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第14回富士通杯達人戦決勝戦 公開対局 2006.9.9
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はがきを出したら当たったので、公開対局を見に行ってきた。所は有楽町朝日ホール。
フリー女性アナウンサーが司会。まずは主催者より挨拶。 将棋連盟・米長会長 加藤さんとすれ違ったら、怖い顔で声をかけられなかった。何か祈っていた。(笑) 「23年前の屈辱(名人位を取られた)を晴らしたいので、イエス様、どうかご加護を…」 と祈っているように聞こえた。(笑) 週刊朝日・山口編集長 いつもより倍以上の(観戦希望の)はがきを頂いた。 ついで、スタッフが一人一人、紹介されながら登場。大型スクリーンに名前も出る。 読み上げ・古川女流二段、記録・斎木初段、観戦記担当・東公平記者、スクリーン盤面操作・田中誠初段、同じく大西3級。そして解説・青野九段、聞き手・矢内女流名人。 青野九段 1分将棋の神様と光速の寄せ。秒読みになってからの勝負が見所。 矢内女流名人 (加藤先生について)将棋に大変情熱を持っている人。ファイター。盤上・盤外、両方ですね。(笑) いよいよ両対局者の入場。両者とも堂々たる羽織袴姿。 谷川九段 若いつもりでいたが、気がつくと棋士になって30年。しかし上には上がいる。加藤先生は50年以上。こういう方がいられるのは頼もしい限り。しかし3連覇がかかっているので、何が何でも勝ちに行く。 (加藤先生について)控え室が隣で、咳払いが聞こえた。闘志がそのときから伝わってきています。 (加藤先生は谷川九段の挨拶の間、腕組み。ご自分の挨拶のときは、手を腰に当て、まことに堂々としていた。) 司会 健康の秘訣は? 加藤九段 40,50,60(才)と、盤に向かう気持ちは変わっていない。 名人になったときと気持ちは変わらない。 (答えがずれている。) 司会 わかったようなわからないような… (笑) 司会者は将棋のこと(特に加藤先生のこと)をよく知っているようで、笑いのつぼも押さえている。ちょっと失礼な気もするが。 壇上に対局場がしつらえてあり、草履を脱いで対局者が着席…の前に加藤先生、念入りに座布団の位置を直す。ひっくり返したりくるくる回したり、もっとも気に入る置き方を探す。この日一番の見せ場?に、客も大喜び。駒台も回して位置を決める。腕時計をはずし、畳の上に置く。茶碗のふたを開け、タオルを置く。 谷川九段が(前年優勝の「達人」だから?)駒袋から駒を盤上にあける。加藤先生は力強く駒を並べる。このときは打った直後にちょんちょんと駒の位置を直すことはしない。 古川女流が振り駒。谷川先手と決まった。 さして時間もかからず、対局が始まった。 ルールは30秒将棋で持ち時間15分+1分×10回の考慮時間。NHK杯と同じだ。 対局場と同じ壇上、すぐ隣に大型スクリーンがあり、奨励会員が操作するパソコンの画面が表示される。青野九段と矢内女流名人がスクリーンの横に立って解説する。 青野九段 終盤、加藤先生が「あと何分?」と聞く。その迫力にみんなやられる。 (解説中に) 空咳についても谷川九段の言及があった。そのせいかどうか…加藤先生の対局態度は、期待?に反して、大人しめの印象。体も揺れないし、空咳も「あと何分?」もなし。そのことが結果に微妙に影響を与えた…かもしれない。 空打ちしてる間に、考慮時間が更新されたことがあったが、指そうとしていたのか、単なる空打ちだったのかはわからない。 青野九段の、ためになるお話。弱い人は、持ち駒、特に大駒をすぐ打とうとするがこれは間違い。まず盤上の駒を使うことを考え、それがうまくないなら次に持ち駒の歩を使うことを考え、最後に歩以外の持ち駒を使うことを考える。これが順序。例えるなら、高い持ち駒は現金、歩はいずれ現金になる手形、盤上の駒は在庫。現金をすぐに使おうとせず、在庫をさばくことをまず考えるべし。 終局後は、スクリーンのところで簡単な感想戦。天性のエンターテイナーである加藤先生もやはり疲れたのか、特に笑いを誘うようなやりとりは出なかった。 