1956 ウェイト別日本選手権


昭和31(1956)年、日本プロレスコミッションのもと、傘下4団体の選手が参加して「ウェイト別日本選手権」が行われた。
各階級の日本選手権者を認定し、かつ日本ランキングをつくるためであった。
もっともヘビー級のみは、既に決まっていた(注)ので、挑戦者決定戦としてトーナメントが行われた。
10/15から東京・日本橋のプロレスセンターで予選を開始(観客なし、マスコミにのみ公開)。
10/23・24、両国・国際スタジアム(メモリアルホール)で準決勝、決勝が行われた。

ライトヘビー級は、芳の里が優勝し、選手権者に。
ジュニアヘビー級は、駿河海が優勝し、選手権者に。
力道山のヘビー級と合わせて、全階級の王座を日本プロレス勢が独占することになった。
ヘビー級トーナメントの決勝は、東富士と山口利夫の間で行われ、3本目両者リングアウトで決着がつかず。
翌月11/30大阪で再戦が行われ、勝利した東富士がヘビー級選手権への挑戦権を獲得したが、力道山への挑戦試合は行われなかった。


力道山が昭和29(1954)年12/22、木村政彦を破って日本ヘビー級選手権を獲得。
昭和30(1955)年1/26、山口利夫を相手に防衛。


なお、ユセフ・トルコがライトヘビー級で1位になったのは、本大会に先立ち日本プロレス内で行われた「東日本予選」であり、本大会では優勝候補と言われながら、無名選手に1回戦負けした。
ヘビー級の優勝候補の一人であった遠藤幸吉は、急遽米国遠征に旅立ち棄権。不戦敗となった。
また、同年7/9、大阪府立体育館でアジアプロレスと東亜プロレスの間で団体対抗戦が行われ、木村政彦・清美川が参加していたアジアプロレスが、4−3で勝利した。

参加団体

日本プロレス協会

 昭和28(1953)年7月設立。
 翌29年2月、シャープ兄弟を招いて国際試合を開催。
 プロレスブームを起こす。

山口道場

 昭和29(1954)年3月、大阪に設立された全日本プロレス協会が前身。
 解散後、エースの山口利夫が郷里の静岡県三島に山口道場を開く。

アジアプロレス協会

 昭和29(1954)年5月、木村政彦が郷里・熊本で旗揚げした国際プロレス団が前身。
 その後木村が大阪に本拠を移し、山口利夫と袂を分かった清美川と組んでアジアプロレスを設立した。
 もっともエースの木村と清美川はメキシコ遠征に出たまま戻らず、本大会には不参加。

東亜プロレス

 昭和30(1955)年8月、大阪に誕生。コリアングループ。



ライトヘビイ級 (190ポンド以下)

1回戦 (1/15)

大坪 (アジア) 1-0 三山 (山口)
白頭山 (東亜) 1-0 珍 (山口)
比嘉 (日本) 1-0 市川 (山口)
芳の里 (日本) 1-0 梅田 (東亜)
金子 (日本) 1-0 安東 (東亜)
樋口 (山口) 1-0 大山 (日本)
吉原 (日本) 1-0 宮島 (日本)
東 (東亜) 1-0 トルコ (日本)

2回戦 (1/20)

大坪 (アジア) 1-0 白頭山 (東亜)
芳の里 (日本) 1-0 比嘉 (日本)
樋口 (山口) 1-0 金子 (日本)
吉原 (日本) 1-0 東 (東亜)

準決勝 (1/30)

芳の里 (日本) 1-0 大坪 (アジア)
吉原 (日本) 1-0 樋口 (山口)

5,6位決定戦 (1/30)

比嘉 (日本) 1-0 金子 (日本)

3,4位決定戦 (1/30)

大坪 (アジア) 1-0 樋口 (山口)

決勝 (3/45)

芳の里 (日本) 2-0 吉原 (日本)


ジュニアヘビイ級 (220ポンド未満)

1回戦 (1/15)

大同山 (東亜) 1-0 田中 (日本)
吉村 (山口) 1-0 加藤 (アジア)
阿部 (日本) 1-0 速浪 (アジア)
駿河海 (日本) 1-0 山崎 (山口)

準決勝 (1/20)

吉村 (山口) 1-0 大同山 (東亜)
駿河海 (日本) 1-0 阿部 (日本)

5,6位決定戦 (1/30)

山崎 (山口) 1-0 加藤 (アジア)

3,4位決定戦 (1/30)

大同山 (東亜) 1-0 阿部 (日本)

決勝 (3/45)

駿河海 (日本) 2-1 吉村 (山口)


ヘビイ級

1回戦 (1/15)

月影 (アジア) 1-0 遠藤 (日本)
山口 (山口) 1-0 羅生門 (日本)
豊登 (日本) 1-0 竹村 (日本)
東富士 (日本) 1-0 長沢 (山口)

準決勝 (1/30)

山口 (山口) 1-0 月影 (アジア)
東富士 (日本) 1-0 豊登 (日本)

