○障害者福祉論
問1 精神障害に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。
A 精神障害者保健福祉手帳の有効期限は3年間となっている。
B 精神保健福祉相談員は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいている。
C 2002(平成14)年の「患者調査」によると、精神科病院の入院患者およそ33万人のうち、受け入れ条件が整っても退院が可能な患者は1万人に満たない。
D 精神障害者社会復帰施設は、精神障害者授産施設、精神障害者福祉工場、精神障害者地域生活支援センターであり、精神障害者生活訓練施設は含まれていない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 × × ○ ×
3 × ○ ○ ×
4 ○ × ○ ○
5 × ○ × ×
<問1解答:5>
A.×
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間である。
B.○
「精神保健福祉相談員」は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第48条に基づいて設置されている。
C.×
受け入れ条件が整えば退院可能とされる入院患者はおよそ6万9000人とされている。いわゆる社会的入院者の社会復帰対策を進めていくことが今後の精神保健福祉施策の重要課題の一つとされている。
D.×
精神障害者社会復帰施設は、精神障害者授産施設、精神障害者福祉工場、精神障害者地域生活支援センターに加え、精神障害者生活訓練施設も精神障害者社会復帰施設である。
問2 障害者の定義に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 国連の国際障害者年行動計画では、障害者は、「その社会の他の異なったニーズを持つ特別の集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである」としている。
B 知的障害者福祉法では、知的障害者とは、「都道府県知事から療育手帳の交付を受けた者をいう」としている。
C 障害者基本法では、障害者とは、「身体障害、知的障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいる」としている。
D 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律では、精神障害者とは、「精神分裂病、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、精神病質その他の精神疾患を有するもの」と定義されている。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ × × ×
2 ○ × ○ ○
3 × ○ ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 ○ ○ × ○
<問題2解答:1>
A ○
1981年の国連障害者年に先立ち,1980年に国連総会で決議された「国際障害者年行動計画」でのノーマライゼーションの理念を踏まえた障害者の法的定義である。
B.×
知的障害者福祉法では「知的障害者」の定義を設けていない。「療育手帳制度について」(昭和48年発児第156号厚生事務次官通知)では、「手帳は、児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害であると判定された者に対して交付する。」と規定している。2000年(平成12年)9月の厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査」では知的障害の定義として知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ,日常生活に支障が生じているため,何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」とされた。
C.×
記述中には精神障害が抜けている。障害者基本法では、障害者とは、「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいる」としている。この法律により、「精神障害」を明確に障害者の範囲に位置づけられたのである。
D.×
記述中には、「知的障害」が抜けている。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律では、精神障害者とは、「精神分裂病、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有するものをいう」としている。
問3 次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 我が国における小規模作業所づくりは、1980年代から精神障害者の自主運営活動として始まったが、1990年代に入り、知的障害者や身体障害者の作業所づくりが始まった。
B 1970年代に入り、アメリカの自立生活(Independent Living)運動は、重度の身体障害児のもつ親の会の活動として出発し、発達保障という考え方を提唱した。
C 1950年代に、知的障害児の親の会として出発した全日本手をつなぐ育成会(当時は、全日本精神薄弱児育成会)は、現在では知的障害者の本人部会を設けている。
