日野さんのトランスパック艇 乗船記  その2

前回、TPレーサー「レグルス」に乗船し、ゴールデンウイークには横須賀から高知までのシェークダウン航海に出る予定だった日野さんですが、「レグルス」はレースメンバーが乗船するため、サポート艇の「レティシア」で和歌山県の那智勝浦まで航海をするようになったようです。

日野さんは勘違いされているようなので、本文中にある間違いを一つだけ指摘しておきます。「ホワイトホーク」で玄界灘を渡ったときの風は風速6m/sではなくて風力6だったのです。つまり、ビューフォート風力階級で風速12〜13m/sに相当するぐらいです。表現の仕方はいろいろ難しいですね。


(日野さんのレポート)

それは、もう直ぐ5月の連休に入ると言うある日、 東京の会長さんより電話が入った。

電話の内容は、今回5月の連休に「レグルス」に乗ると言う事でしたが、「レグルス」はレースクルーが乗ってレースの為の練習をすると言う事になりましたので、回航要員である私には、サポート艇の「レティシア」(デュフォー39)に乗って下さいとの事でした。
(会長さんはレーシング艇とクルージング艇の2艇、所有されているのだ(^_^;) )

30日の夜11時に神奈川県三浦市の三崎マリーナを出港すると言う予定はサポート艇も同じですとの事。(レグルスは同じ時間にヴェラシスを出港します)

初めての船でいきなりのオーバーナイトは、私は嫌なので(ハリャードやシートそしてウインチの場所、色々な事が船によってかなり違うので・・・それを、暗闇で行う自信は私には、ありません・・・)

会長さんには、その事をお話しして30日の、お昼までにはマリーナ入りをします。と返事をして電話を切った。

29日の夕方、高速バスで松山を出発、東京には30日の朝早く着き、その足で三崎マリーナへ向かう。

お昼前にマリーナへ着いたので、その事を電話すると前日に修理ミスで燃料がキャビンの中に飛び散ったとの事。
それは、それは、凄い燃料の匂いがキャビンの中を漂っていました。
一応掃除はしてあったのですが、(これでは今夜キャビンで寝ることは難しいなぁ~・・・(T_T))

そう思った私は、もう一度徹底的に掃除をする事に決め、床下もすべて洗剤で拭き上げて、マット類もすべて干しました。
(お天気が良かったのが幸い)
夕方頃には匂いも、ほとんど消えて気にならなくなって、ひと安心です。

30日夜の10時集合だったのですが、夕方7時頃になると皆さん集まり始めて荷物を積み込み男性7名、女性1名、全員集合して11時、真っ暗やみの中、と言っても周りは見えなくはないのですが、他のヨットの間をすり抜けマリーナを出て行きます。

夜中の出港。私は、あまりやりたくは無いですねぇ〜・・・
(月夜で周りが見えるのであればロマンチックでいいかも)

ワッチは夜中の12時から朝の4時まで、4時から8時までの4時間ワッチ。
朝の8時からは全員で適当に話をしながら過ごして夜の8時から4時間のサイクルで再びワッチに入ると言う変則ワッチとなりました。

私は初日の夜12時から朝の4時までワッチとなり、いきなりの朝4時まで寝ないで過ごすこととなりました。
(うわっ!!睡魔に襲われないかなぁ〜・・・)

でも、3人一組でワッチをすればいいので意外と眠くなかった。
(以前のオーバーナイトの時はオーナーと二人しかいなくて、2時間の交代ワッチだったので眠かった・・・でも、オーバーナイトはロマンチックで好きです。もう少し睡眠出来ればねっ)

朝の4時に次の組と交代、やっと寝ることが出来ました。
スタンのベッドで爆睡、目が覚めると他の人は全員起きて外に居ました・・・あらら・・・

私は、そんなに荒れた海ではなかったと思いましたが、やはり石廊崎越えは大変だったのでしょうか、一人の女性と体調を崩した1名の男性が、5月1日、お昼前に伊豆の下田へ入港の際、下船されました。

ついでに燃料も補給して直ぐに出港、那智勝浦を目指します。

(書き忘れましたが、今回サポート艇は那智勝浦で、ヴェラシスを出港して高知へ向かい、那智勝浦へ引き返してくるレーシング艇レグルスを待ち受けることになっています)