3,4位決定戦

豊登 (日本) 1-0 月影 (アジア)

決勝 (3/45)

東富士 (日本) 1-1 山口 (山口)

再戦 (11/30大阪府立体育会館)

東富士 (日本) 2-1 山口 (山口)


所属 名 生年月日 出身地 前歴 身長 体重 階級 付記

(日本) 東富士 大10.10.28 東京都 第40代横綱 182 p 150 s ヘビイ級
(日本) 遠藤幸吉 大15.3.4 山形県 プロ柔道 180 p 115 s ヘビイ級
(日本) 豊登 昭6.3.21 福岡県 大相撲 176 p 113 s ヘビイ級
(日本) 羅生門綱五郎 大9.3.5 台湾 大相撲 203 p 125 s ヘビイ級
(日本) 竹村正明 大15.4.18 高知県 大相撲 178 p 105 s ヘビイ級 (土佐の花)
(日本) 駿河海 大7.1.1 静岡県 大相撲 183 p 105 s ジュニアヘビイ級
(日本) 阿部修 大14.5.6 北海道 大相撲 175 p 103 s ジュニアヘビイ級
(日本) 田中米太郎 昭3.10.2 高知県 大相撲 176 p 100 s ジュニアヘビイ級
(日本) 芳の里 昭3.9.27 千葉県 大相撲 172 p 100 s ライトヘビイ級
(日本) 吉原功 昭5.3.2 岡山県 会社員 172 p 95 s ライトヘビイ級 早大レスリング部出身
(日本) ユセフ・トルコ 昭6.5.23 トルコ 173 p 95 s ライトヘビイ級 元柔拳選手
(日本) 金子武雄 昭5.1.15 横浜 重量挙 172 p 100 s ライトヘビイ級
(日本) 比嘉敏一 昭8.11.20 兵庫県 大相撲 175 p 93 s ライトヘビイ級 元東富士付け人
(日本) 宮島富男 昭2.11.19 栃木県 柔道 173 p 95 s ライトヘビイ級
(日本) 大山博 昭6.9.16 東京都 米蹴 185 p 87 s ライトヘビイ級 立教大アメフト部出身

(山口) 山口利夫 大3.7.28 静岡県 柔道 180 p 115 s ヘビイ級 プロ柔道出身
(山口) 長沢日一 大13.1.2 大阪市 大相撲 176 p 85 s ヘビイ級 のち日本プロレス(長沢秀幸)
(山口) 吉村道明 大15.9.19 岐阜県 元学生横綱 183 p 108 s ジュニアヘビイ級 のち日本プロレス
(山口) 山崎次郎 大12.5.18 東京都 実業団相撲 180 p 98 s ジュニアヘビイ級
(山口) 市川登 大5.2.2 静岡県 柔拳 168 p 87 s ライトヘビイ級 柔道5段
(山口) 樋口寛治 昭4.1.18 神奈川県 柔道 174 p 90 s ライトヘビイ級 のち日本プロレス(ジョー樋口)
(山口) ミスター珍 昭7.10.22 兵庫県 会社員 173 p 98 s ライトヘビイ級 のち日本プロレス
(山口) 三山三四郎 ライトヘビイ級 (プロフィール不明)

(アジア) 月影四郎 昭2.8.19 奈良県 プロ柔道 180 p 105 s ヘビイ級 柔道5段
(アジア) 速浪武夫 昭3.10.9 宮城県 大相撲 177 p 93 s ジュニアヘビイ級 元十両
(アジア) 加藤弘恭 昭4.5.12 兵庫県 実業団相撲 177 p 97 s ジュニアヘビイ級 柔道4段
(アジア) 大坪清隆 昭2.7.10 鳥取県 東芝社員 170 p 93 s ライトヘビイ級 のち日本プロレス

(東亜) 大同山又道 大9.1.10 大阪府 柔道 185 p 98 s ジュニアヘビイ級
(東亜) 白頭山 大10.1.2 北海道 アマ相撲 176 p 86 s ライトヘビイ級
(東亜) 東日出雄 昭11.5.2 群馬県 ボクサー 172 p 84 s ライトヘビイ級
(東亜) 梅田源治 昭11.5.2 群馬県 柔道 170 p 82 s ライトヘビイ級 (生年月日が東と同じは誤りか?)
(東亜) 安東一夫 ライトヘビイ級 (プロフィール不明)

※身長・体重はウェイト別選手権当時のものとは限りません。


参考文献
「日本プロレス30年史」田鶴浜弘著、日本テレビ放送網、昭59(1984)
「激動のスポーツ40年史E プロレス」(別冊週刊プロレス新年号)ベースボールマガジン社、昭61(1986)
「月刊ゴング 昭和56(1981)年7月号」日本スポーツ出版社
「激録 力道山」第2巻 原康史著、東京スポーツ新聞社、平7(1995)


メニューページ「研究・手紙・投稿」へ戻る