2017年ヨットレース

第22回宇和島市長杯ヨットレース

うわじまパールカップ2017

とうとう始まりました「うわじまパールカップ」。
今年は西日本各地から53艇のエントリーがありました。
20数年前にこのレースを始めた頃は、宇和海周辺のヨットが20艇集まるかどうかで、30ftが大型艇だった時代。
今ではヨットの大型化が進み、30ftはもはや小型艇。
ふだんは1隻もヨットがいない宇和島港に、これだけ多くの外来艇を受け入れるのは限界を超えています。
朝の開会式で宇和島市長が「立派な係留用桟橋を新設したから、もっと多くのヨットが宇和島に集まってほしい・・・」と挨拶をされていたが、かわいらしい10mの桟橋を1基設置したところで何の役に立つ?
宇和島ヨットクラブとしても、もっと多くの参加艇を受け入れたいのだけれど、係留スペースの問題やスタッフの人数からすると、これ以上規模を大きくすることはできません。
今回も50艇で制限をかけていましたが、エントリー締め切り後も出場の申し込みがあり、やむを得ずお断りさせていただいた次第です。
出場できなかった方々には大変申し訳なく思いますが、来年はぜひとも早めにエントリーをお願いいたします。

さて、今大会注目すべきは博多からの出場艇。
初出場の「ハミングバードV」(ロッドマン42MOD)、「マロロ」(FIRST40)、「SAKURA」(グランドソレイユ45)。
それにパールカップ常連の「ファルコン」(FIRST40)もやって来た。
きっと博多勢と広島の「SAMMY」(YAMAHA33S)や「Le Gland Blue」(X-37S)、それに松山の「コーラルリーフ」(IMX38)などがファーストホーム争いを繰り広げることになるのでしょう。
しかし、私自身の心の片隅には『31ftの「ホワイトホーク」が彼らの前をチョロチョロしたら面白いやろうね。』と思うところもあり、ミラクルが起こることを信じて今シーズンの初戦に挑みます。

4月30日(日)

 

スタート海面には風がありません。
気温が上昇すれば風は出てくるのだけど、さていつから吹き出すか?
風はないけど、けっこうな潮が流れています。

スタート時刻は10時。
そよりと吹いていた風は急に風向を変え、潮に流された艇がかなりスタートラインをはみ出してしまってます。
案の定、ゼネラルリコール。
うわじまパールカップでは初めてのゼネリコだったかもしれません。
15分後に再スタートとなり、最初のスタート時の教訓を生かし、「ホワイトホーク」はアウターマーク側からスタート。
スタート後も無風ではないものの弱い風に苦しみます。

予想通り、博多の「ハミングバードV」や「マロロ」が先行していきますが、驚くほどは遠ざかっていきません。
「もう少し風があれば、あっという間に見えなくなってしまうんでしょうけどねぇ。」


振れまわる風に翻弄され悪戦苦闘。
最初は「ハミングバードV」がフリートをリードしていると思ったが、北側のコースを引いた「SAMMY」があっという間に抜け出してきた。
「さすが、さみー様。」
宇和島のコースを熟知しており、確実に先頭を走るYAMAHA33Sは超カッコイイ!!

その後も北側コースの艇がゾロゾロ続き、気付けば「ホワイトホーク」の前を10数艇のヨットが走っている。
「やばい、コース選択をミスったかも・・・!?」


「SAMMY」が円瀬浮標をトップで通過し、ぶっちぎるかと思いきや、なんか様子がおかしい。
急に針路を南へ変えた。
「あれ、もしかしてコースを間違えている? 今年は円瀬の先に第1マークがあるんだよ!?」
「いや、コースを間違えたのではなく、風が振れ回っている・・・」

この気まぐれな風に振り回されながら、先頭艇がようやく第1マークに差し掛かる頃、待望の風が出てきた。
第1マークをトップで回ったのは「SAMMY」だったか?
定かではないが、「SAMMY」ならば、すぐさま上がるはずの赤いスピンが上がらない。
「あれ?マークを回った後も上りになってるよ!!」

続々と有力艇が続き「ホワイトホーク」は13番目で第1マークにたどり着いた。
「前にいるのは速い船ばかりなのでしょうがないのだけど、それにしてもずいぶん置いて行かれたなぁ〜。」


しかも、一つ前には絶対に前を走らせてはならない「じゃっど」(YAMAHA30SU)が走っている。
ミラクルを信じてこのレースに挑んだものの、奇跡を起こすことは難しい状況になってきました・・・。

第1マークを回航後、安定した西風が吹き出し、各艇ダウンウインドセイルにチェンジ。
「ホワイトホーク」の前方には10数艇の快走艇が連なっています。

風が安定してくると性能に劣る「ホワイトホーク」には厳しい状況でありますが、30SUの「じゃっど」も健闘しています。

我々にも一応のプライドがあり、昨年優勝している「じゃっど」には先を譲るわけにはいきません。
しかしながら、相手はマストヘッドスピン。
悔しいけれど、標準仕様の31Sはフリーで走り負けてしまうのです。

これで万事休すかと思いきや、先行艇グループの様子がおかしいぞ!!
多くの艇が野島の横でスピンを潰してもたついている。


西から吹き出した風は、先行グループのいる場所まで届いてなく、「ホワイトホーク」はブローのエリアにすっぽりはまっている。
「チャンス到来!!」

思い出したのは11年前のパールカップ。
「ホワイトホーク」は後続を10分近く引き離してダントツで円瀬を回航したが、野島の横で完全に失速。
その後、真っ黒なブローに乗った後続艇がボワッーーーと走ってきて、あっという間に並ばれ、抜かれ、苦杯を嘗めた。
今回はその逆パターンで、ひょっとするとミラクルが起こるかも?

