エッセー
第18回

<「いらいら」や「笑い」などが体に与える影響?!>


 いらいらは怒り・哀しみなどから、笑いは喜び・楽しみなどから生じる、心の働きによるものだ。喜怒哀楽というが、怒と哀を喜と楽で包み込んで生活するように心がけるのが、心身の健康の秘訣だとも。
 しかし、必ずしも怒と哀がマイナス、喜と楽がプラスだとはいえない。
 なぜなら、正義感から生じる、悪への怒りや、慈悲心から生じる哀しみはプラス・利の働きをするが、エゴを満足させるためだけに人に被害を与えるような喜びや、欲に溺れてしまい、度の過ぎた楽の追求はマイナスであり、損をする。
 このように人間の心の全ての感情や働きは、大切で不可欠なものである。その意味で煩悩などを断じたり、封じ込めようとするのはナンセンスなことである。
 これらをうまくコントロールして、善の方向に作用させていくことが重要なことなのである。
 欲や悩みは、成長や前進のためのエネルギーとなっている。同じくあらゆる障害や障壁、苦労なども、より深く充実した人生をおくるための材料となるのである。
 しかし、私たちは、これまで得てして、これらから目を反らし、マイナスとしか考えていなかったということはないだろうか。このような考え方では人生を表面的な薄っぺらいものとしかとらえられず、結果恐ろしいのは、ものの見方の価値観もそのような尺度でしかはかれないということになってしまうことなのだ。

 話を今回のテーマに戻すが、「いらいら」や「笑い」などが、体に与える影響ということだが、まずは、マイナスの「いらいら」から。ストレスや体調不良、寝不足、空腹時などにもいらいらすることがある。普段怒りっぽい方ではない人が、傍から見て、いらいらしていると感じたら、心身に異変がないか、注意深く観察し、早めの受診をした方がいい場合もある。原因がはっきりとしないいらいらは、何らかのサインと受けとめた方がよいだろう。

 ビタミン(C・B1など)やミネラル(カルシウム・マグネシウムなど)の不足。そして、ホルモンバランスの乱れなどもいらいらの原因になることを知っておきたい。
 栄養や睡眠にも注目し、うまくストレスをかわす工夫も重要だ。
 いらいらや悲嘆が続くと、体に悪影響がある。様々な病気を引き起こすといわれている。

 その逆で、最近、様々なプラス面の可能性として注目されているのが、「笑い」や「感動」だ。
 笑いや感動は体に良い影響がある。様々な病気を治癒させるといわれている。
 所謂、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性化が影響している。誰でも毎日3千個ほどのガン細胞が発生しており、これらを常にNK細胞がやっつけているので、ガンにならないだけで、NK細胞の働きが弱ってしまうと、忽ちガン細胞は増殖を始める。NK細胞の働きを鈍らせるのが、ストレスや疲労などだ。
 単純に、笑ったり、感動したりすると、副交感神経が刺激され、リラックス状態になり、ストレスや疲労を解消するというのは誰もが実感できることだろう。

 これらの自己免疫細胞の分野は研究が進みつつある。免疫療法の一つである「樹状細胞療法」は、癌治療をはじめ、自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス(SLE)やリウマチなどにも効果が期待されている。
 また、放射線治療の一つである「重粒子線治療」といった最先端治療法の保険適応や、有効性が高い抗癌剤の承認などにも、政府は総力をあげて取り組んでもらいたい。

 自分の体であっても、健康の維持や管理が難しい。いくら気をつけていても病気になる時はなってしまう。そんな時、健康のありがたさが身にしみるものだ。
 と同時に「死」に備える教育や「死」というものを見つめ、「いかに生くべきか」を常に意識することが大切だ。

 心の癒しとユーモアと題して、上智大学文学部教授のアルフォンス・デーケン氏が行った講演録のページを見つけたので、以下に記しておく。
 氏も、「にも関わらず笑う」の重要性を常に訴えている。
成田日赤新棟完成記念講演録
http://www009.upp.so-net.ne.jp/alpha_chiba/tusin/tusin18.html

心身の健康を保つためには、栄養や睡眠などといった生活習慣に加え、外敵に強い体をつくること、そして、生活の質、人生の充実感ともいうべき、こういった、「笑い」や「感動」に代表されるが、さらに突き詰めて考えてみると、生きる「希望」や「目的」が、最重要であると改めて認識した。
 エゴという殻を打ち破り、外に目を向け、人のために尽くすといった生き方が、自身の心身の状態をも調えていくようだ。このことは、自分と他人(環境)は別のものではないという証拠だともいえないか。

文章提供:中島敏明