(7月20日)
夜遊びはせずおやすみして、レース当日の朝を迎えました。
お腹がすいたので、クルーみんなで佐伯駅のむこうのジョイフルまでお散歩がてら朝ごはんを食べに行くことにします。
しかし、一人だけ異常に歩くのが遅い人がいますよ。
「番長さん、体調でも悪い?」
「靴ずれが痛くて歩けん〜!!」
みんなクロックス風安物サンダルやのに、一人だけ本物クロックスのデッキシューズなんか履いとるからや〜(笑)
ボリューム満点のジョイフル朝食で元気満点。
でも、足を負傷している人がいるので、帰りは駅前からタクシーに乗って港まで乗り付けます。
乗車時間わずか1分!!
なんか、セレブみたいやね・・・!?
さっきまで「ホワイトホーク」だけだった岸壁がにぎやかになっています。
昨夜大入島に泊まっていた別府のチームや地元のヨットが集まって来て、なんだかレースらしくなってきました。
さあ、準備でもしますかぁ。
レースは昨年と同じで大入島を時計回りに3/4周するコースみたいです。
今年も風がないのかなあ?
スタート前は軽〜い風がソヨソヨ吹いています。
これだけ風があれば十分ですが、今一つ気合は入りません。
スタートラインがかなり偏っているので、みんな本部船よりに集まってきます。
ホワイトホークはスタート時刻を見計らい、上一番を狙って加速。
と、ところが・・・
みなさんアビームで横からどんどん突っ込んでくるではありませんか。
「おいおい?」
あまり大きな声は出したくありませんでしたが、「シモ〜、シモ〜。上ってくださいよ〜。ぶつかりますよ〜。」
つい声が出てしまいました。
しかーし、誰も意図を理解してくれていないようです。
「あの人何を言ってるのぉ?」みたいな感じでジロジロこちらを見ているのに避航しようとする艇はいません。
だって、上らせたらリコールしちゃいますもんね。
で、ぶつけるのは嫌だから、しょうがなくこちらが落として避けてやらなければならなくなり、そうこうしているうちに「プォーーーン」。
スタートしてしまいました。
「あ〜あっ、せっかくいい位置をキープしていたのに・・・」
しかし、いったいどういうつもりなのかね!!(怒)
レースでルールを守らないと本当に危険なので、最低限のルールは守りましょうね!!
思ったようなスタートができず、いちばんマークしておかなければならない大型レーサーの「伯鴎」(FCヨーロッパ)に出遅れてしまいました。
さらに悪いことに風が吹上がり始め「伯鴎」のスピードについていけなくなってしまう。
妹分にあたる「ブリーズ」(YAMAHA28S)も良い走りをしていて、しぶとくついてくる。
今回「ホワイトホーク」のレーティングは引き上げられていて、非公開なのだけど37ftの「伯鴎」に着順で勝たなければ勝利はない。
また、このまま28ftの「ブリーズ」についてこられると非常にまずいことになってしまう。
しかし、レースはまだ始まったばかり。
逆転のチャンスは十分あるだろうし、先導してくれる艇が居てくれるおかげで風のシフトも分かりやすい。
狭い水道をタックしながら進み挽回のチャンスをうかがいます。
ギリギリで地ノ鼻を通過し、これまたギリギリで村碆もかわす。
人形ばえにも目いっぱい近寄って進路を右へ。
「あれ?片白島ってもっと右じゃない?」
なんだか「伯鴎」の進む方向が違っている気がします。
「スピン上がるやん。」
チャンス到来。
静かに気付かれないようセットし、「伯鴎」より先にスピンを上げます。
相手も気付いたようで、ダウンウインド用のセイルを準備していますがジェネカーのようです。
先行する「伯鴎」との差は一気に縮まり、片白島手前で背後にピッタリくっ付きました。
ロックオン完了!!
「ここでジャイブしたら止まるよ。」
昨年のレースで片白島のブランケットに捉り、抜け出すのにずいぶん苦労した経験があります。
嬉しいことに「伯鴎」は即ジャイブしてくれました。
「よし、これで完全に前に出れる!!」
我々はそのまま直進し時期をうかがってジャイブ。
このレース一番の勝負どころです。
が、しかし、スピンがフォアステーに巻きつき変なことになっています。
ちょうちんをほどこうとゲンちゃんが一生懸命頑張っていますが・・・、
「ビリ、ビリ〜〜〜」
変な音がした。
「やばい、スピンが破れたぁ」
「伯鴎」は予想通り止まってくれています。残りの距離を考えるとここでスピンを下ろすことはできません。
「バーストしても、このままいくよ!!」
なんとかトラブルを回避し再び走り出しましたが、「伯鴎」もブランケットを脱出して走っています。
勝負はレグの中盤までもつれましたが、こちらには秘策がありました。
格上の相手とはいえ、2隻の位置関係からするとウチの方が有利です。
ラフィングしてスピードをつけて一気に「伯鴎」を抜き去ります。
最後のジャイブは確実に決めてフィニッシュラインめがけて一直線。
スピンも持ちこたえてくれて、3年連続のファーストフィニッシュ達成。
本部船のN山会長から冷やか〜な視線を感じました。
今回は良い風に恵まれ、レースが早く終了しました。
表彰式では今年もたくさんの賞品をいただき、また佐伯市長杯を宇和島に持ち帰ることになりました。
夜八時、ホームポートに到着。
薄暗い桟橋で子供たちの声が聞こえます。
「出迎えに来てくれたのかなぁ?」
すると、いきなり打ち上げ花火がバーン!!
「ホワイトホーク優勝おめでと〜う!!」
なによりも嬉しい優勝のお祝いでした。