11年前の2006年大会はリコールした「SAMMY」が全艇をごぼう抜きをし、ストップしている我々の無風エリアを避けて野島ぎりぎりのコースを引き、見えなくなるまで独走して行った。
今回は「ホワイトホーク」がそのコースを行かせてもらいますよ!!

一発ジャイブをかまして野島横のいかだまで上り、先行グループに並ぶ。
完全にあの「さみー様」を後ろに従えた!!

10年以上決して前を走らせてもらうことのなかった、兄弟子に恩返しができた気持ちになりましたが、それもつかの間。
やはり、レース慣れしている艇は対処が早く、最小限のダメージで危機を脱してきます。

南のコースは不利と読んでいましたが、ファーストホーム最有力の「ハミングバードX」が独走で第2マークを回航していきました。
同じく南下していた「フォルテッシモ11」(FEET30)が続きます。
「マロロ」、「コーラルリーフ」、「SAMMY」、「じゃっど」が行き「ホワイトホーク」。
かなり順位も上げたし、前との差はごくわずか。

最終レグは短く、博多の「ハミングバードX」が後続を引き離し余裕のファーストフィニッシュ。

続いては同じく博多の「マロロ」が「フォルテッシモ11」をとらえて面目を保った模様。

「コーラルリーフ」と「SAMMY」の争いも、最後には「SAMMY」が制したか。

最終レグのファーストタックで「ホワイトホーク」は「じゃっど」の前に出たもののファイナルタックで刺殺された。
その差わずか1秒。
負けず嫌いの気迫が「じゃっど」のほうが勝っていたということでしょう。

激しい戦いは終わりました。
初出場で今回の難しい風を制した「ハミングバードX」はプロセイラーを擁していたとは言え、さすがです。

栄えある総合優勝は周南の「フォルテッシモ11」。
昨年はホンダワラを巻きつけ本来の走りができなかったようですが、今年は見事にそのリベンジを果たしました。

準優勝は高松の「じゃっど」。
今年はレーティングを上げているにもかかわらず2年連続優勝するのではないかと冷や冷やものでした。やっぱりこの艇は強い。

「ホワイトホーク」も数ある有力艇を抑えてこの位置でフィニッシュできたことは上出来。
パールカップでは内容が結果に反映されませんが、他所のレースでは本気で行かせていただきます。

それより、53艇参加のビッグレースが無事に終わったこと。
運営側の宇和島ヨットクラブとしてはそれが一番の喜びであり、次への励みになります。
ヨットのシーズンは始まったばかりですが、今シーズンも安全で楽しいヨットライフを送りましょう。


 


うわじまパールカップ2017 成績表


ファーストフィニッシュ ハミングバードX[ロッドマン42MOD](博多)

右 総合優勝【3着】 フォルティッシモ11〔FEET30〕(周南)
左 Le Grand Bluue 〔X37SPORT〕(広島)

2位【6着】 じゃっど〔YAMAHA30SU〕(高松)


右 3位【14着】 だるま〔YAMAHA31F〕(高知)
左 Daisy〔YAMAHA31S〕(別府)


4位【22着】 サテンドール〔OKAZAKI32〕(別府)


5位【16着】 サンシャインV〔ブリアン32〕(倉敷)


6位【7着】 ホワイトホーク〔YAMAHA31S〕(宇和島)


7位【17着】 ブルーノートW〔YAMAHA31F〕(周南)
14位【5着】 コーラルリーフ〔IMX-38〕(松山)


8位【30着】 ADELFA〔YAMAHA25ML〕(三瓶)


右 【2着】 マロロ〔FIRST40〕(博多)
左 SAKURA〔グランドソレイユ45〕(博多)


【4着】 SAMMY〔YAMAHA33S〕(広島)

 遠来賞 シェンロン〔ジャノー35OD〕(長崎)

右 セイラーズムーン〔YAMAHA36〕(別府)
左 大海言〔YAMAHA31F〕(新門司)

右 ユリカゴン〔J/V9.6CR〕(若松)
左 小春〔CAPE35〕(別府)

右 CHIHAYA〔ババリア35マッチ〕(別府)
左 ユリカゴン〔J/V9.6CR〕(若松)

ディグフィールドミリオン〔ロス35〕(新西宮)

ピーターストーム〔スプリント98〕(周南)

 

今年も楽しかったですね〜。

来年も元気でお会いしましょう!!