突撃!揖斐・長良川

シーバス 揖斐・長良川

平成16年8月28日

葛西モドキ

「その手は桑名の焼きハマグリ」と言う言い回しがあるけれども、釣四郎は現在その桑名市に来ている。

地図で言えば、三重県と愛知県の境目あたりだ。

ここには、以前大問題で大騒ぎをした「河口堰」のある長良川が流れている。

その長良川のすぐお隣を揖斐川(いびがわ)と言う川が、ヒョロリと細長い中州を挟んでかなり上流から長良川に寄り添うように流れているのだけれども、この2本の川は河口堰のちょいと下流で合体し、1本の大きな川となり海へと注いでいる。

この二つの川を隔てている中州には人家は無く、道路が一本走っているだけで、後は葦やらがボサボサに生えているだけなので、桑名市の辺りでは2本の川を一つに纏めて「揖斐・長良川」と呼んでいる。実際河に架かる橋の横にもデカデカと「揖斐・長良川」と看板が立っている。

そんな訳だから釣四郎も「揖斐・長良川」と呼ぶ事にする。

揖斐・長良川の巨大な河口の横っちょに「ながしまスパーランド」と言う遊園地があるのだけれども、この遊園地の向こう側に今度は鵜飼いやライン下りで有名な木曽川の河口がある。

一級河川密集地帯。

ん、この地形何処かで・・・・。

荒川と中川が寄り添って流れ、河口付近で二つの川が合体し大きな河口となり、その隣には葛西臨海公園があって、逆側には旧江戸川の河口がある。

わあああ、同じだあ。ここは葛西モドキか!?。

するってえと何だ、当然シーバスが居なきゃあいけないのだけれども、その辺りの事をネットで調べてみたところ情報がエラく乏しい。湾奥じゃあチョチョイと検索するとシーバスネタがワンサカ出て来るのに・・・。

長良川河口堰

 

偵察

こちらへ来て最初の休日、無茶苦茶クソ暑いなか釣四郎は揖斐・長良川の偵察を済ませていた。その偵察の途中で小さな釣具店に立ち寄って情報を入手しようとしたら、なんとお店のオバハンに「スズキはルアーじゃ釣れないよ。」と、とんでも無い事を言われちゃった。

動揺を隠しきれず理由を聞いてみたけれども、流れが早すぎてどーのこーのと理解不能な事をおっしゃる。

ルアーマンが来店しないだけなのか、オバハンがルアー嫌いなのか、はたまたアンポンタンなだけなのかは判らないけれども、シーバスが居るのにルアーで釣れない訳が無いじゃん。そんな事言ってると、ケースの中のメガバスは一生売れないよ!。

 

華麗なるファーストキャスト

ある蒸し暑い夜。すっかり忘れていたのだけれども、今夜河原では花火大会が行われる予定だった。釣四郎はバッチリ釣りに行く気になっていたものだから、仕事の帰り道に浴衣のネーチャンがドサドサ居るのでそうと気が付きガッカリしてしまった。

しかしその花火も終わり静かで暗い夜がふけて来るとなにやらウズウズして来た。

部屋の隅に置いてあるロッドが気になる。

まるで突撃釣行を囁いているような、そんな念波を感じる。

んんんーーーーん・・・。

んんんーーーーん・・・。

GO!。

ホテルからてくてくてくてく歩く事30分。揖斐・長良川に到着。場所はしじみ漁の船が集まる小さな漁港。

偵察で目を付けていた場所だ。

回りには、恐らくウナギを狙っているのではないかと思われる投げ釣り師がロッドの先をケミホタルでボ〜ッと光らせている。何処の河も一緒なんだなあ。これってもしかして「日本の夏の風物詩」?。

港の入口は、岸から沖へ向かってテトラを伸ばし川の流れが直接港へ入らないようにしてある。その先端部では当然水が渦を巻きながら水流に変化を付ける。

此処だろう。此処には居るはずだ!。

期待を込めて揖斐・長良川ファーストキャスト。流れに乗せてドリフトさせる。

ルアーをこまめに替えながらキャストを繰り返すけれども反応が無い。

 

アクシデント

スタートして30分くらいたった頃だろうか。足場を変えようとしたその瞬間、ツルッ、すってんコロリン。あっちゃー、滑っちゃったい。

勿論、俊敏にして身軽な釣四郎は尻餅程度で被害を抑えたけれども、ひょいと見たロッドの先っぽが、先っぽがあ、「どひいいいいいい、おっ、折れてるうううううう!!!!!!」。

ころんだ拍子にテトラにぶつけちゃったのだ。

ショーーーーック!!。

愕然!。呆然!。落胆!。失望!。悪夢!。最悪!。最低!。

ガックリと肩を落として帰り仕度をしているとウナギマンがポイントに入って来た。話を聞くと、「ちょっと下流で60センチくらいのシーバスを釣った人が居たよ。」と教えてくれた。

