マニュアルフォーカスからオートフォーカスへとカメラが大きく進化したとき、他社がマウントを変更を余儀なくされたのに対し、ニコンはこれまでのユーザーを大切にすることから、Fマウントはそのままにオートフォーカス化をした。 これはカメラ史上とても偉大なことだと思う。 ニコンはたとえ保守点検期間が過ぎても部品があれば整備してくれるし、部品が無くとも可能な限りの点検清掃をしてくれるという。 未だにマニュアルカメラと実用上十分なラインナップをしているマニュアルレンズを発売している。これも凄いことだ。 ところが、ニコンが本格的に初心者向けのAFカメラを作り始め、そして、デジタル化が急速に進んでから状況は変わってきた。 初級・中級者向けのAFカメラでは事実上、Aiレンズが使えなくなり、そこへ絞リングが無いGレンズの登場した。今度はMFカメラでGレンズが使えない。 小さなことだが、AFレンズをMFカメラで使うと、絞リングの動きがぎこち無い。正直、イライラしてくる。レンズメーカー製のレンズの方がこの点だけは優れている。 カメラにレンズをつけることはできても、機能が制約されるか、使い勝手が悪くなる。不滅のFマウントと言われながら、実際はそうでなくなってきている。 当初、私は「不滅じゃないでゃないか」、「ニコンお前もか」と内心憤りを感じていた。 私はこれまでレンズのシステムを組む上で、AFレンズといえどもF3やNewFM2で使うことを考え絞リングのあるレンズを揃えてきた。 ところが、標準ズームの調子が悪くなり、置き換えの必要が出てきた。 これまでの標準ズーム(タムロンSP24-135mm)は、確かにこれ1本で済ますには良かったが、大きく重いのと暗いのが難点で、どうしても明るい単焦点を持っていく必要があり、荷物がどうしても増えてしまった。 そこで、F100の性能をフルに使うことと、気軽なスナップで使いたいと、これまで避けてきたGレンズ(AF-S 24-85mmG)にした。 AF-S24-85mmは約150g軽く、また、半絞りだか明るい。私の手にもピッタリとくる。 実際に鉄道写真でのAF-Sレンズの威力は凄かった。今までのレンズとは明らかにピントの追随スピードが違う。また、撮影が目的でないお出かけのときはとてもコンパクトに荷物をまとめることができた。 私の考えは間違っていた。 そう、よくよく考えてみれば初心者向けのカメラを使う人がAiマニュアルレンズをどれだけ使うか、逆にAiマニュアルレンズを主に使う人がAFレンズ特にAF-Sレンズを使う必要な被写体を撮るだろうか。 この点、上級者向けのカメラではAiマニュアルレンズアをストレス無く使える。 写真を趣味とする人と写真を撮る人とは明らかに一線を画すと思う。 そう、ニコンは何がいちばん重要か最大公約数のなかで取捨選択し、カメラ・レンズを作っていると考えられる。 やっぱりニコンはえらいのだ! |
(2005.9.26記) |