間をおかず表彰式。優勝者には賞状と賞金、準優勝者にも賞金が送られた。挨拶は優勝者のみ。 最後に、パンフレットに記された番号でプレゼントがあたるのでその当選者の発表があった。賞品は以下のとおり。 将棋連盟より 両対局者のサイン色紙 各5名に 将棋年鑑 3名に 富士通より マルチクリーナー 5名に 肩たたき 10名に 朝日新聞より 朝日キーワード2006(本) 10名に 棋譜と解説が9/19、26発売の週刊朝日に掲載されるほか、 囲碁将棋チャンネルで 10/14(土)朝10:00から 10/15(日)夜22:00から 放送予定。 会場の外では、サイン本などのグッズが売られていた。加藤先生のもあった(「剛毅」という字入り)が、持っていた本(サインはないが)だったので買わず。せんすは「花鳥風月」だったが、印刷なのでやはり買わず。 帰るときに通る下の階で、達人戦の打ち上げパーティーをこれからやるらしく、会場の入り口から中が少し覗ける。ごちそうが並んでいる。ちょうど青野九段や矢内女流名人が来て入って行った。我々も入りたい…これ見よがしにこんなところでやるなんて、どうかと思った。 |
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先手:谷川浩司九段 後手:加藤一二三九段 1▲7六歩 2△8四歩 3▲2六歩 4△8五歩 5▲7七角 6△3四歩 7▲8八銀 8△3ニ金 9▲7八金 10△4四歩 11▲2五歩 12△4ニ銀 13▲2四歩 14△同歩 15▲同飛 16△4三銀 17▲2八飛 18△2三歩 19▲4八銀 20△6ニ銀 21▲5六歩 22△5四歩 23▲6九玉 24△5三銀 25▲6八角 26△4一玉 27▲7七銀 28△5二金 29▲5八金 30△3三角 31▲6六歩 32△7四歩 33▲6七金右 34△6四歩 35▲3六歩 36△5一角 37▲3七桂 38△8四角 39▲1六歩 40△7三桂 41▲1五歩 42△2ニ金 43▲1四歩 44△同歩 45▲1三歩 46△同香 47▲2五桂 48△3ニ玉 49▲1三桂成 50△同金 51▲1七香打 52△2四桂 53▲3八飛 54△6五歩 55▲同歩 56△6六歩 57▲同銀 58△6四歩 →歩があるからこその攻め。あまり見たことがない。 59▲同歩 60△同銀 61▲2ニ歩 →危ないところに玉を近づける小技。 62△同玉 →(数回空打ちのあと着手) 63▲2五歩 64△6五銀 65▲5七銀上 →▲同銀なら△6六歩▲5七金△6五桂 66△6六銀 67▲同銀 68△6五歩 69▲5七銀 70△2七銀 →△6六銀なら▲2四歩△6七銀成▲同金△6六金 ▲7八銀で千日手模様に。(局後の検討) 71▲5八飛 72△3六桂 73▲9五銀 →どこかで△8六歩の突き捨てが入っていれば、この銀はなかった。 (ただし8六同角と取られないよう7七に銀がいるうちに。) 74△6六角 75▲同金 →▲同銀なら△同歩▲同金で△4九銀がある。 76△同歩 77▲同銀 78△4八金 79▲5七飛 80△3八銀 81▲7九玉 →うまい手 82△9四歩 →△4七銀成は▲6七飛と逃げられた後、△5八金は▲4七飛、 △5八成銀は▲4六角でうまくいかない。玉の早逃げが生きている。 「△4七銀不成は▲4九歩で困る」(局後の検討で加藤九段) 83▲1四香 84△同金 85▲同香 86△9五歩 87▲7七飛 88△6一香 89▲6四歩 90△同香 91▲1二香成 92△3ニ玉 →△1ニ同玉なら▲3一角 93▲4六角 94△6ニ飛 95▲2一成香 96△3五歩 97▲1五角 98△2四歩 99▲同角 100△3三銀 101▲3一成香 102△2三玉 103▲3五角引 104△1二歩 →(秒読みになっていたが間をおかずすぐ着手) 28秒まで考えたりしない。勝負師ですね。 105▲2六桂 106△6六香 107▲1三金 まで
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おわり
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