やっぱし居るんだあ!。ちょっと下流と言うと、たしか水門があったハズだから、多分その辺りだろう。とほほほほーーーーー。

トボトボと足取り重くホテルへ帰る釣四郎だった。

 

栄光への復活

翌日、釣四郎はデカイ釣具屋を探した。幸いホテルのフロントに釣り好きの兄ちゃんがいて教えてくれたので早速修理に持ち込むと同時に、予備のロッドも購入した(炎天下、片道1時間も歩いちまった)。修理と言っても、折れちまった上半分の取り寄せなんだけれどもね。

予備ロッドは、釣四郎のホームである旧江戸川スポーツランド対岸での使用を考慮して短めのモノを購入。ちょっと柔らかめの仕様になっているのでファイトが楽しみだ。

そんな訳だから、当然今夜も予備ロッドの感触を確かめるべく突撃釣行しなければならない。明日は仕事なのに仕方ないなーもー。

しかしながら、またもや撃沈。うむむむむ、魚影が薄いのかな?。

そうして1週間もしないうちに釣具屋から連絡が来て、釣四郎のウエダが復活した。

うへへへへへーい、ムッチャ嬉しーぜえー!!!。

 

情報入手

台風の影響で水が濁りまくっている事が十分予想された夜だけれども我慢出来ずに出撃。

デロデロ

やっぱし・・・・。

しかしながら旧江戸川みたいにオシルコ状態ではなかった。

とりあえずキャストをしながらウロウロしていると水門の所でルアーマンを見つけた。早速話を聞いてみた。

それによると

@潮位は足場がやっと出ている位が良い。

Aボラがドッポンドッポン跳ねているような時が良い。

Bレギュラーサイズは40〜50センチ位で、たまに80センチオーバーが釣れる。

C釣期は梅雨明けから9月いっぱい位。

と言う事だった。

今夜は、この条件から尽く大ハズレの夜で、情報提供ルアーマンもノーバイトとの事、暫くしたら帰って行ってしまった。しかしこの情報は有り難い。知らない場所でのこう言った確かで具体的な情報は心強いね。勇気ギンギンの釣四郎だった。

 

出鼻崩壊

濁りが消えたと思われた頃再び出撃。

ラッキーにも車を入手出来たので楽チンだ。

さて釣り場に着いてみるとポツリポツリと雨が降って来た。遠くの方では雲が光っている。暫く様子を見ていたけれども大丈夫な様子。雨は依然としてポツリポツリとささやかに降っているけれども、でもこれ位は全然気にしない釣四郎。タックルをセットしてキャスト開始。

ポツポツポツポツ。ちょっとマジメに降って来た。「なんのこれしき」。

ザアーーーーーーッ。「くそおーっ、まだまだあっ!」。

ズザザザドバドバドバアアアアアアッーーーーー。ガラゴロピシャガラアーーー、ビカビカビカアッ、ズドドオオーーーン!!!。「ぎえええええええっ、退却うーーーーっ!!!」。

大急ぎで車へ逃げ帰る釣四郎。

「ううう、パンツまでグッショリだぜえ」。

ビカアッ!!、バッカアアーーーーン!!!。

「ひえええ、近くに落ちたあ!!」

強力な雷雨に打のめされた釣四郎だった。

 

喪中突入

突然やって来るから困っちまう。

喪中って何時までなんだろう?。

 

喪中解除

一週間ほど実家に帰っていたけれど、仕事も有るので戻って来た。

「うーーーん、揖斐・長良川が気になる」。

「気になる」

「気になる」

喪中自主解除!ポイントへGO!!、(あ、あんたって人は!!!)。

しかーし、潮位が低すぎる。ベイトは居るけれどもボイルも何も無い。

ノーバイト。

「天罰てきめーーん!!、うううう・・・」。

 

輝かしき花舞台

台風接近中。明日の日曜日はどうなるか判らない。今夜しか無い。

当然揖斐・長良川へGO!。

ポイントとして選んだ例の水門横に到着すると良い感じ。早速タックルをセットしキャスト開始。

この漁港は、川岸から数十メートルの処に岸と平行に長い防波堤があて、その前後が船の出入り口となっている。

岸辺は広い駐車場となっており、そこから斜めに下って再び平らで広い漁師さん達の作業スペースがある。その場所から階段状に数段下ると川面となり船が繋留してある。

港の中央やや下流側に水門があって、堤防を挟んで奥は船溜まりとなっている。

水門は堤防部分にあり、水門前には駐車場や船着場は無く広いプール状になっていた。

下図参照

 

栄光のボイル

ザザザザーーーーッ。

「んん!?、この音は!!」。

水門の前辺りをよおーーっく見てみるとベイトが追われて水面を扇状に逃げ惑っている。

ボイル!!。

即水門方向へキャスト。

しかし流れが逆流していてこちらに向かって流れている。

もう一度キャスト。今度は岸ギリギリへ。

リトリーブ開始。

ところが根掛かり。あったまにきちゃう!。

岸沿いを歩きルアーの反対側へ回り込むけれど外れない。仕方が無い、切るか。

ドラグを一杯に締めこんでグッと引っ張る。

するとラッキーな事にルアーが外れた。

そのまま水門の下流側へ移動。

此処は扇状の船着場になっていて足場はフラット。そしてボイルが目の前で繰り広げられていた。

空気はなにやら生臭い。魚の匂いだ。凄いぞ、ベイトの匂いが漂っている!。

ボシュッツ、ボシュッツ、ズザザザアアアアアーーーーッ!

