2013年ヨットレース

 

 

平成25年4月28日開催

 

うわじまパールカップ2013フォトアルバム
撮影/月原 博

このページでは写真家月原博氏が撮影した画像を使用させていただいてます

 

今年も「うわじまパールカップ」の時期がやって来ました。
宇和島ヨットクラブはこのビッグイベントのために「うわじまパールカップ実行委員会」を立ち上げ、年明け早々から準備に取り掛かります。
今回で18回目となり要領は得ているので、毎年同じことをすれば事が足りるのですが、それでもやっておかなければならないことは様々。
役所や関係官庁への申請、マスコミやスポンサー企業への協賛依頼、パンフレットやポスターの作成、記念品や賞品の手配から何まで・・・、すべてヨットクラブメンバーの手でやらなければなりません。
「宇和島市長杯」という立派な冠がついていますが、残念ながら宇和島市はヨットレースに関してまったくノータッチなのです。
せっかく西日本各地から宇和島に多くのヨットがやって来て、普段は色気もくそもない宇和島港が多数のマストでにぎやかに彩られるのだから、もう少し宇和島市さんが積極的に歓迎してあげてもいいじゃないですか?
山々は勢いのある緑色に輝き、海の青さは深みを増すこの季節。
「うわじまパールカップ」の名にふさわしく、色とりどりのセイルを揚げた40を超えるヨットの群れが真珠筏の間を抜けていく美しい光景を地元の子供たちに見せてあげたいと思いませんか?
真珠とヨットで街をPRすれば、どれだけ宇和島市のイメージアップにつながることでしょう?
私はこの大会を参加するヨットマンだけが満足できれば良いレースにはしたくないんです。
昨年、帆船「日本丸」が来た時のように、街全体でヨットを歓迎し市民が気軽に港に泊まっているヨットを訪れてくれるような・・・、市民が密着したイベントにしたいと思っています。
もっとヨットを身近なものとして感じてほしいと思っているのです。

だけど、何ということでしょう。今まで5年間運航してきたヨットレース観覧船はレースの一週間前になってもチケットを購入してくださっている方は数名・・・
これでは運航を中止する以外にありません。
一般市民の方々やレースに参加しているクルーの家族の方に、少しでも間近にヨットレースを観てもらいたいという思いで、赤字を承知で宇和島ヨットクラブが旅客船をチャーター運航していましたが、本当に残念でなりません。
いつの日か、また観覧船を復活できれば良いと思っています。

ということで、冒頭からダラダラとボヤいてましたが、今年のレースも準備は万端です。
わざわざ、この「うわじまパールカップ」を楽しみに毎年来てくださるヨットマンの方々に楽しんでいただこうと精一杯がんばっています!!


4月27日の午後からは、続々とヨットが宇和島港に入港してきます。
ヨットを係留できるスペースなどない宇和島港に30隻以上のヨットを係留しなければならないので、毎年苦労します。
苦労するというより、すべての外来艇を係留できるのかが心配なのです。
通常の宇和島港であれば、とても無理な数字ですが、ここ数年は地元の方々の理解もあって、ヨットレースの時だけは係留スペースを空けてくださるようになってきました。
また、ヨットレース参加各艇にも、不便な船渡りをお願いしているのですが文句も言わずにご協力いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
おかげさまで、今年も無事に参加艇を受け入れることができました。

夕方からは、きさいや広場で前夜祭です。前夜祭というほど大袈裟なものではありません。ささやかな、交流会程度です。
エントリーフィーや翌日のアフターパーティーでけっこうなお金がかかってしまうので、少しでも参加者の金銭的負担を軽減できればと思い、前夜祭の参加は任意で会費はワンコインとすることにしました。
ワンコインなので料理はありません。お腹がすいた人は隣のレストランで注文するか、コンビニで食べたいものを買ってくればいいのです。
それでも、70人ぐらい集まったかなぁ? 
明日のレース本番に向けて、情報収集をしたり、クルーを確保したりする絶好の機会です。
ライバル艇を出し抜くチャンスでもあります。
ここからすでに、レースは始まっているのです。
キツネとタヌキの化かし合いです。しっかり楽しんでください。
前夜祭の後は、宇和島の華やかな夜の街に繰り出して、お金も落として行ってくださいね。

 

4月28日(日)

今年は最高のレースコンデションになりました。
当初は風がないのではと心配していましたが、レース海面はそこそこ風が吹いています。
気温が上がる頃には、さらによい風が吹いてきそうです。

宇和島のレースもここ最近盛況になり、広島あたりでブイブイ言わせているレーサー艇が来てくれるようになりました。
トラックにディンギーのようなヨットを積んでくる人まで出現してきました。
かつては、この海域に色のついたセイルはスピンしかありませんでしたが、最近では黄金や燻銀に輝くメインやジブを装着しているヨットがたくさんいます。
見ているだけで刺激になります。
「カッコええなあ〜」

