管理人作成版―精神保健福祉士国家試験模擬問題
○精神医学
問1 次の記述のうち、正しいものの組み合わせを一つ選びなさい。(※この問題においては、認知症を痴呆として記載することとする。)
A アルツハイマー型痴呆では初期症状として軽度の認知障害が特異的である。
B アルツハイマー型痴呆では、比較的早期から視空間認知の障害が認められる。
C レビー小体型痴呆では、早期から幻視が出現する。
D 脳血管性痴呆では、早期から人格の障害が認められる。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 × × ○ ×
3 × ○ ○ ×
4 ○ × ○ ○
5 × ○ × ×
<正解:3>
A ×
アルツハイマー型痴呆では記憶障害や判断能力の低下が初期症状として表れる。認知障害は脳血管性痴呆の特徴である。
B ○
記述は正しい。一般的に記憶、言語、視空間機能の欠損が続いて起こると言われている。
C ○
記述は正しい。レビー小体型痴呆はアルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆に次いで多く、高齢者の痴呆の10〜20%を占める。病気の原型はパーキンソン病であり、痴呆とパーキンソン症状(手指振動、筋固縮)で、約7年で全経過を辿る。幻覚、妄想といった随伴症状も見られ、男性が女性の2倍の発症比率となっている。
D ×
人格障害はアルツハイマー型痴呆で早期から低下し、抑うつ的、強迫的な人格変化を起こすことがある。脳血管性痴呆では人格水準は比較的保たれる。
問2 抗精神病薬の副作用に関する次の文章の空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
精神分裂病の治療では、抗精神病薬が長期に用いられることが多い。しかしながら、抗精神病薬には数々の副作用があり、服薬コンプライアンスを損ねる原因ともなる。特に、若年男性に多いのが、眼球上転や頚後屈といった症状として現れる( A )である。長期に渡り抗精神病薬を服用すると、遅発性ジスキネジアが現れることがある。予測しにくい致命的な副作用に、高熱、( B )、呼吸・循環機能の失調、意識障害などが現れる悪性症候群がある。また、ほとんどの抗精神病薬は心循環器系への影響を持ち、( C )との関係から注目されている。
A B C
1 急性ジストニア―筋強剛――突然死
2 パーキンソン病―筋強剛――突然死
3 アカシジア―――けいれん―不整脈
4 パーキンソン病―けいれん―心筋梗塞
5 急性ジストニア―水中毒――心筋梗塞
<解答:1>
遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬を服用することによって生じる。不規則な不随意運動で口部、口唇、舌などに生じることが多い。女性、高齢者、気分障害、脳損傷の既往を有することが発症リスクを高める。急性ジストニアは、筋の不随意収縮による頚部痙性捻転、舌の突出、眼球上転などが出現する。若い男性に表れやすい。
○精神保健学
問3 アルコール依存症の患者に対する家族の対処として、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 本人にとって重要な人が複数で本人と話し合うことは苦痛を与えるので、一対一で話し合うほうが良い。
B 暴力による危害を受けそうな時には、警察を呼ぶ。
C 客観的な事実を知らせるだけではなく、批判的な態度で諭す。
D 本人が酒をやめるといったときは、いいタイミングなので、専門の保健・医療機関やセルフヘルプグループなどの社会資源を活用する。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ × × ○
3 × ○ × ○
4 × × ○ ×
5 ○ × × ○
<解答:3>
A ×
本人にとって重要な人である家族や職場の上司、友人等ができれば複数で話をする。常に「私」を主語とした話し方で、情緒や感情を率直に相手に伝えることが大切となる。
B ○
暴力からは逃げることも大切である。暴力に立ち向かわないようにし、場合によっては警察を呼ぶなど、家族に対してでも暴力はいけないことだとわかってもらうことが重要である。
C ×
非難や批判などの説教はやめ、客観的事実のみを話すべきである。家庭外で何か起こった時に は、素面のときに事実のみを伝え、酔った時に起こしたものの後始末は一切行なうべきではない。そして、自分自身で責任を取らなければいけないことに直面させることが必要である。
D ○
記述の通りである。
問4 次の統計指標と統計調査の組み合わせのうち、誤っているものを一つ選べ。
