6月の高校サークル例会が、9日10日とネイパル足寄という青少年研修施設で行われました。施設は新しく、体育館やグラウンド、パークゴルフ場もある立派なもので、気持ち良くすごせました。なにより宿泊費食事代等すべて数百円で、大変安上がりでした。参加者は7名。ほぼいつもの顔ぶれですが、中学校の藤崎先生が十勝ワインとともに参加してくれました。
1、「算数にチャレンジ」 音更中学校 藤崎先生
藤崎さんはインターネットの算数の問題が出題されるサイト「算数にチャレンジ」(www.sansu.ora/)を紹介してくれました。出題された問題にインターネット上で、ヨーイドンで答えるのですが、最短記録はどれも数分で驚いてしまいます。これまでの出題は単行本「算数にチャレンジ」(吉川マサル著 小学館)に収録されています。なかに大変おもしろい問題がふくまれています。
2、「一次関数と二次関数」 氏家 英夫
新入生に対して「量と数」につづいて一次関数と二次関数について行った授業の実践報告。以前から札幌サークルの「受験体制をのりこえる…」という二次関数のレポートに対して「受験体制をのりこえるというのは……」と批判してきたので、じゃあ自分は二次関数をどう教えるかということで、解析的な視点から二次関数指導を構想するひとつの試みとして、とりくんでみました。最初の試みということで論理的に粗いところもあって、いろんな批判をもらいました。今後の改定に生かしていきたいと思います。正比例から微積分への流れの中で、二次関数をどう位置付けるかということ自体が、論争的なテーマだと思います。
3、「確率の問題」 清水 貞人
モンティーホールジレンマを講習の場で生徒に考えさせた報告。ここでの説明が工夫されていてとてもわかりやすく、私としてはほとんどはじめて納得出来た感じです。いつものことながら清水さんの「生徒にわかりやすく説明する」センスに感心しました。ちょっとここでは再現できないのですが、今度清水さんにレポートにしてもらいましょう。
*1日目はここまでで、夕食後、陸別の「銀河の森天文台」へみんなでいってきました。残念ながらうす雲がかかった状態で星はほとんど観測できませんでしたが、公開している中では日本で二番目の大きな望遠鏡とそれを動かすシステムの説明を聞いて、まあ有意義だったかなと思います。夜の交流会は渡辺先生のフランス旅行の話でもりあがりました。
4、「どうすれば数学的発見の感動が伝えられるのか」 石島 悟
解と係数の関係、剰余の定理等について、それがわかるということに感動がないという問題意識から、その感動を少しでも伝えるように工夫した授業の報告。できるだけ地道に計算させて、そのありがたみを体験させる授業を展開しています。
5、「整式は整数に憧れる」 渡辺 勝
6、「数学レポート集」 成田 収
5月の連休のさいに、生徒にいくつかの課題から選んでレポートを作成するという宿題を与え、提出されたレポートをまとめた報告。課題は(a+b)nなど多項式の展開についてのもので、「……の展開についてわかることを述べよ」という形で出題されています。たいへんな力作もあり、生徒が懸命に自分の頭で考えた様子がうかがえて興味深いものでした。
7、「特殊相対論入門」 真鍋 和弘
ローレンツ変換までを最短で高校生にもわかるようにと言う意図でつくられた特殊相対論の入門編。「高校生にも」ということだが、残念ながら私には「ミンコフスキー空間の光の波面が」なんていうあたりからついていけませんでした。高校生にはちょっと難しいかもしれません。
8、「小森陽一『夏目漱石を読む』の物理学批判」 真鍋 和弘
小森陽一氏の『夏目漱石を読む』にあらわれた氏の物理学理解のいいかげんさについての批判。
9、「加法定理の証明」 清水 貞人
和田博氏の「単振動の合成を二組の三角形をつかって証明する」やり方を、三角関数の加法定理の証明として、単位円の上で展開した授業実践の報告。黒板にくっつく2つの白い三角形のプラ板にマジックで書きこみながらの説明で、大変わかりやすくなっている。相似変換で「1をsinαにするにはsinαをかける」を理解することがポイントのようです。