この下田から出港して穏やかな海をトローリングしながら行くと、かつお4匹と、あじが1匹ヒット。
那智勝浦へのクルージングは穏やかな海でルンルン気分、やがて訪れる海が「遊んであげるぅ〜」モード(それも、かなりの)に突入するとは夢にも思わず、ゆみちゃんは、のんびりムード。

夜光虫を眺めたり、星空を仰ぎ観てロマンチックな時間が過ごし夜の8時から12時までのワッチの時間が来ました。
でも、この時はそうでもなかったのですが、次の、朝4時から8時までのワッチの時間は強風と大波でダイナミックなものとなりました。

ワッチを始めて暫くすると風はどんどんと吹き上がり、6〜7tonの船が追手の風と波に乗りサーフィンします。

他の人の航海日誌を読むと風力が、波高が、とよく書いてありますが、のんびり派の私の場合、一応キャビンの入り口にスピードメーターや風向計などのメーター類がありますが、私は、あまりメーターを見ることはありません。

風も波高も、あまり気にしないで、その時その時に対応していくだけです。

今回も、風速メーターは33.3となっていましたがこれがノットだったのかメートルだったのか???
多分33.3m/sでしょう。なんて思い、知り合いのヨットマンに、この話をすると笑われました。
「33m/sの風なんてありえません(^O^)」との事です・・・

でもホワイトホークで玄界灘を越えたことがありますが、その時は、向かい風6m/sの波高3mだったそうです。

その時の感じからすると6〜7tonの船が追手でサーフィンするのですから、風速は33.3m/s波高5m位かな〜・・・なんて思ってた。

だって、33.3ノットの風なら、約15m/sの風でしょう・・・ヨットが追い風で帆走ると、見かけの風が弱くなりますものねっ。
15m/sの風でサーフィンするのかなぁ〜・・・

あ!!このくだりを書いていてハタと思った。
そうか!追ってで、弱まった状態で33ノットなんだ・・・納得しました・・・なるほど・・・

伊豆・下田港入口

石廊崎、神子元島灯台

写真では分かりにくいが座礁船がある

那智勝浦への航海は、5月2日の朝になっても海に遊ばれっぱなしで入港まで豪快に帆走。
その日の14時無事那智勝浦へ入港しました。

強風と大波の為、高知行きを中止した「レグルス」とも合流。
(レグルスはあまりの強風と大波に、波の谷間を飛び越したり、バウを、たびたび波に突っ込んで潜水艦状態になり乗員の危険を感じたそうです)

「レグルス」もですが、こちらの船の中も水船状態なので船の中のものをすべて外に出して干し上げました。

那智勝浦は「レグルス」を待つ予定でいたので滞在が1日長くて、ゆっくりと出来ます。

そして・・・さあ、温泉だぁぁ〜〜〜
無料の連絡船に乗ってホテル松島へ出かけまーす。

このホテルの中には洞窟温泉、展望風呂など色々な温泉があって温泉巡りができます。
ところがこの温泉、午前中に入れば1日500円、午後から入ると1日1000円?
値段が反対のように思うのは私だけ???
(ホテルに泊まる人も居ましたが、私はヨットの中で寝ました。
だって、お金ないもん(^_^;)うふふ)

そして那智勝浦は5月4日の朝5時30分頃に出港。

英虞湾へのアプローチ 高知行きを断念した「レグルス」と合流

この日も海に遊ばれっぱなしで英虞湾には、その日の18時に入港。

(入港事前に携帯で給油を依頼する。ここは年中無休なのですが営業時間は18時までなのに待っていてくれました)

英虞湾に入ってすぐの漁港の裏にある、
黒くて小さなスタンド船(小さなタンカー・・・かなっ?)
に横付けして燃料を補給(オーナー曰くかなり安いそうです)してすぐに出港。

英虞湾から、ホームポートの有る三浦市までは海にかなり手荒く、又、豪快に遊ばれ続けながらも帆走。
5月6日の朝1時頃、無事三埼マリーナへ入港しました。

再び船の中はビショビショ・・・
ひと眠りして朝から船の中を大掃除、すべてのものを干して終了。


荒れた海は大変でしたが、オーバーナイトと合わせ、色々な人と出会いそして色々な経験をして、本当に楽しいゴールデンウイークとなりました(^O^)/


 

トランスパック艇乗船記 その1