アンケートは下記のような設問を私たちのホームページに載せて、答えを記入してもらった物です。設問内容は、医師の問診とは違います。私たちが日頃知りたいと思っている項目を並べました。特に夢や感覚に就いての項やADD本人の生活上の感想、周囲との関係に就いての設問などは、特に医療的なものとはちがいます。

ここで取ったアンケートは、あくまでこの本の執筆のためのものであり、医療的な統計としてはほとんど意味がありません。まず、サンプル数が616例しかありませんし、また本の内容に沿った、言い換えれば私たちから見てのADDの特徴を浮き上がらせる目的が主であり、いわゆる自己診断的な項目とは違います。そのつもりでお読み下さい。


アンケート設問と回答数

回答総数    616


     あなたの性別は
男性            165
女性            451



     あなたの年齢は


10代     41     
20代            236
30代            247
40代             82
50代以上           10

圧倒的に女性が多くまた代、代が多いのは、結局インターネットをやっている人達の年代に重なるのと、その年代の女性の子供達がADDであると診断され、そこから自分のADDに気づいたという例が多いからでしょう。むろん、ADDの発生率に男女年代の差は無いと言うことですが、このアンケートには年代性別による傾向があることを念頭に置いて下さい。



自分がADD(らしい)と気づいたのはいつですか



1年以上前 119
1 年以内          372
成人後            58
成人前           66

つまり、ADDという概念自体が非常に新しいということを示しています。




あなたの職業は(複数回答可)


学生 17
会社員            43
公務員             8
自営業            9
フリーターほとんどの生活費を得ている 14
パート部の生活費を得ている 14
主婦 28
無職 192
その他 10

ここでは特に職業での特徴的な物があるようには見えません。ですが、実際に回答者の年代が若いためにまだ分化していないような気もします。


ADDと診断されていますか


診断済 163
未診断 445




診断済みの方、薬を飲んでいますか

飲んでいて効果がある 19
飲んでいるが効果はない 74
副作用がある 114
薬は飲んでいない 22
その他 527

リタリンなどの薬が副作用があるとか習慣性があるなどと必要以上におそれられている節がありますが、専門家の監視の元に使用すれば分に服用する価値があると言うことです。



診断済みの方、該当する物をチェックしてください(複数回答可)





民間療法を実践している 115
カウンセリングを受けている 74
生活を工夫している 89

結局は、自分で生活改善の工夫をすることが番大切なのではないでしょうか。


医師は正しくADDを認識していると思いますか




はい 103
いいえ 88
わからない 162
その他 12

やはりここでも医師の認識不足が問題になっているようです。結局はADDがまだ医学的に認識されていないということなのでしょう。




未診断の方、生活の工夫をしていますか



していて効果がある 117
しているが効果はない 138
していない 174
その他 38

未診断でも障害を自覚しているなら人任せにせず自分で生活改善に取り組まなくてはならないのですが、その努力をしていない人がかなり多いのには驚きました。また、効果がないという人も予想以上に多いのですが、効果が上がらなければ方法を変えるなり、効果が出るまで続けるのがリハビリです。諦めてしまっているのでしょうか。やはり、正しいリハビリの知識は必要なのです。



家族の方はあなたがADDだということを知っていますか(複数回答可)





配偶者が知っている 174
親が知っている 47
兄弟が知っている 98



職場・学校の方はあなたがADDだということを知っていますか(複数回答可)





上司が知っている 35
同僚が知っている 35
教師が知っている 6
友人が知っている 140



あなたのことをADDだと知っている人たちはADDのことを正しく理解していますか





理解している 232
理解していない 101
その他 14

一番の理解者であるべき家族の理解がまだまだ少ないようです。まして、家族外ではとても少ないのですが、家族に理解されないことで傷ついている人達が大勢いるのは痛ましいことです。もっと正しい知識が般的になればいいのですが。



ADDて周囲の人たちに知らせるように努力していますか



はい 137
いいえ 338
その他 86

知らせる努力がまだ出来る環境には無いようです。知らせても正しく理解されるケースが少ないのです。



何でADDのことを知りましたか






本 43
TV・雑誌・新聞 175
インターネット 36
人から言われて 205
その他 278



ADDだと気づく前、どのようなことを悩んでいましたか



いじめられていた 2
自分に自信がなかった 318
頭が悪いと思っていた 265
何もできないと思っていた 179
対人恐怖になっていた 473
うつ状態になっていた 177
その他 354

