2021ヨットレース

第36回 佐伯市長杯ヨットレース2021

2021.10.2(土)

当初8月に予定されていた「佐伯市長杯ヨットレース」ですが、台風や大雨の影響で10/3に延期されました。
猛烈な勢力まで発達した台風16号も東へ抜け、西日本は大きな高気圧に覆われました。
海上では北の風が残っていますが、うねりもなく絶好の回航日和。
朝7時に宇和島を出港し、豊後水道を越えて昼過ぎには佐伯湾に入りました。

 

昨年のレースでは先頭を走っていたにもかかわらず、大入島北側の小島を見誤り、岩礁地帯に突っ込んで危うく座礁しそうになりました。
何度も佐伯のレースに出場しているという慣れが犯した痛恨のコースミス。
このチョンボのおかげで後続艇に追いつかれ、勝利も逃しました。
今回は同じミスを繰り返さないよう、じっくりと下見をしてから入港しました。
港では佐伯セイリングクラブ元会長N山さんが歓迎旗を揚げてお出迎え。
おみやげを持って来たのを知ってたからだろうね。
N山さんのトレードマークであるバンダナをナポレオンに巻いてプレゼント。

 

夕方までにけっこうな数の入港艇がありました。
エントリーは12艇だそうです。
レース当日も天気は良いみたいだけど、さて風があるか・・・?

 

2021.10.3(日)

佐伯市長杯レース当日。
どの気象予報を見ても風は吹きそうにありません。
風がないことを予想してか、スタートは0930から0900に繰り上げられました。
コースも例年であれば八島と大入島を回りますが、今回はスタートライン近くにマークブイを打ち、マークブイと大入島を反時計で回るコースになりました。
風がなければ、さらに途中でコース短縮も有り得るとのこと。


艇長会議を終えてスタート海面まで出てみると6ノットぐらいの南寄りの風が吹いています。
これぐらい風があれば全く問題ないが、おそらく一回止んで北からの風に吹き変わる・・・?
運営は北からの風を予想してマークブイを設置していたのだろうけど、予想に反して反対からの風。
これではスピンスタートに成りかねないと判断したのか、スタートラインを北側に移しポートのリーチングスタートになりそうです。


0900レーススタート。
今回の参加艇は12艇。ホワイトホークを含めてYAMAHA31Sが3艇。SWING31が1艇。4艇が同レーティングです。
どの艇も負けられない相手ですが、スタート直前に作戦変更したのが失敗し、スタートでは出遅れました。
マークブイまでの距離は0.5マイルもないぐらいなのであっという間に到達します。
当然、艇団はまだばらけてないため回航は混雑しますが、スタートで出遅れた分混雑に巻き込まれず、グループの後方から回ってインに差し込みました。
マークボートまでは上りになり、その間に先行艇との差をかなり詰めました。
しかし、追い上げに集中しすぎて次のレグのスピン準備が遅れてしまいました。

若干のタイムロスはあったものの無事にスピンも上がり冷静に周りを見渡せば、左海面にブルーのマストヘッドゼネカーを揚げた「小春」(CAPE35)と我々のすぐお隣に「薫風」(SWING31)。
その他の艇は後方にいます。


しばらく仲良しの「薫風」さんと膠着状態で和やかにやり合っていましたが、このままではお互いのために良くありません。
名残惜しいですが、お別れしてそれぞれの道を進むことにします。

 

「薫風」の後ろを回って艇速を付けてぐんぐん上らせ右の海面に出ます。
本当は左に行きたいんだけど・・・
「薫風」との距離が十分取れたところで、頃合を見てジャイブ。
片白島へのアプローチとして、最適なVMGを稼げる良い判断だったと思います。
まだ風速も5〜6ノットあり艇速も4ノット。
「片白島の東側にブランケットゾーンがありそうなので少し離したほうがいいね。」
前を行く「小春」との距離も縮まりつつあり、コクピットの雰囲気もいい感じです。

      

しかし、風速計はTWS3ノット・・・2ノット・・・
どんどん風がなくなってきます。
「なんか嫌〜な感じ」
前を行く「小春」も必死で風を捉えようとしていますが、思うように行かないみたい。
ここでウチだけ風が来てくれればトップに躍り出るチャンスです。
だけど、そううまくいくはずはありません。
どこを見ても風がない。
どうにかこうにかフネを止めないように風を捉えようとはしますがスピンはだらり。



後ろも同じ状況ですが、1艇だけ走っているフネがいます。
24ftトリマランの「疾風」だけが風のない海を走っている。
『そのうち止まる?』
いや、止まらない・・・
『あらら、どこまで行くの?』
あ〜あ、行っちゃった・・・
『エアロリグってすごいね!!』
我々がもがいている間に、いとも簡単に抜かれて行ってしまいました。
前方にブローが見えているのだけど届きそうにない。
もどかしい時間が続きますが、ふと風向が変わった気配がしました。
「ジャイブしよう!!」
ようやくスピンがはらむようになり艇速も上がります。


「小春」も「疾風」も走っている。
徐々に安定した風になり、「疾風」との距離は縮まりつつありますが、「小春」との距離は変わりません。
オーバーランするより、細かく刻んで村バエにアプローチ。
村バエをかわせば少し上らせることができるため「疾風」は抜けると確信していました。
だけど、どういう訳か我々が島を回ろうとしているのに合わせているかのように風もどんどん反時計回りにシフトしてデッドランとなり、観音開きのように大きくセイルを開いたエアロリグのトリマランを捉えることができません。
ソコバエの浮標を回って水道に入ればなんとかなるだろうと思っていたら・・・
あれっ!!、本部船がいる。
「プゥー」
やばい、ホーンが鳴った!!
コース短縮?
タイムリミットは13時だったはずですが、まだ11時です。
「もう少し走らせろよ〜!!勝負は狭水道に入ってからだぜ〜!!」との思いもありましたが仕方ありません。
この時点で優勝の可能性が無くなったため、楽しみも無くなりました。
往生際悪く、そのままスピンを揚げて狭水道に入りますが、さらにさらに我々が回る方向に風もシフトして何が何でも追い風にしようとしてきます。
これでは結果は変わりません。
覆すことは不可能でした。



港に戻って佐伯レース名物の屋台ラーメンをいただきます。
ここ数年、このラーメンがとても楽しみです。



さて、レースの結果は・・・
予想どおり2位。
優勝の「疾風」さんおめでとうございました。



まあ。今回は仕方ありません。
どうしてもモノハル艇にとっては微風の追い風という不得意なコンデションでしたが、軽量マルチハル艇にとってはこれ以上無い絶好のコンデションだったということでしょう。
優勝は逃しましたが同レーティングのライバル艇には2時間のレースで10%以上のタイム差を付けて勝っているし、内容は悪くなかったと思います。
いつもレースの応援に来てくださる長崎、高知のクルーの皆さんには本当に感謝いたします。

表彰式が終わり、宇和島へは帰らず別府に向かいます。
次は別府湯けむりレース。
大分2連戦。次のレースも頑張りましょう。