2020ヨットレース
第35回 佐伯市長杯ヨットレース2020
2020.8.8(土)
こんな時ですが、九州の佐伯セーリングクラブは市長杯ヨットレースを開催してくれるそうです。
もちろん検温やマスクの着用、艇長会議は代表者1名のみの出席で野外で行う等々感染防止策をとったうえでの開催。
各地のヨットレースが中止や延期となる中でヨットレースを実施するというのは難しい判断だったかったと思いますが嬉しいことです。
3連休初日の土曜日、宇和島から佐伯までヨットを回航します。
真夏の回航は暑くてやってられないことが多いのですが、幸い良い風が吹いていて涼しい。
ちょっと寄り道して、豊後水道のど真ん中にそそり立つ水ノ子灯台に接近してみました。
この石造りの灯台は本当に立派。
よくこんなところに、こんな立派な灯台を建てたものだといつも感心させられます。
アビームの風で快適にセイリングしているとあっという間に佐伯湾に入りました。
エンジンで機走し船を軽くするため燃料を使うつもりだったのですが結局燃料はほとんど使わず、消費したのはアルコール燃料のほうでした。
入港後は回航用のセイルからレース用のセイルに付け替えたりと汗だくの作業で体内のアルコールも放出されました。
とりあえずは、お風呂で汗を流して翌日のレースに備えましょう。
2020.8.9 (日)
第35回佐伯市長杯ヨットレース当日。
今日は少し吹きそうな予報なのですが、朝は風がありません。
風が無ければ、そのほうが都合が良いのだけど・・・
密集回避の艇長会議後、スタート海面に向かいますが予想に反して北からの風。
これではスピンスタートになってしまいます。
「おかしいなあ・・・?」
必ず南から吹くはずなんだけど・・・
とりあえず、今の状況ではライトジェノアにスピンの準備をしておかなければなりません。
スタート10分前。
南側から大きなブローが来ています。
「やっぱり来た。これが本当の風だ!!」
しかも、15ノットの強い風。
ライトジェノアを下ろし、ヘビージェノアにチェンジ。
スピンも必要ありません。
09:30、レーススタート。
少し出遅れたものの上一番からまずまずのスタートで、すぐに先頭に並びます。
最初に八島を反時計回りで回航するのですが、島に近づくにつれ風が乱れまくり。
吹いたと思えば風が無くなり、後ろから来た艇に並ばれては一斉にストップ。
ブローがあるところの艇だけ走っている状態が何度も続く。
八島を回るのに苦労し、危うく浅瀬に突っ込みそうになる場面もありましたが、一番最初に島影を抜け出しフレッシュな風を受けて走り出しました。
後方からは「薫風」(スイング31)、「じゃっど」(YAMAHA30SU)など・・・
スピンを揚げて後続を引き離します。
トリマランの「疾風」(コルセアF24)がいい走りをしているのも見えます。
人形ばえを過ぎてジャイブして大入島の水道にアプローチした時、なんか違和感を感じました。
後続は十分引き離していて、少しジャイブにもたついたものの追いつかれる心配はありません。
ところが、いつもと違う妙な感覚がしていました。
「あの島の左側でいいんよねぇ?」
「ん〜〜〜・・・???」
近づくにつれて違和感は増すばかり。
「やばい、間違えたぁ。ジャイブ、ジャイブ!!」
今まで佐伯のレースに何度も出場しているのに、不覚にも「村ばえ」と「官島」を勘違いしていて「村ばえ」と「人形ばえ」の間に突っ込もうとしていた。
危ない所でした。もしかすると、勝利を焦りすぎて冷静さを失っていたのかもしれません。
その後も余分に2回ジャイブし、かなりタイムをロスしてしまいました。
しかも、大入島のブランケットにつかまり大失速。
我々の失態の様子を後方から窺っていた「薫風」は早々にスピンを下ろし、失速することなく追いついてきました。
こうなると、さらに冷静さを失ってしまうもの・・・
再び走り出すまでにかなり時間がかかり、後続艇も続々と差を詰めてきています。
さらにまずいことに、風が落ちると読んでいた大入島と彦島の水道は、スロットになって風が吹き抜け白波が立っています。
スピンランの時にライトジェノアにチェンジしていたことが裏目に出てオーバーキャンバス。
「薫風」とファーストフィニッシュをかけてタック合戦を繰り返しますが、最後は10数秒差で敗れました。
残念な気持ちを引きずりつつ、ハーバーに戻りました。
レース中は風もあり暑さは気にならなかったものの、船を係留してからの作業は酷です。
レース用のセイルを片付け、回航用のセイルをセットする。
負けが確定しているレース後の作業は地獄に近いものがあります。
一とおり片付けも終わり、佐伯レース名物の美味しい屋台ラーメンを頂きます。
暑い時に熱いラーメンを汗だくで食べるのもいいものです。
今回はあまり楽しみではない表彰式ですが、驚くべき結果になっていました。
優勝は地元の古豪「ランスロットV」。
2位「じゃっど」、3位「薫風」
なんと、この3艇は修正時間で1秒以内の僅差。
さらに1位と2位の差は0.11秒なんてドラマチックすぎる。
「ホワイトホーク」は2回目の三連覇を達成することは出来ませんでしたが、昨年優勝ということで2021年カレンダーの表紙に採用していただきました。
タラレバの話ですが、「もしあと1分1秒早くフィニッシュできていれば・・・だったのに。」
自分の責任ですが、悔やまれます。(?_?)
レース終了後、
台風5号が速力を上げて九州の西を北上してきているためすぐに出港して宇和島に帰ろうか、それとも予定どおりもう一泊しようか迷いましたが、せっかく長崎から大先輩が来てくれているので佐伯で反省会をして翌朝早く出港することにします。
そうと決まれば3ポンリーフを入れて荒天準備。
「明日は豊後水道のうねりも高くなるし、10m/s以上の風も吹くだろう。」
翌朝すぐに出港できる準備を整え、汗を流してから地元の居酒屋さんでレースの反省会。
佐伯の魚も美味しいね。
2020.8.10(月)
朝06時、臼杵の「志高」が出港していきました。
高松の「じゃっど」は出港を見合わせるとのこと。
ブーツとカッパを着用し「志高」より10分遅れで出港するものの、すでに強い風が吹いていて、岸壁に吹き付けられてなかなか離れない。
タイミングを見てなんとか離れたが、こうなることを想定して出船付けにしておいて良かった。
防波堤を出て3ポンリーフでメインセイルを揚げる。
すでにブローで30ノットを超える風が吹いていて気が滅入ります。
今回はレースで来ているのでストームジブを置いてきたことを後悔しました。
回航用のメインセイルには3ポイントリーフは必須です。
2ポンでは恐ろしくて走れない時でも3ポンがあると安心だし、何度助けられたことか・・・
豊後水道は南からのうねりと風を少しでも後ろから受けるようにしたいので、少し遠回りにはなるけど佐伯湾内でできるだけ南下し、鶴見埼付近から日振島の北を向けるように航行します。
鶴見埼を過ぎると2メートルのうねりと30ノットの強い風。
たまに大波をかぶりながら2人でヘルムとワッチを交代しながら慎重に走らせます。
たまに大きな木が流れていてヒヤッとします。
日振島を過ぎるとうねりはなくなり一安心ですが、真っ黒い雨雲がやってきたかと思えば激しい雨。
大雨が1時間ぐらい続き、周囲が全く見えなくなり迷子になるところでした。
昼過ぎに無事帰港し後片付けをしていると今度は酷暑。
いろいろありましたが、あっという間の3日間でした。
ヨット遊びは無事に帰ってくるのがいちばんですね。