1.はじめに
人間の筋肉の70%は下半身(概ね下腹部からアキレス腱に掛けて)に集中しているといわれている。つまりは、筋肉量の増加を目指すのであれば下半身の強化に励むべきなのである。
さて、その下半身であるが、筋肉が集まっている理由はなんであろう?答えは、生活の中で筋肉が必要とされているからである。下腹部は呼吸で、脚は歩行で十二分に毎日活用され、強化される。このことを頭に入れて、次の項目へと移って欲しい。補足として、近年増加している腰痛の原因は腹筋と背筋のアンバランス、若しくは腹筋の低下による腰への負担であると言われている。腰痛防止にも腹筋の強化は不可欠となる。
2.決して行なってはいけないトレーニング
私の中学時代には、40代(現在は50代)の教員による強制的なトレーニングを毎日のように行なわされていた。内容は以下のような物である。
3キロ走・兎跳び・固い床で足を伸ばし頭に手を置く腹筋・指で行なう腕立て伏せ・おもいっきり体を反らす背筋
さて、これらのトレーニングによるメリット及びデメリットは何だろうか?長距離走は有酸素運動のため非常に効果的である。しかし、兎跳びや前述の腹筋などは身体的な構造やトレーニング理論から考えれば間違ったトレーニング方法であるのは言うまでもない。兎跳びはひざを痛めるし、頭に手を添える腹筋では首を痛める。また、筋トレからは少し離れるが、激しいトレーニング後には十分な水分補給が必要にもかかわらず、精神面での強化などといったわけのわからない理由から、水分を取らせてもらえない経験もした。大量の発汗のあとには十分な水分を取らなければ脱水症状に陥る危険さえもあるのである。このように一世代前までは間違ったトレーニングが当たり前のように行なわれていたのである。
3.効果的なトレーニングとは
筋肉の強化とは、トレーニングによって切れた筋繊維が再生し太くなることで強化されるといわれている。そのため、日常的に使われている腹筋や脚部の筋肉は、毎日のトレーニングで強化しなければ効果は期待できないだろう。それに反し、腕には大きな負荷が日常生活でかかることは少ないのでトレーニングは1日おきに行なうのが効果的となる。この1日おきというのは、壊された筋繊維の回復周期とマッチするため非常に理想的なのである。
また、筋トレは継続的に行なうのが望ましい。筋肉のつき方は、上に凸の二次関数のグラフ(y=-x2乗)を想像して欲しい。横軸を時間経過、縦軸を筋肉量と考えると、最初は急激に筋肉量が増加するが、あるときに伸び率が低下する。また、筋トレをやめた場合には行なっていた期間と同じ時間を掛けて筋肉量が減少していくのである。
4.管理人が行なっているトレーニングとは
私は、概ね下半身の強化を中心に行なっている。その一例を述べるので興味があれば実践してみて欲しい。
@つま先立ちスクワット
通常のスクワットはひざへの負担が非常に大きいため、ひざの弱い人にはあまり向かない。しかし、つま先立ちで行なうスクワットでは、ひざへの負担をふくらはぎに移行するためひざの弱い人でも効果的に下半身を鍛えることが出来る。さて、方法としては次のように行なう。
まずは、つま先立ちになる。そして、自分の胸の高さくらいのところの壁に両手のひらを当てる。あとは、つま先立ちのままゆっくりと体をしずめひざが「くの字」になる程度まで曲げて再び体を上げる。この時、注意して欲しいのは、ひざを曲げすぎないことと体を沈めた際にはかかととおしり、頭が一直線上となるように意識し、体が前かがみにならないようにすることである。
このトレーニングはやり始めは数十回程度でもふくらはぎや太ももに強い張りを感じるくらい効果的にトレーニングを行なうことが出来る。
A腹筋
椅子やベットなどに脚を乗せることで通常の2倍〜3倍負荷を掛けた腹筋を行なうことが出来る。この際に気をつけて欲しいのは足を 「□ のようなイメージで行なって欲しいということである。少し、わかりにくいが、□を椅子やベットだと考えてもらいたい。「は足の形である。つまり、体を椅子やベットになるべく近付け、ひざがほぼ直角となるような体勢で行なうことを意味する。その時には、手は頭に置くのではなく太ももに掛け、体を起す補助として使う。一見してみれば腹筋をする意味が薄れるのでは?と感じるかもしれないが、実際に行なってみて腹筋にかかる負担などを通して効果を身を持って感じて欲しい。恐らく20回程度でキツさを実感できるだろう。
5.スクワットの運動強度は…?
案外、知られていないのはスクワットの運動強度がジョギングや縄跳び以上であるということである。1分間運動したときのエネルギー消費量を以下のように示す。
スクワットは1分当たり0.208キロカロリーのエネルギーを消費する。これはジョギングの2倍弱となる。その理由は、スクワットは沢山の関節を使うからである。股関節はもちろん、膝関節、足首の関節。一つの動作でありながら、使う関節と筋肉が多い運動なのである。そのため、しゃがんだり立ったりするだけの簡単な運動なのに筋肉の動員量が多いことでエネルギー消費量が多くなるのである。
しゃがむのに3秒、立ち上がるのに2秒をかけて一日100回スクワットを行なうと、ジョギングを15分行なったのと同程度のエネルギー消費がされたことになるのだ!!