LUST

君の手を見るたびに心臓が踊る。
年の割に大きいその手は意外にも繊細な腺をたたえていて、その指は長く、すんなりと伸びていて。
“あんたと付き合うようになってから、まめに指先を整えるようになったからじゃない?”
自分の言葉に何を思ったか彼はいたずらっぽく笑ってそう言ったけれど。
彼の手は美しい。
美しいだけではなく、美しさも生み出す。
夢も、何もかもを掴み取れる才能をも持っている。
・・・きっと神様もこの手を愛しているのだろう。 

「う・・・ん、く・・・」
 「・・・いいの?」
 「だ・・・めっ・・・あ!」
耳元近く囁かれる声と、切羽詰った感覚に腰を捩る。
でも後ろから押さえ込まれている格好では思うような身動きも取れない。
君の指が触れている、それだけで熱くなるのに、
 「・・・我慢しなくていいっすよ?」
 「!う!!!」
甘い囁きとその手の動きは優しく残酷に僕を追い詰め、欲望を暴き出す。
君の、綺麗な手が・・・

「・・・あ・・・」
・・・ゆっくりと触れていた手が去っていく感覚に、息を弾ませたまま後ろを振り返れば、僕の欲望で汚れた手に唇を当てている君。
 「や・・・っ・・・!」
 「恥ずかしがる事ないじゃ?」
そんな彼の言葉を聞き流し、強引にその手を引いて唇を当て、舌を這わす。
綺麗なものを汚してしまった、胸を過ぎるのはそんな罪悪感にも似た思い。
手のひらから指先まで、丹念に舐めながら、ゆっくりとその指を口に含む。
 「・・・う・・・」
かすかに柔らかい指の横腹に舌を這わせれば、小さく君が呻く。
くすぐったいのか、かすかに眉を寄せたその顔がとても可愛い。
 「・・・ぁ・・・」
・・・でも、そんな彼の表情と、しなやかな指の感触を味わえたのはつかの間。君は僕の唇から引き剥がすようにその手を引いてしまって。
そんな君を恨みがましく睨めたのは、ほんの数秒。
 「!あ、ああ!!」
息を整える暇もなく、君の指が内部を犯していく感覚に大きく腰がしなり、抑えきれずに声が上がる。
 “・・・また汚してしまう・・・”
でも、そんな罪悪感は身体を包む快楽と共に優越感へと変わっていく。

「あ・・・あ・・・っ!!」
この淫らな動きは僕のためにこの手が覚えてくれた事。
 本当なら知ってはならない事なのに。
 「・・・越前・・・」
 「・・・何?」
 「・・・もっと・・・」
・・・神様も愛しているその手を僕が汚している。
そう思うたび、頭の芯が甘く痺れる。
もっと汚れて? もっと汚して?・・・その手を僕のために。
綺麗な、綺麗なその手を・・・

ねぇ、越前・・・?