猪木が悪いという根拠 2002.6.20

当時プロレスファンの友人に出した手紙の下書きより抜粋。

 ここ数年、アントニオ猪木に新日本プロレス、プロレス界が引っ掻き回されています。
 3年前のお正月(※99.1.4)の東京ドームで小川に一方的にKOされた橋本が、怒りを口にしたのは小川本人よりもむしろそのバックにいた猪木にではありませんでしたか?
 当時の坂口社長と選手会は「UFO」との絶縁を決定しましたが、突然藤波へと社長が交代され「UFO」との交流も再開。
 その後も橋本は負け続けてとうとう「引退」まで追い込まれてしまいました。
 猪木は新日本に盛んに口を出すほか「PRIDE」プロデューサーに就任。藤田や石沢を出場させました。その一方、一時は猪木を頼っていた橋本が「PRIDE」と契約の切れた選手(M・ケアー)を獲得したというだけで、ゼロワンを潰しにかかりました。その結果として皮肉にも猪木についたバトラーツの方が潰れてしまいましたけど。

 昨年(※2001)は1.4東京ドームで長州×橋本、4.9大阪で健介×橋本、5.5福岡で長州・中西×小川・村上と、話題優先の強引な猪木のマッチメークで結果としてファンの期待を裏切る(内容の)試合を提供。それを全て長州のせいにして「現場監督」の権限を奪い、ますます自分の権力を増大させる始末。
 その後の10.8や今年(※2002)の1.4では、唐突に小川×藤田戦や巴戦などを提案してNOAHとの交流戦を壊しかけ、そのくせ実は小川への支配力は全くなく、大晦日の「猪木祭り」(※2001.12.31)は永田や石沢、果てはG・シルバまで無理矢理借りてやっとこ面目を保てたのに、1.4が不振だと新日本にもTV朝日にも言いたい放題。元々1.4があるのに大晦日にやるなんて邪魔もいいとこ、それも選手を新日から借りての話だし、もし永田がケガでもしてたらドームのメインが吹っ飛んでいた。言いなりになって選手を貸した藤波も情けない。
 おまけに(猪木のプッシュで)藤田に続いて安田までIWGP王者に。プロレスやらないのがチャンピオンへの近道なんて全くおかしな話。
 武藤が出て行くのもわかるでしょ?ホントの所。
 闘魂三銃士の黄金時代は、坂口社長−長州現場監督の体制でかっちりプロレスをやっていた時代。3人とも長州とは仲良くなかったみたいだけれど、それでもちゃんとスターとして扱われていたと思いますが。

(中略)

 今夏は「G1」や8.29武道館と同時期に「UFO(LEGEND)」(日本テレビ)や「猪木まつり」(TBS)があって新日本にとってもTV朝日にとっても、また誰より蝶野(※当時現場監督)にとって苦しい闘いになると思います。神様・猪木は高い所からこの興行合戦を面白がって見てるんでしょう(そして呼ばれればどこへでも下りていって「ダー!」とやるんでしょう)。

 ところで、わたしは30年近くプロレスを見てきて、一番ショックだったのは全日本の分裂です。原因は一言で言えば元子さんと三沢の対立ということに尽きるんでしょうが、何とかならなかったのかというやるせない思いと失望感で一杯でした。仕方がなかったのかなあと納得できるようになったのは最近のことです。NOAHも全日もそれぞれの新しい道をいい感じで歩み始めたと思います。

 で、オーナーと現場(マッチメイカー、トップレスラー)の対立、という点では今の新日本と通じるところがある。全日本の場合は対立点がほとんどファンには隠されていて、どっちに付くべきかよくわからなかったのですが、新日本の場合それがはっきりしている(もちろん加えて奥にもっとあるのかもしれないけど)ので、ファンとしては好きな方に肩入れすることができる。一言で言えば格闘技か純プロレスかという路線の選択です。
 武藤が出、そして長州が出た。わたしとしては、猪木を排除できないのなら、いっそのこと格闘技をやりたい人以外はみんな出て行って、全日本に入るか新団体をつくればいい。NOAHが日本テレビを持って行ったようにTV朝日を連れて行くか、あるいは(全日本を放送するとウワサされている)フジテレビをつければいい。例えば橋本(zero-one)、武藤(全日本)、蝶野(新団体)がフジテレビの放送で対抗戦、なんて夢のある話じゃないですか…なんて思ったんですけど、蝶野が新日の役員になったんで、ちょっと考えにくくなりました。でもNOAHを見てると、やれば成功するとは思います。