D 我が国における精神障害者の家族会の全国組織は、1940年代後半に設立されたが、精神障害者本人による全国組織はまだ設立されていない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 × ○ × ○
4 × × ○ ×
5 × × × ○
<問題3解答:4>
A.×
1970年代から知的障害者や身体障害者を主対象に自主運営活動としてはじまり,国の障害者の小規模作業所への補助制度が,1977年(昭和52年)より知的障害者通所援護事業,1987年(昭和62年)より在宅重度障害者通所援護事業及び精神障害者小規模作業所運営事業として行われるようになった。1980年代に入って精神障害者を対象にした小規模作業所が設立されはじめた。1990年代には脳血管障害等中途障害者やアルコール依存症等への広がりをみせていた。
B.×
IL運動は1970年代初にアメリカの重度障害を持つ学生たちが,自立とは「自らの責任と判断により主体的に生きること」だという運動を展開した。「発達保障」は,糸賀一雄氏の実践の中から生まれた教育思想で,重度・重複障害を伴っていても,どんな子どもたちでも必ず発達するものであるという確信を持ち,その発達を促す援助の重要性を強調したのである。
C.○
1952年(昭和27年)に知的障害児の親たちにより「全日本精神薄弱児育成会」が結成される。1959年(昭和34年)に「全日本精神薄弱者育成会」と改称された後も親の立場からの運動が展開されてきた。1980年代に国際障害者年を契機として,他の障害当事者団体が当事者の立場での主張と運動が展開されたことやスウェーデンやデンマークにおける当事者活動の影響を受け,知的障害者本人の当事者活動の場として1989年(平成元年)に本人部会を設置される。その後、本人部会の活動から「精神薄弱という,差別を感じる言葉を改めて欲しい」という,本人たちからの強い要望を受け,討議を重ねた結果,1995年に「全日本手をつなぐ育成会」へと改称した。
D.×
1965年(昭和40年)に全国精神障害者家族会が結成された。1990年頃から精神障害者本人の活動が徐々に活発になり,1993年(平成5年)に全国精神障害者団体連合会が結成された。
問4 障害者の所得保障制度等に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 障害基礎年金の受給権者に対しては、国民年金の保険料免除の制度がある。
B 障害基礎年金では、障害の程度に応じて1級から3級まで定められている。
C 知的障害児施設に入所している重度障害児には、障害児福祉手当は支給されない。
D 所得税法上、障害者控除の制度がある。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ○
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×
<問題4解答:2>
A.○
国民年金の保険料の免除制度では,届けることによって免除される法定免除の制度と,申請して承認を受ければ全額又は半額の保険料の納付が免除される申請免除がある。
法定免除は@生活保護法による生活扶助を受けている人 A障害(基礎・厚生・共済)年金の1・2級を受けている人が該当し,申請免除は@所得がないとき A生活保護法の生活扶助以外の扶助を受けているとき Bその他保険料を納めることが著しく困難なときに承認を受ければ,その一定期間中は免除される。学生は,納付特例制度が設けられている。
B.×
障害基礎年金は1級と2級の2段階である。
C.○
「肢体不自由児施設その他これに類する施設で厚生労働省令に定めるものに収容されている時はこの限りではない」との規定があり,施設入所児に関しては障害児福祉手当は出されない。障害児福祉手当は,20歳未満の重度の障害児に対して,その障害のため必要となる精神的,物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより,重度障害児の福祉の向上を図るための手当である。特別障害者手当等と共に介護にかかる金銭面における所得保障の一環となっている。(「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」第17条第1項第2号)
D.○
所得税法上の障害者控除とは,居住者または控除対象配偶者もしくは扶養親族が障害者(3〜6級)である場合には,障害者1人につき27万円を控除する制度である。特別障害者(1〜2級)である場合には,1人につき40万円を控除する特別障害者控除が該当する。他に住民税における障害者控除や特別障害者控除などもある。(「所得税法」第79条)
問5 障害者に関する国連を中心とする動きについての次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 1975(昭和50)年に採択された「障害者の権利宣言」は、「すべての障害者が,同年齢の市民と同等の権利を有し,また必要な各種サービスを受ける権利を持っていること」などを宣言した。
B 国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」を実現するために,国連は1982(昭和57)年に「障害者に関する世界行動計画」を採択し,加盟各国に本計画に沿った取り組みを求めた。
C 1993(平成5)年に採択された「障害者の機会均等化に関する標準規則」は、「障害者に関する世界行動計画」の進行状況から、障害者の差別撤廃国際条約が提案され、翌年に締結された。
