昨今の組合区画整理事業と地価変動
 90年代初頭にバブル経済が崩壊し、以来、地価下落が続いてきた。そして、昨年の基準地価(平成19年7月1日時点)で、「商業地16年ぶりの上昇」との新聞見出しを飾った。
 当時は、未だ気は落ち着かない状況ではあったが、なんとなくホッとした気分を味わった。
 しかし、それもつかの間、平成20年9月の基準地価(平成20年7月1日時点)の結果では、「再び下落」サブプライム問題による減速との見出しにがっかりというか、なんとも気分すぐれない思いを味わった。
 なんとも、世界経済の影響による、予想も付かぬ動向により、地価がめまぐるしく変わっているが現状である。
 こうした地価動向が、今後も想定されるとするならば、昨今の組合区画整理の運営の難しさ・厳しさに、事業運営の難しさに暗澹たる思いがする。
 いっそうの工夫とリスクへの対応が望まれるところであり、昨今の組合連合会等からの講演依頼もこうした保留地処分対応などに関することが多い。
 地域性もあるが、群馬県・福島県・宮城県そしてこの11月には、山形県からの類する講演依頼が来ている。
 今後の新たなる、まさに法制度を含めた組合事業の運営方策を探る時期に来ているといっても過言ではない。
 区画整理事業の生き残りをかけて、そうした方策を探ることを提唱したい。

○まことに、我が国の経済変動は、グローバル化に翻弄され、右往左往、心もとない状況と言わざるを得ない。自然災害は、好むと好まざるとに関わらず、災害国・日本を揺さぶっている。
世界的な変動は、2001年9月11日から発生し、否応なく我が国を曳くずり込んでいった。
 前述した、我が国、90年代のバブル崩壊は、米国プラザ合意に端を発した金融緩和・規制緩和に寄るが、もとは、我が国の意図したところではない。
 しかし、2011年3月11日の東日本大震災は、未曾有の津波災害とまさに想定外の原発災害をもたらした。あれから5年半が立とうとしている。しかし、小生が手掛けてきた復興区画整理事業を始め、いまだ市街地再生は途上であるといえる。
 阪神淡路大震災は、震災発生からほぼ16年後の、平成23年3月、最後の換地処分が終了し、全てに事業が完了の運びとなっている。これの年月は、はからずも東日本大震災発生のその年月でもある。
 なんの因果か、またしても、復興区画整理事業が動き出すこととなった。
 そして、区画整理屋の小生も、平成23年4月、津波被災地に1年間、石巻に赴くこととなった。
 そこで、日和山からに海を望む展望は、津波のものすごさを物語っていた。
 そこには、市街地があったと言われても、目を凝らして見ても、私らには、思い描けないのである。
 地元住民には、その確かな、街並みが、脳裏にしっかりと、焼き付いて離れない。
 そのギャップに、よそ者の私らは、想像する以外に手立てはない。
 「そうだったんですか。」、「大変でしたね!」
 ただただ、聞き入るのみである。
 東日本大震災は、あれから5年、神戸市は、16年で、ほぼ、街並みの回復をみること出来たという。
 しかし、津波被災地の石巻市など、あと10年で、その失った街並みが戻ってくるのであろうか。
 津波での被災の体験者の約3割の人が、元に戻りたくないと答えている。
 隣の奥さんが、家の前の旦那さんが、亡くなっていると、そんな思いが、人を遠ざけている。
 これからの、復興まちづくりについて、今回「区画整理と街づくりフォーラム2016」が開催される。
 そこで、「津波被災地復興区画整理事業の事前復興計画と今後の事業化対応策における一考察」にて、論文提出を行っている。
 「事前復興計画マスタープラン」の作成を検討することを提案したい。
 論文発表は、名古屋市において、11月10日・11日の予定で、開催されることになっている。
 詳細については、その後に、記載したいと思っている。

 


● 保留地処分と組合経営の状況
(1)組合運営の現状
  ’90年代初頭にバブル経済が崩壊し、地価下落が区画整理事業
  に与えた影響ははかり知れないものがある。
   特に、組合区画整理事業における事業運営において、資金計画
  は破綻寸前と言わざるを得ない状況にあり、問題は深刻である。

(2)組合運営と事業再建計画のシナリオ
   昨今、組合事業再建対応事例として、様々の取り組みが行われ
  ている。
  @特定調停による組合の債権処理の試みにみる
  A組合再建の再建検討会議での試み
  B事業再建に向けた和解による
  C民事再生法による事業再建にみる
  D保留地管理法人による組合解散にみる


 区画整理事業とまちづくりNPO
(1)土地区画整理の思い(まちづくりの発意)の継続
  土地区画整理事業は、これまで、まちづくりの根幹となる道路・公園・下水道の基盤整備を中心とした事業である。まさに、「土地区画整理の完成」が「街づくりの完  成」と思われてきた。しかし、実際の街並み形成は、その後の建物の建設等による ところが大きく、数10年の年月を要する。
 せっかく区画整理事業で培った人々の思い・関係が、区画整理事業の完成で断たれてしまうとしたら、それは本当にもったいないことである。まちづくりは、そこに住  む人々がいる以上、永遠に続くものであり、造り上げていかなければならないもの  であると信じる。
(2)持続可能なまちづくり
  そこで、区画整理事業の思いを、終わることなく継続して存続可能たらしめる組織が「まちくづりNPO法人」であると確信したい。
 私は、そこで、区画整理事業は、もちろんのこと、市民公益活動たるNPO法人にも精通する、まさに、まちづくりの総合的なマネジャーの存在を提案したいと考えてい る。2006年の区画整理フォーラムでも提案させて頂いているが、
 「区画整理(まちづくり)NPOマネジャー」がそれである。
  さらに、事業主体として、会社施行があるが、「NPO施行」を提案したいと考えて いる。当面は、区画整理組合の法に準じることで良いと考えているが、まさに、    NPO法人は、都市計画法による都市計画の提案をすることができとされており、今 後の可能性に期待することがは大であると考えられる。
(3)まちづくりNPO法人の実践
  現在、特定非営利法人はさま・まちづくりの会を立上、私は、自らが実践を試みているところである。こうした様々なまちづくりの取り組みが、NPOによって行われるこ とを期待したと考えている。私が講師をしている、明海大学不動産学部の小泉学部 長も言われていたが、「NPOの活動は時間がかかる」と、まさにその通りである。そ して、まちづくりそのものが、長い時間をかけて作り上げていくものである。
気長に行きたいと思っている。しかし、取り掛かることは、早いうちにやる必要性が ある。
  今後の、まちづくりの新しい、制度として「まちづくり(区画整理)NPO法人」の立上を期待したいものである。

文責:(有)アーバン京葉研究所 代表 栗田 和夫