 「猪木まつり」に出ないとチャンピオンになれない「IWGP」、猪木が(新日に)入れた新しい役員(UFO川村社長)が日本テレビと共催する興行(「LEGEND」)とバッティングしている「G1」…その伝統をオーナー自身が私物化し、あるいはないがしろにするのならば、(三沢が「三冠」も「チャンピオンカーニバル」も捨てたように)捨ててしまってもいいのではないですか?
 今後も猪木の介入が続くなら、そこまで考えておく必要があると思いますよ。


参考資料・新日本 年表

1999
1. 4 東京ドーム UFOの小川が橋本を事実上KO
坂口社長と選手会はUFOとの絶縁を決定
4.10東京ドーム 蝶野、大仁田と電流爆破マッチ
6. 8 武道館 橋本、天龍と復帰戦
6.24 坂口から藤波へ社長交代、UFOと交流再開へ
10.11東京ドーム 小川、橋本を返り討ち 永田はキモに負ける

2000
1. 4東京ドーム 橋本飯塚×小川村上 蝶野×武藤 IWGP健介×天龍
1. 7 藤田、フリー宣言
1.30東京ドーム 藤田、PRIDE出場
3.11横浜アリーナ メモリアル力道山 橋本小川×天龍ジョーンズ
4. 7東京ドーム{生中継15.7%} 橋本、小川に負け引退決定
  蝶野×ムタ ムタ、WCWと契約発表
  G-EGGS結成
5. 5福岡ドーム 中西永田×小川村上 藤波×蝶野 引退カウントダウン
7.30横浜アリーナ 長州、大仁田戦で復帰 PPV初進出
8.27西武ドーム 石沢、PRIDE出場
10. 9東京ドーム 健介×川田 橋本×藤波 橋本、独立宣言
11.13 橋本解雇を発表
12.31大阪ドーム 猪木ボンバイエ

2001
1. 4東京ドーム 長州×橋本
2.18両国 猪木、タイソン招聘を発表
4. 9大阪ドーム{生中継10.9%}ライガー村上戦後 長州、小川ら乱闘
  藤田、IWGP奪取(×ノートン) 健介×橋本
来秋、株式店頭公開(ナスダック・ジャパン)と日経が報道
5. 5福岡ドーム{12.3%} 長州中西×小川村上
6. 6武道館 IWGP 藤田×永田
6. 8武道館(全日) 武藤、三冠奪取(×天龍)
マッチメイク委員会発足(長州失脚?) G-EGGS解散
7.20札幌ドーム IWGP 藤田×フライ
  永田×コールマン 中西×グッドリッジ
8.19さいたまスーパーアリーナ(K-1) ミルコ×藤田
8.30武道館(真撃) M・ケアー参戦で猪木、橋本と絶縁
          UFO、バトラーツ提携打ち切り
猪木、10.8東京ドームで小川×藤田を提案
続いて小川×中西×安田の巴戦を提案
10. 8東京ドーム 永田秋山×武藤馳 藤田×健介 中西×安田
12.31さいたまスーパーアリーナ(猪木まつり){14.9%}
   レ・バンナ×安田 ミルコ×永田

2002
1. 4東京ドーム{8.2%} GHC 秋山×永田 健介×小川
1.31武藤ら新日と契約切れ、全日本移籍
2. 1札幌 猪木、蝶野とバトルトーク
2.28 永島氏新日を退社
5. 2東京ドーム{7.1%} 蝶野×三沢
5.31 長州退団、猪木を批判
8. 8東京ドーム UFO(「LEGEND」) 小川×ガファリ (日本テレビ)
8.10国立競技場 PRIDE×K-1 (TBS)
8.10&11両国 G1
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