D 1971(昭和46)年に採択された「知的障害者の権利宣言」は、ノーマライゼーションの理念の広がりを受け,知的障害者が可能な限り通常の生活を送れるよう,各種の権利を列記している。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ○
<問題5解答:1>
A.○
記述の通りである。
B.○
国際障害者年(1981年)のテーマである「完全参加と平等」を実現するために,国連は1982(昭和57)年に「障害者に関する世界行動計画」を採択し,加盟各国に本計画に沿った取り組みを求めた。同時に「国連・障害者の十年」(1983〜1992年)が宣言され,継続的な取り組みを図ることとなった。
C.×
「障害者の機会均等化に関する標準規則」は1993(平成5)年に採択された。「障害者に関する世界行動計画」の進行状況の検討から,障害者の差別撤廃国際条約が提案されたが,種々の理由により賛同が得られなかったため,条約ではなく,強制力のないガイドラインとして採択された。
D.○
記述の通りである。
○医学一般
問6 感染症に関する次の記述のうち正しいものを一つ選びなさい。
1 何らかの病原体により感染を受けると全例が発症する。
2 敗血症とは、全身に血栓ができ、血液凝固系に異常をきたした疾患である。
3 1類感染症は日本で特に感染の多い疾患をさす。
4 重症急性呼吸器症候群(SARS)の有効的な治療法は現在では確立されていない。
5 日本において結核は1950年までは死因順位1位であったが、その後は減少し、1990年代には新規発生は皆無に等しかった。
<問6解答:4>
1 ×
病原体や免疫力などの要因により必ずしも全例が発症するとは限らない。
2 ×
敗血症は重症の感染症、あるいは感染症が全身に影響を及ぼしている状態である。感染症とは、病原微生物によって局所に炎症が起きている状態を、炎症とは、生体の恒常性を妨げる因子に対して、これを除いて生体を修復し、恒常性を回復する一連の働きをいう。
3 ×
1類感染症は、危険性が極めて高い感染症のことである。
4 ○
現在ではワクチンはなく、治療には患者を陰圧空調室に収容することになっている。
5 ×
1997年から1998年に掛けて新規発生者が上昇した。
問7 老化に伴う生理的機能の低下に関して誤っているものを一つ選びなさい。
1 細胞の数の減少
2 肝臓の重量の低下
3 心臓の重量の増加
4 水溶性の消炎鎮痛薬の効き過ぎ
5 運動負荷時における心臓のポンプとしての働きの低下
<問7解答:3>
1 ○
体内臓器において細胞への栄養の供給や老廃物の運び出し能力が低下することにより細胞数は減少・不整化がすすむ。
2 ○
80歳代になると肝臓は約3分の2となり、臓器の機能も低下する。
3 ×
他の臓器と異なり、心臓は20歳頃より70歳前後に掛けて重量が20%ほど増す。
4 ○
水分保持量が若年者から高齢者に掛けて大幅に減少するため水溶性の消炎鎮痛薬は溶解度が増し、効能が上がってしまい副作用が出現しやすくなる。
5 ○
重量は増すが、働きは加齢と共に低下する。
問8 生活習慣病に関する次の記述のうち、正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 日本において死亡割合の高い部位では、男性では肺がんが最も多く、次いで胃がんとなっている。
B 脳血管疾患による死亡数は2004(平成15)年では死因順位第2位である。
C 急性心筋梗塞ではニトログリセリンは無効である。
D 高血圧は病因が明らかな本態性高血圧が大部分を占め、原因の明らかではない二次性高血圧は高齢者では少ない。
1 A B
2 A C
3 A D
4 B C
5 B D
<問8解答:2>
A ○
日本人のがんで最も多いのは胃がんであるが、死亡数では肺がんが最も多い。
B ×
2003(平成15)年の日本における死因は、第1位が悪性新生物、第2位が心疾患、そして脳血管疾患は第3位となっている。
C ○
急性心筋梗塞では、狭心症で有効なニトログリセリンは無効であり、モルヒネを必要とする。
D ×
高血圧は病因が明らではない本態性高血圧が大部分を占め、原因の明らかな二次性高血圧は高齢者では少ない。記述では本態性高血圧と二次性高血圧が逆になっている。
問9 高齢者の病気に関する次の記述のうち、正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A アルツハイマー型痴呆は、比較的急激に発症する。
B 寝たきり高齢者のおよそ12%は骨折が原因である。
C 白内障とは、角膜が混濁し不透明となった状態である。
D 老人性難聴では高音域が聞こえづらくなる。
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D
<問9解答:4>
A ×
アルツハイマー型痴呆は、発症は徐々に起こる。それに対し、脳血管性痴呆は比較的急激に発症する。脳血管性痴呆の約8割にお脳卒中発作の既往を認め、発作と痴呆の発症との間には時間的関係が認められる。
B ○
高齢者のおよそ12%が骨折が原因で寝たきりとなっている。そのため、後期高齢者の増える21世紀では高齢者の骨折を少なくすることが急務な課題となっている。
C ×
白内障は、水晶体が混濁し不透明となった状態である。
D ○
記述の通りである。
問10 精神疾患に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A アルコール精神病には、振戦せん妄、アルコール幻覚症、コルサコフ症などがある。
B 症状精神病の中心的な病像は意識障害などで,その程度と経過は基礎疾患と並行して変動することが多い。
C 統合失調症の通院治療では通院医療費公費負担制度が適用されない。