やはり、ADDを知る前でも当然ながら深刻な次障害が読みとれます。



二次障害がありますか





うつ気味 382
引きこもり 162
対人恐怖 242
自尊心の低下 407
自殺願望 142



医学的根拠に基づくものではないが、ADDと関係があるのではと思う障害がある



はい 401
いいえ 110
その他 55

これは、先の設問と重なる点がありますが、ADDと自覚しているかいないかの違いだと考えて下さい。結局、ADDを知る前は自分のふがいなさの故だと思っていたことがADDという障害の為だったと知ったと言うことです。



気がついてから気持ちの上で変化はありましたか





あった 103
ない 296



ADDは克服できると思いますか





はい 371
いいえ 214

ADDを知ってからの気持ちの変化ですが、諦める必要はないと思ったのか諦めなければならないと思ったのかはこの回答からは断定できませんが、克服できるという回答が多いことから、やはりADDであることを積極的に認識し、ADDのことを知ることは結果的には必要だと言うことでしょう。



現在、自分にあった職業に就いていると思いますか





はい 161
いいえ 266
無職 192



ADDだということで人生、損をしていると思いますか





かなり損をしている 277
損をしていることもある 42
あまり損はしていない 270
その他 15

ある程度予想の出来た結果ですが、ADDが必ずしもマイナス面だけではないことを知れば、結果は大きく変わるだろうと思います。つまり、ここでも正しい知識が必要なわけです。



ADDについて勉強していますか





はい 69
いいえ 487

していない人の気持ちがよく分かりません。立ち向かうためには知識を得なければなりませんが、その気持ちが無いのであれば最初から諦めていると言うことです。あるいは、障害を障害と思っていないのかも知れません。つまり、単なる怠け者、性格がだらしなく、無責任なのだとも言えそうです。



自分の中でADDは大きな部分を占めていると思いますか





はい 512
いいえ 43
その他 47



自分は頭がいいと思いますか(他の人ができないことができるなど自己評価として)





はい 247
いいえ 269
その他 90

これもある程度予想できた結果ですが、思ったより自分の才能に気づいている人が多いようです。あとは、マイナス面を改善すれば、自分の才能が思う存分のばせることを是非信じて欲しい物です。



当てはまる物があればチェックをして下さい(複数回答可)





掃除が出来ない 500
時間が守れない 391
金銭管理ができない 404
スケジュールが立てられない 412
瞬間的にものをよく忘れる 539
服装がだらしない 261
人の言うことがよくわからない 368
まったく関係のないことを言い出す 378
衝動的である 449
ものごとを達成できない 508
飽きっぽい 472
つのことに集中できない 453

これも、自己診断でよく挙げられるADDの特徴ですが、当然ながらかなり当てはまっています。








次の障害を合併していますか。当てはまるものにチェックをして下さい(複数回答可)






AS自閉症 68
LD文字が覚えられない方向音痴 183
反社会性人格障害 59
その他 109



ADDと共存している他の障害ですが、この例が多いのも頷けます。

当てはまるものがあればチェックをして下さい(複数回答可)





音や言葉を色や形のように感じる(イメージではなく実際に) 110
物事を言葉でなくイメージで考える 359
白日夢をよく見る 185
総天然色の夢を見る 294
何かをしている時、BGMや自分と関係のない会話が聞き取れてしまう 387
音感に優れている 212
音痴である 133
色彩感覚に優れている 158
色彩感覚がない 51
味覚に優れている 146
味覚音痴である 52
嗅覚に優れている 144
嗅覚音痴である 48
運動神経に優れている 53
運動音痴である 292
思いがけないアイデアがよく湧いてくる 369
物覚えが極端に悪い 299
突然自分が何をしていたかわからなくなることがある 424

これらの当てはまるものについての設問は、この本を書くに当たり特別に作った物ですが、確かにADDの特徴としてよく出ているようです。感覚的あるいは入力には優れているものの、分析能力あるいは出力に劣る面が目立つのではないでしょうか。このことについては他で詳しく書いています。

アンケートして、ADDでは無い人達にもお願いしたのですが、回答数が72人しか集まらず、分析する量としてはあまりに少ないので、コメントはやめておきます。ですが、考えて見れば私たちのホームページを訪れてくれる人達は多かれ少なかれADDにたいし知識があるか、少なくとも関心のある人達がほとんどの筈です。大体が、ADD本人が大多数なのです。

あえて72名の方々の回答から読みとれるとすれば、これらの方々はADDを否定的には見ていないようです。たしかに困らせられる点はあるけれど、ADDということを理解して見れば分に共存できるものだと考えられているようですが、ADD本人から見れば、このような方々はごく少ないと言わざるを得ません。