そういう「ホワイトホーク」も一応は色付セイルなのですが、他の同型艇から譲ってもらった中古です。
新品セイルなんて夢です。
「新しいセイルを作りたい」なんて言ったら、ブッ飛ばされて家を出されるに決まっています。
だけど、良いセイルに替えてもレースで好成績を収められるとは思っていません。
技術が伴っていない上、勘も悪いですから・・・

しかし、今回の「ホワイトホーク」には、強力な助っ人が乗ってくださいました。
横浜で活躍している「アフィニティ」のHさん。
なんてったって、浜っ子です。都会のセイラーというだけで、こちらは恐縮してしまいます。
私は都会に行くと、人の多さに圧倒され、お腹が痛くなります。
満員電車なんて大嫌いです。
車なんか運転する度胸もありません。
横浜は海の上も渋滞しています。
そんな都会の海でもまれたHさんにヘルムを委ねます。
私がヘルムを取るとスタート前の緊張感で、これまたお腹が痛くなるのです。
しかし、Hさんは頼もしい。初めて乗るヨットにもかかわらず、的確に状況判断をして巧みに船を操ります。
ヨットレースの場数を相当踏まれているらしく、スタート前のもっとも神経質になる場面でも、スタボーで突っ込んでくる艇の行列に逆航してポートで流し、隙を見てタック。
「ふ〜ん、こんなスタートの仕方もあるんだぁ〜」と感心させられました。

いつも鼻息荒く、バタバタ、ギャーギャーと騒々しくレースをしている我々とは大違いで落ち着いています。
「ホワイトホーク」のコクピットは適度な緊張感を持って、穏やか〜な空気が流れています。なんかレースに集中出来ている感じです。

上々のスタートで序盤戦は軽風のなか3〜4番手を走行しています。
広島の40ft純血レーサー「EXTEN」(CM-1200)に走り勝っていて、31Sなんかに並ばれる訳にはいかない王様がタックして逃げる場面さえありました。

徐々に風は上がり、北寄りにシフトしてきました。
風が上がると「EXTEN」や「SAMMY」(YAMAHA33S)はあっという間に遠くへ走り去って行きました。
予想通りトラック輸送の「FORTISSIMO Jr.」(MELGES24)も快走しています。
後方にいたツインラダーを持つ「Le Grand Bleu」(SUN FAST 3200)も急加速で風上を突破して行きました。【かっこいいセイルですね〜】
少し後方には高松から初出場の「じゃっど」(YAMAHA30SU)がしぶとく付いてきています。
こうしてみてみると瀬戸内海で馴らした艇ばかり・・・
やはりレース慣れしているというか、練習を積んでいるというか・・・、違う海面のレースでもきちんと対応できているのでしょうね。すばらしい!!

スタートでちょっと失敗していましたが、宇和島の名人が乗る「だんだん」(X-79)もセオリー通りのコースを引いています。後が怖いです・・・。
その他の艇は判別することができません。スタート直後良い走りをしていた「BLUENOTE W」(YAMAHA31F)も遅れたみたいです。

最初に円瀬を回航したのは「EXTEN」でした。2分遅れで「SAMMY」が続き、あっという間に真っ赤なスピンが開きます。
さすが、
ゼッケンNo.1とNo.2。
宇和島のゼッケンはレーティング順に付与しています。つまり番号の小さいナンバーはレーティングが高いと言う証。
しかも、宇和島のレーティングは不公平そのもので、優勝すれば容赦なく次のレースではレーティングを上げててしまうのです。
10番までの黄色いゼッケンは栄光のイエローで、黄色いゼッケンを掲げている艇はその名に恥じない走りをしなければなりません。
「SAMMY」様は宇和島で過去に2回優勝経験があるため、通常ではありえないハンデキャップを背負っているのです。
今回はトップを走る40ftの「EXTEN」と同じTCF0.920。このハンディはいかに「SAMMY」とはいえそうとう厳しいはずなのです。
この2艇がレースを引っ張るのは予想できていました。期待通りの走りです。

3番目は「Le Grand Bleu」
なんとここまで広島勢が1・2・3です。
さあ、「ホワイトホーク」は4番目で行けるか〜?と思ったのですが、なんと「じゃっど」と「FORTISSIMO Jr.」が知らぬ間に前を横切って行くではありませんか。やられた〜。
しかし、まだまだ僅差。「SAMMY」様のように上手にスピンは揚げられなかったけれど、フリーでは、「じゃっど」には追いつけるだろうと甘く考えていました。

「おかしいなあ〜、なかなか差が縮まりませんよ?」
「あれ〜?なんかあのスピンでかくない?」
なんと「じゃっど」は瀬戸内海スペシャルのマストヘッドスピンではありませんかぁ!!
上りの速さといい、リグも変更しているのかなあ?