1 自殺死亡率――――――――人口動態統計
2 在院期間別の退院患者数――患者調査
3 入院形態別の入院患者数――患者調査
4 月別の新入院患者数――――病院報告
5 退院患者の平均在院日数――病院報告
<解答:5>
退院患者の平均在院日数は患者調査である。
○精神科リハビリテーション
問5 次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A ナイトケアは精神科通院医療の一形態として位置づけられる。
B リハビリテーション計画には、健康管理、服薬管理も含まれる。
C 保健所のデイケアは、治療を目的とはせず、再発防止や日常生活の安定を目的としている。
D デイケア、ナイトケア、デイ・ナイトケアは診療報酬の対象となった時期は全て異なる。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ×
2 ○ × × ○
3 × ○ ○ ×
4 × × ○ ○
5 ○ ○ ○ ○
<解答:2>
A ○
ナイトケアは16時から20時までの4時間で実施される。精神科通院治療の一形態であり、生活支援は重要な役割の一つである。
B ○
リハビリテーション計画には、@疾病の管理A生活能力の改善B生活支援C環境の調整・開発がある。その中の疾病の管理では、精神障害は疾病と障害の両方を併せ持っているので、疾病の再発には十分な配慮が必要となる。したがって、健康の管理や服薬の管理は重要な内容となるのである。
C ○
記述の通りである。ちなみに、精神科のデイケアにおいては、生活リズムの安定をはかり、再発の防止を目指すと同時に、グループ活動による利用者同士(職員も含め)の相互作用を利用し、障害受容と自己価値の再編などへの動機付けを行なう。
D ○
診療報酬の対象となった時期はそれぞれ異なっている。デイケアは1974(昭和49)年、ナイトケアは1986(昭和61)年、デイ・ナイトケアは1994(平成6)年に診療報酬の対象となった。デイ・ナイトケアは、昼夜合わせて10時間実施され、単にデイケアとナイトケアを合わせたものとして捉えて良い。
問6 精神障害者社会復帰施設に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 精神障害者地域支援センターは事業名であって精神障害者社会復帰施設ではない。
B 精神障害者社会復帰施設は社会福祉法上第二種社会福祉事業とされている。
C 精神障害者社会復帰施設は1987(昭和62)年の精神保健法で初めて法定化された。
D 福祉ホームの利用期限は原則3年であるが、必要に応じて延長も可能である。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 × ○ ○ ○
3 ○ × × ×
4 × × ○ ×
5 × ○ ○ ×
<解答:5>
A ×
精神障害者地域支援センターは、1999(平成11)年の精神保健福祉法改正で加わった。
B ○
記述の通りである。
C ○
記述の通りである。
D ×
福祉ホームの利用期限は2年以内となっているが、必要に応じて延長も可能である。
○精神保健福祉論
問7 障害者に関する国連を中心とする動きについての次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 1975(昭和50)年に採択された「障害者の権利宣言」は、「すべての障害者が、同年齢の市民と同等の権利を有し、また必要な各種サービスを受ける権利を持っていること」などを宣言した。
B 国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」を実現するために、国連は1982(昭和57)年に「障害者に関する世界行動計画」を採択し、加盟各国に本計画に沿った取り組みを求めた。
C 1993(平成5)年に採択された「障害者の機会均等化に関する標準規則」は、「障害者に関する世界行動計画」の進行状況から、障害者の差別撤廃国際条約が提案され、翌年に締結された。
D 1971(昭和46)年に採択された「知的障害者の権利宣言」は、ノーマライゼーションの理念の広がりを受け、知的障害者が可能な限り通常の生活を送れるよう、各種の権利を列記している。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ○
<解答:1>
A.○
記述の通りである。
B.○
国際障害者年(1981年)のテーマである「完全参加と平等」を実現するために、国連は1982(昭和57)年に「障害者に関する世界行動計画」を採択し、加盟各国に本計画に沿った取り組みを求めた。同時に「国連・障害者の十年」(1983〜1992年)が宣言され、継続的な取り組みを図ることとなった。
