13.切れキャラですか?
皮膚科の受付前はいつものごとく混雑していた。診察を待つ人はもちろんのこと、診察が終わり、処方箋や会計の伝票を貰うために待っている人もかなり居た。どこの大病院でもそうだろうが、診察で待つのはともかく、その事務処理でも延々と待たされるのはうんざりするものだ。だってねー、これが終わってもまた薬局で待たされるのだからね・・・。
なーんてことを考えながら座っていたら、受付のお姉さんが
「●●さーん」
と呼んだ。こういう場合、8割くらいの人は無言で立ち上げリ、受付に行く。残りは
「はーい」と一応返事をしてから受付に行く。そのどちらかになる。ところが、その人は違っていた。
「へぇへぇへぇへぇへぇへぇ・・・」
まるで
呪文でも唱えているかのように返事をしながら受付に歩いていく。しかも声がデカイ。そのあまりの突拍子もない返事に僕も、周りの人も、皆顔をあげた。見れば、50代ほどのおっちゃん。前述の「スター気取り」同様、地味なジャケットに地味な黒ブチメガネ・・・。水木しげるの漫画に出てきそうな雰囲気で、妙な返事をする割にはニッコリしているわけでもない。真顔でやっているのがちょい不気味だった。
受付のお姉さんは、彼が来るとまずは処方箋の有無についてなど伝える。すると
「もぉもぉもぉもぉもぉもぉもぉ・・・」
と、またまた意味不明な相槌をうつ。かなり妙なおっちゃんだ。でも、今度は顔がニコニコしているようなので、まだいい。これが真顔だったら恐いよなー。と思ってたら、最後にお姉さんが
会計窓口の場所を教えた。するとどうだろう
「なんだとっ! 金取るのか?
   どういうつもりなんだぁ!!!」

爆発的なまでにボリュームをあげ、
ものすごい剣幕で怒鳴りだした。周囲にいた人たちはさらにビックリ。事務のお姉さんもビックリしてなにやら書類を調べている。数秒後、
「あっ、失礼しました。会計はありません」
どうやら、僕と同様の身障者手帳所持者か何かなのだろう。まぁ誰にも間違いはあるさ。しかし、このおっちゃん、怒りは収まらなかったようだ。
「あったりまえだ、ふざけんな!」
怒鳴り散らして去っていった。
いったいこのおっちゃんはどういう性格しているのやら。お隣にMRI検査室があったけど、そこで脳を輪切りにして見せて欲しい衝動に駆られた僕である。