それにしても、あの「メルゲス」はなんなんでしょう・・・
船首から突き出した長〜いガンポールに、こちらもマストヘッドからの巨大なジェネカーを揚げています。
過激すぎます!!
そういえば、「SAMMY」もマストヘッドスピンです。
こんな船に追いつくのはちょっと無理です。

おやおや、やっぱり名人の「だんだん」が後方で頑張っていますよ。なんだか、ずいぶん近づかれましたなあ。
その横でバトルをしている鬼のパンツのような虎柄スピンは「セイラーズムーン」(YAMAHA36)でしょうか。
この海域を知り尽くした宇和島と別府の大将もあっ晴れな走りをしています。

我々が最終マークの錐ヶ瀬浮標に近づく頃には、格の違う2艇はすでにフィニッシュしてしまったようです
錐ヶ瀬を回航して最後の上り。
「ホワイトホーク」は
Hさんのナイス判断により、絶妙なタイミングでタックを入れ最短コースでフィニッシュライン目指して一直線。
左に進んだ「FORTISSIMO Jr.」と「じゃっど」をギリギリまで追い詰めましたが、少し届きませんでした・・・。

それにしても今年は良いレースができました。
「ホワイトホーク」は横浜のHさん、デニスコナーそっくりさんの森川建設専務、ゲンちゃん、コウちゃんの同世代4人でメンバーを固めましたが、コミュニケーションもバッチリでとてもうまく機能したと思います。
ヘルムスをHサンに任せ、このフネのこと、この海域のことを良く知っているオーナー2人がトリムとピットとバウをこなし、海域の特色やライバル艇の情報をヘルムスに伝え、一緒に検討しながら戦略を練る。
いちばんのファインプレーは3桁はあるかもしれないデニスコナーのウエイトコントロールだったかもしれません。
反省点もありますが、上出来のレースだったように思います。
瀬戸内レーサー陣には敵いませんでしたが、それなりに存在感を示せたのではないかな?

今年のレースは天候も良く風にも恵まれ、宇和島の海を満喫していただけたのではないでしょうか。
事故もなく全艇が完走できたことを非常に嬉しく思います。

   

 

 


うわじまパールカップ2013 成績表


優勝(3着) Le Grand Bleu 〔SUN FAST 3200〕

2位(4着) FORTISSIMO Jr.〔MELGES24〕

3位(1着) EXTEN 〔CM-1200〕

4位(5着) じゃっど〔YAMAHA30SU〕


5位(6着) ホワイトホーク 〔YAMAHA31S〕


6位(2着) SAMMY 〔YAMAHA33S〕


7位(7着) だんだん 〔X-79〕

8位(10着) セイラーズムーン 〔YAMAHA36〕

9位(8着) BLUENOTE 〔YAMAHA31F〕

10位(11着) パル〔YAMAHA31F〕

11位(29着) ADELFA 〔YAMAHA25ML〕

12位(22着) SUNSHINE-V〔ブリアン32〕

13位(9着) FELLIA 〔J-29〕

14位(18着) D.D.B〔YAMAHA30SU〕

15位(13着) だるま〔YAMAHA31F〕

16位(14着) メリー〔YAMAHA31S〕

17位(19着) CHIHAYA〔YAMAHA30S〕

18位(32着) DAY TRIPPER〔YAMAHA23U〕

19位(16着) Daisy〔YAMAHA31S〕

20位(21着) サテンドール〔OKAZAKI 32〕
   
   


今年もレセプションは満員御礼!!


優勝は広島から初出場の「Le Grand Blue」


宇和島市長杯と栄光のエンブレムが光る紺ブレザーが贈られました。


【ファーストホーム賞】 2年連続「EXTEN」


【遠来賞】 高松から初出場の「じゃっど」
リコールがなければ・・・でした。


【敢闘賞】 福岡津屋崎からシングルハンドでやってきてくれた「雲龍」


豪華真珠ネックレスは誰の手に?


たくさんの真珠製品を用意しています。


恒例のジャンケン大会


皆さん頑張ってくださいね。

ゴージャスなNo.2の賞品を手にしたのは、何度も死の淵をさまよいながらも這い上がってくる「ランスロットV」のN山艇長。
トレードマークのバンダナを剥ぎ取られてもこの笑顔!! よかったね〜


今年の最高級宇和島パールは高知の「だるま」ファミリーが勝取りました。
今回は災難続きでしたが、天は見放しませんでした。
さすが、転んでもタダでは起き上がらない「だるま」さんです。

 

今年も本当に楽しかったですね〜。
これから本格的なヨットシーズン到来です。
みなさん、来年も元気でお会いしましょう!!