C.×
「障害者の機会均等化に関する標準規則」は1993(平成5)年に採択された。「障害者に関する世界行動計画」の進行状況の検討から、障害者の差別撤廃国際条約が提案されたが、種々の理由により賛同が得られなかったため、条約ではなく、強制力のないガイドラインとして採択された。
D.○
記述の通りである。
問8 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の1999(平成11)年の改正の内容に関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 医療保護入院の要件の明確化
B 緊急に入院が必要となる精神障害者の移送制度の創設
C 通院患者のリハビリテーション事業(社会適応訓練事業)の法定化
D 保護者の自傷他害防止の監督義務の廃止
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 × × × ○
4 × ○ × ×
5 ○ × ○ ×
<解答:2>
A ○
記述の通りである。
B ○
記述の通りである。
C ×
通院患者のリハビリテーション事業(社会適応訓練事業)は法定化されていない。
D ○
記述の通りである。
○精神保健福祉援助技術
問9 スーパービジョンに関する次の記述のうち、正しいものに○、誤っているものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A スーパーバイザーは、スーパーバイジーが自身と他者との比較を行い、価値観の違いに気付くように指導しなければならない。
B スーパーバイザーはスーパーバイジーとの間に信頼関係を築くことはもちろん大切であるが、スーパーバイザーのペースで進めていけるような関係作りをすることも大切である。
C ライブ・スーパービジョンとは、スーパーバイザーとスーパーバイジーの一対一で行なわれる。そのため、質の高い教育や指導を受けることが出来るが、スーパーバイザーの影響を強く受けやすい。
D スーパービジョンの教育的機能としてはスーパーバイジーの専門的技術の向上や知識の習得のために、指示的に自己洞察を深めるような指導をしなければならない。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 × × ○ ○
3 ○ × ○ ○
4 × ○ × ○
5 × × × ×
<解答:5>
A ×
スーパーバイザーは、スーパーバイジー自身が自分の考えや価値観などに気付き、他者との比較ではなく、自分の成長に繋がるように指導していく必要がある。
B ×
スーパーバイザーはスーパーバイジーとの間に信頼関係を築くことはもちろん大切であるが、スーパーバイザーのペースで進めていけるような関係作りをすることも大切である。
C ×
スーパーバイザーはスーパーバイジーとの間に信頼関係を築くことはもちろん大切であるが、スーパーバイザーは、スーパーバイジーを受容し、スーパーバイジーのペースで進めていけるように心掛ける必要がある。
D ×
スーパービジョンの教育的機能としてはスーパーバイジーの専門的技術の向上や知識の習得のために、指示的ではなく、自己洞察を深めるような指導をしなければならない。
問10 次の文章の空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして、適切なものを一つ選びなさい。
精神障害者のグループワークでは、メンバーの( A )や対面的な相互作用を大切にしながらグループを構成する。また、精神保健福祉士が行なうグループによる生活技能訓練(SST)は、グループワーク理論の( B )を活用したものであると考えられる。その理論モデルでは、精神保健福祉士が( C )の機能を担う。
1 匿名性――交互(相互)作用モデル―媒介する人
2 個別性――治療モデル――――――変化を起こさせる人
3 主体性――交互(相互)作用モデル―媒介する人
4 個別性――医学モデル――――――変化を起こさせる人
5 匿名性――治療モデル――――――媒介する人
<解答:2>
生活技能訓練はグループワークが目的ではなく、クライエントが生活技能を獲得していくことが目的とされる。生活技能訓練の実施は、参加者の個別の課題を設定して行なう基本訓練モデルと精神障害者の抱える問題を踏まえて設定されたモジュール別訓練モデルからなる。
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