育児介護休業制度について


第16回の問題12にて社会保険料に関する興味深い出題がされていましたので紐解いてみましょう。

出題は次のような内容でした。
 「育児休業期間中及び介護休業期間中の(社会)保険料負担は、被保険者及び事業者とも免除されている。」
正解は×です。その理由を説明していくことにします。


(1)育児休暇⇒完全義務化は1995(平成7)年4月1日から
・育児休暇(育児休業)
 労働者(日雇労働者は取得できません。以下同じ。)が、1歳未満の子を育てるための休業をいいます。 一般的には育児休暇とをばれています。
・育児休暇の申出が必要です。
 労働者は、育児休暇を取得するときは、事業主に申し出が必要です。ただし、原則として一人の子について1回しか取得はできません。更に、契約期間が定 まっている労働者については下記の条件を満たすときだけ申出ができます。
@その会社に引き続き1年以上雇われている者
Aその子が1歳になった以後も雇われていると見込まれる者
 原則として子が1歳になるまで育児休業は取得できますが、子が1歳になったときあずけられる保育所が見つからないなど一定の理由があれば、1歳6か月ま で事業主に申し出て育児休業を延長することができます。
・育児休暇取得の手続き
 育児休業の申出は、1ヶ月前までに書面で休業開始(予定)日と休業終了(予定)日を明確にしなければいけません。
・事業主の義務
 従業員から育児休業の申出があったときは、原則として、事業主は申出を拒否できません。でも、就労状況により休業を与えることが適切でない者もいます。 そのような者については、労使協定を締結することで休業制度の適用除外とすることができます。

(2)育児休暇中の社会保険料免除
 育児休暇中は、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料の両方)が免除されます。また、免除は本人分だけでなく、事業主負担分も免除されます。
 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に規定する1歳に満たない子(または1歳から1歳6ヶ月に達するまでの子)を養 育するための育児休業(労働基準法の産後休業期間は育児休業にあたりません。)、1歳から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業制度に準ずる措置 による休業(以下、「育児休業等」)をしている被保険者を使用する事業主が社会保険事務所に申し出ることにより、その育児休業等を開始した日の属する月か ら、その育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、被保険者負担分と事業主負担分の保険料が免除となります。
 例えば、平成17年5月10日から平成18年4月20日まで育児休業を取得した場合は、保険料が免除される期間は、平成17年5月〜平成18年3月 と なります。

(3)育児休暇中の雇用保険からの給付金
 育児休暇中は、雇用保険の制度から、@育児休業基本給付金が支給され、その後もとの職場に復帰し6箇月在籍していれば、A育児休業者職場復帰給付金が支 給されます。

(4)育児休業基本給付金
@1歳未満(一定の場合は1歳6か月未満)の子を養育するために、育児休業を取得したこと
 *期間雇用者(期間契約社員)も一定の要件を満たす場合、受給できます。
A育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月(みなし被保険者期間といいます。)が通算で12か月以上あること。
B休業期間中(各支給単位期間)賃金が不支給であったり、または休業開始時賃金と比べて、80%未満の賃金で雇用されていること
*支給単位期間とは、休業開始日から、翌月の休業開始日に応当する日の前日までの1か月のことです。

(5)支給額
 育児休業基本給付金=休業開始時賃金日額 ×支給日数 × 30%
*育児休業基本給付金の上限額(平成17年8月1日〜18年7月31日):127,350円 (14,150円×30×30%)

(6)介護休業⇒完全義務化は1999(平成11)年4月1日から
対象者:要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者
対象家族:両親と子供,配偶者とその両親,同居し,かつ扶養する祖父母,兄弟姉妹,孫
期間: 連続する3か月を限度とし,労働者の申し出た期間(取得回数は,要介護の家族1人につき1回)

※上記の対象者及び期間は法制度上の最低基準
「改正育児・介護休業法」のポイント
@育児休業や介護休業を理由とした不利益取扱いの禁止
A時間外労働の制限(1か月24時間,1年150時間を超える時間外労働の制限)
B勤務時間の短縮等の措置の対象となる子の年齢の引上げ(義務:3歳未満の子,努力義務:3 歳以上小学校就学前まで)
C子の看護のための休暇の努力義務
D転勤についての配慮(育児や,介護の状況に配慮すべき義務)
E職業家庭両立推進者選任の努力義務
F国による意識啓発等
施行期日:平成14年4月1日。ただし@及びE,Fについては平成13年11月16日。


(7)図で見る育児・介護休業取得者に対する経済的支援

育児休業取得者 介護休業取得者
(1)育児休業給付金(雇用保険法)
 育児休業を取得した被保険者に対し,休業前賃金の40%を支給する。

【育児休業基本給付金(休業前賃金の30%)と育児休業者職場復帰給付金(〃10%)の合計】
               
(2)社会保険料の免除(厚生年金保険法,健康保険法)
  育児休業期間中,社会保険料が事業主負担,従業員負担分ともに免除される。

              
(3)住民税納付の猶予
  育児休業期間中,納税することが困難であると本人が申し出て,認められれば一年以内に限り,納付を猶予する。               

(1)介護休業給付金(雇用保険法)
  介護休業を取得した被保険者に対し,休業前の賃金の40%を支給する。

 
(8)育児・介護休業に関する事業主への助成制度
@ 育児・介護費用助成金   (中小企業2/3,大企業1/2)
A事業所内託児施設助成金   (助成率1/2)

B育児休業代換替要員確保等助成金 (中小企業15万円又は50万円,大企業10万円又は40万円)

C育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金(対象者1人当たりの限度額:中小企業21万円,大企業16万円)

D育児両立支援奨励金(中小企業40万円,大企業30万円)

E看護休暇制度導入奨励金(     〃          )



 長々と説明してきましたが、結論を言えば、育児休暇は年金保険料は事業者、被保険者ともに免除特例があるのに対し、介護休暇では免除特例はないんです よ。ただそれだけです。








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