D てんかんはDSM−WやICD−10では神経系疾患として精神障害としては扱われていない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 × × × ○
4 × ○ × ×
5 ○ × ○ ×
<問10解答:2>
A ○
記述の通りである。アルコール関連障害では精神・身体障害のみではなく、社会的障害を含む広範囲での問題が生じるため、その対応は地域保健活動の重要な課題の一つとされている。
B ○
症状精神病は身体疾患のあるときに起こる精神障害を称して呼ばれる。病像はせん妄等の意識障害が中心で、その程度と経過は基礎疾患と並行して変動することが多い。
C ×
統合失調症の通院治療では通院医療費公費負担制度の適用対象である。
D ○
記述の通りである。DSM−WやICD−10では神経系疾患として精神障害としては扱われていない。
○法学
問11 地方公共団体に関する次の記述のうち、違憲の疑いの強い組み合わせを一つ選びなさい。
A 地方公共団体が、法律にない新たな税金を条例によって徴収する。
B ある地方公共団体によって処罰される行為が、他の地方公共団体においては処罰されない。
C 地方公共団体が、条例違反のみを審査する裁判所を独自に設け。刑罰の執行も行なう。
D 条例により、地方公共団体が法的拘束力を有する外交活動を行なえるようにする。
1 A B
2 A C
3 B C
4 B D
5 C D
<問11解答:5>
A 違憲とされない。
憲法94条「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」
B 違憲とされない
憲法94条
C 地方公共団体が裁判所を設けることは認められていない(憲法76条)。
D 法的拘束力を有する外交活動については内閣の権能である(憲法73条2項)。
問12 日本国憲法の基本原理に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 日本国憲法は、主権が国民に存することを明言しているが、その具体的な方法については示唆していない。
B 平和主義は前文には掲げられなかったものの、憲法の基本原理とする旨が、日本国憲法第9条に明言されている。
C 日本国憲法の前文は、いずれもの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならないとし、国際協調主義をうたっている。
D 日本国憲法は基本的人権を永久不可侵のものと規定し、明治憲法にはなかった表現の自由や信教の自由を保障した。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × ○ ○
3 ○ ○ × ○
4 × × ○ ×
5 × × ○ ○
<問12解答:4>
A ×
国民主権を具体化する方法として、国会を通じての代表民主制の採用を明文化している。
B ×
平和主義は前文ではっきりと掲げられている。
C ○
記述の通りである。
D ×
表現の自由や信教の自由については、明治憲法にも規定があった。
問13 次の基本的人権の中で、自由権でないものを一つ選びなさい。
1 教育を受ける権利
2 住居の不可侵
3 通信の秘密
4 検閲の禁止
5 表現の自由
<問13解答:1>
教育を受ける権利は社会権である。
問14 権利能力に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 成年後見人は、民法上の法律行為について、権利能力を制限されている。
2 法人には、権利能力を有するものと有しないものがある。
3 自然人は、母体から完全に露出した時に権利能力を取得するとするのが通説である。
4 失踪宣告がなされると被宣告者は権利能力を失い、失踪宣告が取り消されるまでの間法律行為をなすことができない。
5 胎児は生きて生まれることを条件として、すべての法律関係において権利能力が認められている。
<問14解答:3>
1 成年被後見人も出生後の自然人であるから、完全な権利能力を有する。
2 法人とは、自然人以外の者で権利能力を認められたものをいう。
3 記述の通りである。
4 失踪宣告は、不在者の生死不明の状態が永続した場合に、一応その物の死亡を擬制して従来の住所を中心とする法律関係を確定する制度であり、被宣告者の権利能力まで剥奪するものではない。
5 胎児は生きて生まれることを条件として、不法行為に基づく損害賠償請求権、相続、遺贈についての権利能力が認められている。
問15 遺留分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 配偶者Aと被相続人の弟Bが相続人である時は、Aの遺留分は4分の3、Bの遺留分は4分の1である。
2 被相続人の母Cのみが相続人であるときは、Cの遺留分は3分の1である。
3 配偶者Aと被相続人の母Cが相続人である時はAの遺留分は2分の1、Cの遺留分は4分の1である。
4 被相続人の子Dは、相続の開始前に予め遺留分を放棄することができない。
5 配偶者Aと被相続人の子DEが相続人である場合において、Dが遺留分を放棄した時、AEの遺留分がそのまま増加する。
<問15解答:2>
1 兄弟姉妹は遺留分を有しない。
2 記述の通りである。
3 配偶者Aの遺留分は3分の1、直系尊属Cの遺留分は6分の1である。
4 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得た時に限り、その効力を生ずる。
5 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。