水柱が立ち、シーバスの捕食音が辺りに響く。水面を蹴散らして逃げて行くイナッコの群れ。

「おおおお、何て素晴らしい眺めなんだ!!」。

あっちでボシュッツ!、こっちでズザザザアアアアーーーッ!。

興奮!。血がたぎる!。

「こいつを待っていたんだぜえ!!」。

 

痛恨のフックアウト

岸の直ぐ近くでもボイルが起こっている。釣四郎は身を屈め猫のように近づき岸から2メートル位の処からキャストを開始する。

ルアーをサスケのRHにチェンジ。

いっけーっ!。座ったまま沖に向かってキャストする。着水後流さずにリトリーブ開始。ゆっくりゆっくり引いてくる。

クッ、グググン。

ルアーを押さえ込むようなアタリ。

おしゃあ、来たあ!。

座り姿勢でロッドを横に寝かしたままだったので巻きアワセとなった。

ググーーーーン。

引きが強い。

「わっはっはあ、久しぶりの感触。くーっ、たまんねー!!」。

すっかり舞い上がった釣四郎だったけれども、その時ハタと気が付いた。

「しまった、さっき根掛かりの時に締め込んだドラグが・・・・!」。

グングングン、フッ・・・・・・・・・。

「うあああああああああああああっ、バッ、バレちゃったあ!」。

「あーもお、くっそーおっ!!」。

 

執念のキャスト

ドラグを調整して、再びキャスト開始。しかしなかなか次のアタリが来ない。

ルアーを替えてキャストする。

「これならどうだ!?」、ビュン。バイト無し。

「こっちはどうだ!?」、ビュン。バイト無し。

「そうかそうか、これだな!?」、ビュン。バイト無し。

リトリーブスピードも色々変えてみた。早く引いたり、これでもかと遅く引いたり。

トゥイッチを入れたりショートジャークを入れたり、勿論定番のストップ&ゴーもやってみた。

なかなか反応しない。

「なに、まけるもんかあ!」。

 

勝利のヒット

時間はどんどん過ぎて行き、潮位も下がって来た。

しかしながらボイルは依然として続いていた。

ルアーを再びサスケに替えキャストする。そこはボイルが最も集中している場所で、以前の調査で確認した時、船道と言うよりは、小さなミオ筋が通っていた場所だ。

デッドスローにストップ&ゴーを交えながら引いて来る。

クン、グッグッグッ。

バシッ!

ヒットオ!。

水面が沸騰した。それはシーバスが暴れた為か、ベイトが驚いて騒いだ為かは判らなかったけれども、今度はバッチリ乗せた!。

あまり大きな魚ではないようだ。だがしかし大事な1本、今度はバラシは無しだぜ。

さしたる抵抗も無く寄って来たけれども、ランディング直前に最後の一暴れをして釣四郎を楽しませてくれた。

無事ネットインしたシーバス。揖斐・長良川のシーバス。

ちょっと痩せていて大きくはないけれも綺麗な魚体だ。サイズじゃないさ!。

写真を撮るのに少し手間取ったせいか、水に戻すとグッタリしていた。口に親指を入れて前後に揺すってエラに水を通す。身体を支えてやって回復を待つ。5分ほどしていきなり頭を振ってユラリと深みに消えて行った。

遂にやったぜ!。やっとゲットしたぜえ!。

嬉しい嬉しい54センチ

 

大満足の帰還

下げ止まりを過ぎた。

水は殆ど動かなくなり、シンキング系のルアーでは底を取るようになった。一時の爆発的なボイルは無くなったけれどもまだまだ続いていた。

しかしルアーに反応する気配が全く無い。

ストップフィッシング。

恐らく明日の晩は、接近している台風の影響が出て釣りが出来ないかもしれない。今夜1本捕る事が出来て本当に良かった。

小さいながらも揖斐・長良川ヴァージンシーバス。

高揚した気持ちで河を後にする釣四郎だった。

 

追記

次の夜、風はあったけれども無理やり釣行。

例によってボイルの嵐だったけれどもヒットは訪れない。粘ろうかどうしようかと迷っていたら突然の豪雨。

逃げるように車に戻り、ぐっしょり濡れてホテルに戻った釣四郎でした。

今回のヒットルアー:サスケSFとベイト