつい「ガンとこいよ、ガンと!!」と声にでちゃうのよ。

そこで今日はデイゲームに出撃。場所は荒川河口。若洲ゴルフリンクス脇のテトラ帯だ。河に入ろうとしているアクティブなシーバスが居るだろうし、そろそろ稚アユが河口付近で待機しているはずなので、それを狙うシーバスだって居るだろう。

つまり、ベイトを意識しているシーバスを狙う作戦だ。

この釣り場はとっても広いのだ

潮の引き始めがAM8時頃と、夜更かしをしてしまった釣四郎には早かった為、現地到着は12時。もう引ききっちゃう時間となってしまった。

そそくさと準備していると、植木の中から数匹の子猫が甘えた声で近づいて来る。猫好きの釣四郎としては餌の一つもあげたい心境になっちゃうのだけれども、「すまねえな、何にも無いんだよ。」と声をかける。

足元を簡易式のスパイクできめてテトラに降りスタートフィッシング。と、いきなり潮目が・・・。チャーンス!。しかしながら、無情にも潮目の足は速く、数投もしないうちに海の方へ流れ去ってしまった。

キャストしながら、下流方向へ移動。この時スパイクがモノを言う。ノーマルシューズのままだと、おっかなビックリでヨタヨタと移動するけれども、スパイクを履いていると実にスピーディ。楽チンだ。

足元はバッチリ

ここのテトラにはカキやフジツボがビッシリと付いているけれども、それは当然水中の隠れテトラにも付いている。案の定クルクルをロストしてしまった。フックが外れなくてロストしてしまうのではなくて、根が掛りをはずす時にラインが貝にこすれて切れてしまうのだ。

ルアーを20gのバイブレーションにチェンジして数投目、グンとルアーが抑え込まれた。

よっしゃーっ!!。

しっかりフッキングをかまして、それでも心配で二度三度と追い合わせを入れる釣四郎。ドラグが緩目だったのでジコジコとラインが出て行く。そいつをササッと締め付けて寄せにかかる。

若干濁りの入った水を通して、ルアーから逃れようとするシーバスがよく見える。デイゲームはこれがあるから楽しい。けれどもジャンプはしない。パワー不足であっさりとタモに入ったシーバスはちょっと黒づんでいて銀ピカとは言えないけれども、今シーズンの記念すべき初モノだ。狙っていたパターンとは少し違うけれども、やっぱり嬉しいね。

去年の初シーバスは憐れなくらいに痩せたヤツだった。その前の年はたしかチビッコだった。今年はまあまあのサイズをゲット出来て良いシーズンになりそうだ。そんな予感を漂わせてくれる一匹だ。

嬉しい62センチ

リリースして、さあ次の獲物だとキャストする。

その時だ。

キューン、グルグル。

その便意は突然やって来た。

夕べ、寝酒にとストレートで飲んでいたウィスキーがいけなかったのか、それとも先ほど餌をやらなかった猫の祟りか、はたまた釣り上げられたシーバスの恨みか。

釣四郎の肛門と言う名のファイヤーウォールを内側から突き崩さんとする強力にして猛烈、熾烈にして絶対的な圧力。その攻撃速度の速い事と言ったら・・・。

「こっ、これはヤバイ!、なんだか知らないけれどもヤバ過ぎるぞ!!!。」

釣四郎の防御力はあっと言うまに限界点に達しようとしていた。

ファイヤーウォール崩壊寸前!!!。

真っ青になりながら、釣四郎の脳ミソはこの緊急事態にどう対処すべきかの答えを必死に模索していた。

とっさに浮かんだ実に素晴らしい案は、「野グソ。ここのテトラの隙間に潜り込んでやっちまおう。」だった。

潜り込んでしまえば外から見られる心配はほとんど無いし、音だって波の音にかき消されるだろう。

しかし釣四郎は大人だ。それは許されんだろう。が、しかしこの緊急事態では仕方ないではないか!?。混乱の極みに陥る思考回路。

もう一つ浮かんだ案は、ここは公園になっているのでトイレくらいは有るだろうから、そこへ飛び込むと言う作戦。

これは実に正攻法な作戦なのだけれども、はたして時間的にどうだろかと言う危険に満ちた作戦だった。

釣四郎が知るかぎり、公園出口付近に綺麗なトイレが有るのだけれども、けっこう遠いのだ。もし間に合わなかったら、人々が早春の休日にサイクリングやら日光浴やらを楽しんでいる公園のド真中でトンデモナイ事になってしまうではないか。

事態は切迫している。ジックリ考えている暇は微塵も無かった。どうする釣四郎!?。

釣四郎は意思力に賭けた。

公園のトイレに行こう!。トイレまで力の限り我慢するのだ。強靭な意思の力で!!。

細心の注意を払い、丁寧に丁寧に、しかしながら出来るだけ急いでテトラを登り、柵を超え、芝を突っ切り、公園の出口へ向かった。

ものすごくヤバイ!。危ない!。レッドゾーン一杯!!。出口までまだ半分も来ていないのに下半身の出口は崩壊寸前。脂汗を滲ませ拳を硬く握りヨチヨチと歩いてゆく。釣四郎みたいな美青年がなんでこんな事に。もう泣いちゃいそう!。

とその時、天の助けか釣りの神様の微笑みか、小道の脇にトイレ発見!!。

砂漠でオアシスを発見した思いだ。迷わず吸い込まれる釣四郎。

 

小さな個室で悦楽の一時を過ごした釣四郎は、実に晴れ晴れとした思いで釣り場へ戻って来た。

今日、この場所を選んだのは大正解だった。他の場所だったらとんでもない事になっていただろう。ああ神様ありがとう!。

さて、釣りの続きだ。

しかしこの僅かな間に釣り場の状況は急変していた。

向かい風が強くなり白波が立ち、足場にしていた最前列のテトラも時々波しぶきを浴びるようになり、その波で強い濁りが生じている。それに何より水の流れが無くなっている。

ムムムムッ、薄れて行く期待。

それでも暫く頑張ったけれどもバイトは無かった。ストップフィッシング。

大いなる喜びと焦りと悦楽と失望が入り混じった、短時間だったけれども無茶苦茶な釣行だった。

忘れたいけれども、きっと忘れない釣行だろう。ううう、情けねー。

今回のヒットルアー:シーマスターズVib80