2023ヨットレース

第38回 佐伯市長杯ヨットレース2023

 

2023.9.30(土)

8月に開催予定だった佐伯市長杯ヨットレースですが、台風6号の影響により10月に延期になりました。
延期になったことは自分的には幸運で、おかげで仕事を頑張れる希望にもなりました。

9月最後の日、計画通り早朝に出港し豊後水道を渡ります。
行きの回航は気象条件も良くて楽勝、快適。 わずか6時間で佐伯に到着。
今回のレース参加艇の中で一番乗りです。
翌日のレースに同乗する長崎のメンバーと合流し準備を整えます。

 

 

夜は佐伯セイリングクラブ主催の前夜祭で盛り上がりました。
明日のレースはどうなるか?
気象予報では大陸からの高気圧が張り出して強い風が吹きそうです。
強風は自艇にとって不利な条件だし、その後の回航も気になります。
まあ、心配してもしょうがないことなので、早く寝て明日のレースに備えましょう。

 

 

2023.10.1(日)

佐伯レース当日。
大陸から高気圧が張り出して吹きそうです。
いつから吹き出すかは分かりませんが、おそらくレースがスタートするぐらいから白波が立ち始め、午後は強風になるのではないだろうか?
「吹かれると嫌だなぁ〜」
なんだか、レース前から弱気です。

 

朝、少し雨が降りました。
まだ風はありませんが、雨が上がったら吹き出すよねぇ・・・?

 

スタート海面に到着しますが、南西からのランドブリーズ。
風が吹いたり止んだり息をしています。
いずれ北風に吹き変わるのでしょうが、まだ雲も動いてないし沖のブローも見えません。

「よし、強気でいきましょう!!」
スタート時刻は09:30。
良い感じでスタートラインにアプローチしていたのに、30秒前に突然風が南に振れました。
「あらら、困った。」
なかなかスタートラインを切れませんが、風上艇がタックして皆いなくなりました。
「よし、チャンス!!」
他艇との距離を離して自艇もタック。
クリアでフレッシュな風をもらいグングン加速。
あっという間に2艇身ぐらい抜け出しました。
その後もリードを広げて、最初のマーク艇を余裕のトップ回航。

  

  

スピンが揚がるかどうか、微妙な感じでしたがリードを広げるためスピンアップを指示しました。
艇速が上がるとともに相対風向は前に回り、かなりきわどい感じでしたがギリギリでエンドマークを回り切りました。
こうなると、次のレグはかなり楽。

バウダウンして片白島を目指します。
レース序盤にして抜け駆けに成功しましたが、そのうち新艇の「Leo」(ファースト36)が追いついて来るでしょう。

しかし、本来吹くべきはずの北からの風がまだ気配がありません。
VMGを稼いでジャイブを繰り返しスケーティングしながら片白島にアプローチします。

片白島手前まで到達した地点でピタッと風が止みました。
「まずいね・・・、だけど、そろそろ風が変わるタイミングだよ!!」

読みは当たりました。
少しの時間ストップしたものの、風はがらりと変わりスピンダウン。
ゼノアを揚げて走り出しました。
後続艇はまだノロノロしていてリードはさらに広がります。

あの「Leo」をはるか後方に置き去りにしているし、ライバルの「薫風」(スイング31)は豆ツブのようにしか見えません。
これからは安定した北寄りの風が吹くので安泰でしょう。
「ホワイトホーク」艇上では、すでに『あれ』という言葉が出始めました。
だけど、油断するにはまだ早すぎます。
順調にクローズホールドで大入島北側を目指していましたが、陸地に近づくにつれ風が弱まります。
タックを繰り返し、なんとか村ばえを回った頃、またもや風がピタッと止まりました。

弱いブローを拾いながら少し走ってはまた止まりを繰り返します。
後続とのリードは十分保っているものの、もどかしい時間です。
過去にもこのパターンで後続艇に追いつかれることは何度も経験していますが、なんだか嫌な予感がします。

 

嫌な予感というものは当たるもの。
途切れることのない風に乗ってきた「Leo」が後ろから突っ走って来て、苦しむ我々の横で急停止しました。
さらに、遥かかなた後方にいたはずの「薫風」まで追いついてきて、我々をあざ笑うかのようにブローの筋を進んでいます。
「ホワイトホーク」にとっては残酷な状況。
多額の貯金を一瞬にして失ってしまったようなものです。

まずい状況は続きます。
風は後ろから吹き出し、いち早くスピンを揚げた「薫風」が走り出しました。
こちらとしても「薫風」をカバーしたいのですが、「Leo」がすぐ横にいるもので身動きが取れません。
「Leo」の後方から上に出ようとしますが、「Leo」もラフィングしてきます。
このままでは、2隻が共倒れで「薫風」に逃げられてしまいます。
我々の敵は「Leo」ではなく同レーティングの「薫風」。

 

風下側の右海面に少し濃いブローを見付けました。
イチかバチかあのブローを取りに行く!!
「薫風」に気付かれないよう、ゆっくりベアします。
すると、突然ボンッと風が入ってワイルドジャイブ。
「スピンをつぶすな!!」
スピントリマーがとっさに気を利かせてくれて、ハンドポールで押さえてくれました。

この一瞬の判断で加速し、「薫風」を捉えました。
対岸ギリギリまで近付き、もう一度ジャイブ。

「薫風」と「Leo」の風下に出たことで、上らせてスピードを付けることができます。
完全に「薫風」の前には出ました。さらには「Leo」も狙える可能性もありましたが、フィニッシュラインまでの距離がありません。

残念ながら、ちょっとだけ早く「Leo」のホーンが鳴ってしまいました。
惜しいところでファーストホームを取り逃してしまいましたが、ベストを尽くした結果なので仕方ありません。

フィニッシュ後、後方を見てみると悪夢のような光景が広がっていました。
後続艇が続々フィニッシュラインめがけて走ってきています。
風が吹き出すタイミングが、先行した我々にとって運がなかったということです。

レース後、後片付けをしているとヒューヒュー風が吹き出しました。
ラーメンを食べてすぐに別府へ回航する予定でしたが、どうしよう???
速吸瀬戸の潮流は逆潮Maxだし、15m/sの向かい風。別府に到着するのは夜になる。
翌日は有休を取ってるし、無理をする必要もないね。
だったら、ゆっくり表彰式に参加しましょう。

 

ファーストホームは取り逃したものの相手は格上なので、修正順位は何ら問題がありません。
後続艇に追い上げられたとは言え、それなりのリードは保っていたはずです。
だけど、なんか嫌な予感ががしてワクワクしません。
順当にいけば『あれ』なのですが、結果は『準あれ』でした。

 

レース中盤までブッチギリで最高の走りをしていたし、最後まで諦めずにできる限りのことをしたのですが、結果に結びつかず残念でした。ファーストホームも優勝も取り逃して、まったく運がなかったレースのようでしたが、幸運もありました。
少し落胆して受け取った準優勝の商品を後でよく見ると「ソーダストリーム」でした。
これ欲しかったのよね。
妻に買っても良いかお伺いしたところ、却下されていた品物だっただけに、こんな形でゲットできたことはラッキーでした。
こんなことがあるから、ヨットレースは楽しい。

2着2位なので本来は喜ぶべき成績なのですが、内容からすると1着1位が狙えてただけに悔いは残ります。
大分2連戦。翌週は別府です。
この悔しさをバネに、次は頑張りましょう。