2004年
10月17日更新
大きな手術をする際、病院選びはとくに慎重になりますよね。最近は病院の格付け本もかなり出ているから、それを見て判断のひとつとしている人も多いようです。かくいう僕も、ある程度は情報を集め、手術する病院を決めました。そしてその選択は、間違いではなかったと思っています。ここではその基準について、個人的な意見をまとめてみました。
*弁膜症により弁置換術を受けるという前提です。

1.循環器内科・外科があること
単なる内科、外科というものではなく、循環器の専門科があること。

2.麻酔科があること

これは看護婦をしている従姉からのアドバイス。全身麻酔の手術をするなら、麻酔専門医がしっかり対応してくれないと困ります。

3.心臓手術の症例が多いこと

基本中の基本ですよね。最低でも年間100以上(心臓だけで)は必要でしょう。

4.執刀医が心臓手術の経験が豊富なこと

いくら病院の手術数が多くても、執刀医の経験が少ないのは困ります。

5.弁置換の経験が豊富なこと

心臓手術に定評のある病院といっても、バイパスを得意としているところもあれば、カテーテルのみの場合もある。やはり同じ手術をたくさんしている方が安心。

6.医師と話をして納得いく説明をしてもらえること

自分の胸を切り開いて、心臓にメスを入れてもらう。つまりは命を預ける人なんですから、まずは信頼関係を結びたいですよね。

7.病棟の設備が充実していること

大部屋ひとりあたりの面積とか、インターネットが使えるとかのソフト面を重視。

8.自宅から通いやすいこと

手術後はワーファリンの調整など、一生涯通うことにもなる病院です。自宅から近い方が何かと便利だし、対応も早い。

9.病院の立地環境が良いこと

できれば海の見える、静かな環境。病棟の窓から景色を眺めているだけで幸せになれればいいですねー。

10.待ち時間が少ないこと

何をするにも30分以内で終わって欲しいものです。


では実際に手術をしたM病院がこれら選択基準を満たしたかというと、そうではありません。これはあくまで理想であって、住んでいる地域によっていくつか目をつぶらなければならないこともありました。理想と現実はこのようになりました。
←M病院大部屋(8人部屋)のプライベートスペースは涙が出るほど狭かった。


1.循環器内科・外科があること→◎

循環器の専門センターがあり、何を検査するにも早い対応でした。

2.麻酔科があること→◎

ありました。手術前には執刀医はもちろん、麻酔医からの説明もあるのが基本。

3.心臓手術の症例が多いこと→◎

かなり多いです。軽く100は超えていたと思いますし、心臓手術ではそれなりに有名な病院です。

4.執刀医が心臓手術の経験が豊富なこと→◎

週に2回以上は手術していたようです。

5.弁置換の経験が豊富なこと→△

この病院の場合はバイパスが圧倒的に多かったようです。弁置換は同室のなかでもあまりいなかった。

6.医師と話をして納得いく説明をしてもらえること→◎

最初の印象でよいと思ったし、術前の説明もしっかりやってくれた。

7.病棟の設備が充実していること→×

評判も高く伝統のある病院だけど、施設の古さはいかんともしがたい。とくに大部屋ひとりあたりの面積は非常に狭い。

8.自宅から通いやすいこと→◎

クルマで10分弱、自転車でも10分強、歩くと20分くらい?

9.病院の立地環境が良いこと→×

東京の真中でそれは無理なこと。

10.待ち時間が少ないこと→×

予約制だけど1時間待つことは当たり前。これまでの最長待ち時間は3時間。

この他、実際に手術をした今だからこそ感じる新たな病院選び基準も出てきました。
●執刀医の年齢

手術は患者も医師も体力勝負なところがあります。僕の執刀医は医師として脂の乗った40台くらいの方だったのでとても安心できました。逆に大御所だけど老齢の方になると、メスを入れる線だけ描いたら観ているだけってなこともあるとか・・・。

●救急外来

退院直後など体調に不安がある時に、例え電話だけでも何かアドバイスしてもらえる環境があれば安心できます。もちろん、受け入れ態勢があれば、カルテも揃っているわけですから、他のところに行くよりもずっと安心。贅沢を言えば、高度救急救命センターまで付属しているとさらに安心。

●他科の充実度

術後は風邪でも歯痛でも、同じ病院に通う方が内部で連携を取ってもらえるので安心できます。とくに歯科・口腔外科があることも重要でしょう。

●食事

そんなこと、二の次! と思うものです。でもねー、1ヶ月近くも入っていると、食事を美味しく食べられることは大切なことです。栄養は薬よりも食事で採るのが基本ですからね。

●パソコンが使える

病室は無理でも、どこかに使える部屋があると本当に便利です。東京大学付属病院などは専用のコンピュータルームがあるようですね。

●電源

テレビやラジオ、ゲームなど、何をするにも電源が必要。ベッドに備えられているコンセントから自由に電源をとっていい病院なら嬉しい。M病院はそのあたり寛容でした。

●婦長の資質

看護婦さんはもちろんのこと、それを束ねる病棟の婦長がしっかりした考えだと、患者も安心できます。普段の生活のほとんどが彼女たちに委ねられるだけに重要な要素でしょう。同じM病院で2度の1ヶ月近い入院をした時、最初の循環器の婦長さんはとても気を使う人で僕と波長があった。しかし、2度目の混合病棟では今ひとつ婦長さんの考え方が理解できず、居心地は落ちた。まぁ、こうしたことは入ってみなければわからないし、人によって受取り方も様々なので、あくまで参考意見かな。

●売店の充実度
入院中に一番お世話になる場所が売店。ここで重要なのはどのくらいの品揃えがあるかでしょう。とくに新聞や雑誌類の豊富さは入院生活に大きく影響する。あまりピンとこないでしょうが、キオスクみたいにあらゆる媒体を打っているところは少ない、ある程度病院側でセレクトした商品が並ぶことが多い。それがつまならいものばかりだと、娯楽が減ってしまうわけです。正直、M病院の売店はスポーツ新聞の数が非常に少なく、雑誌も堅いものばかりでつまらなかった。また、物価も問題で、全て定価というところも少なくない。おかげで1リットルの水を200円近く出して買うこともよくあった。

さて、参考になりましたか? また思い出したらいくつか追記していきたいと思います。
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