公益法人への寄附に対する課税 08.1.26


 寄附金は、本来、見返りを求めてするものではなく、よって必要経費ではないはずです。
 儲けのある会社が、税金を払うのは癪だ、と言って、儲けた分を知り合いの赤字会社に寄附し、それが経費として認められると、本来上がるはずの税収がなくなってしまうでしょう。
 税金の計算上、経費とし得る額に制限が設けられています。
 これは寄附する者が個人でも法人でも同様です。
 しかしながら、公益のために活動する団体への寄附金には、税制上優遇措置の設けられているものがあります。
 民法に基づく現存の公益法人の中でも、「特定公益増進法人」といって特に認められたものは、優遇措置の対象となります。
 その数は、平成18年10月時点で、891(公益法人の総数24.893の内)とのことです。

 税制調査会の、第34回基礎問題小委員会・第2回非営利法人課税ワーキング・グループ合同会議(平成17年4月22日)の資料一覧に、現行寄附金制度の資料があります。
http://www.cao.go.jp/zeicho/siryou/kiso_b34.html

平成20年度税制改正の大綱
http://www.mof.go.jp/genan20/zei001.htm
五 公益法人制度改革への対応・寄附税制
 :
(別紙二) 公益法人関係税制
http://www.mof.go.jp/genan20/zei001f.htm
2 公益法人制度改革に伴う寄附税制の整備
(1) 特定公益増進法人の範囲に公益社団法人及び公益財団法人を加えるほか、特例民法法人については、経過措置として、旧民法第34条法人と同様の措置を講ずる。

 税制改正案では、新法下で公益法人と認定されれば、自動的に特定公益増進法人となることになっています。
 今の公益法人のうち、特定公益増進法人になっているのが3%強に過ぎないことからすると、画期的な改正ですが、これは公益認定を従来より厳しくやることにより、公益法人が相当数減ることが前提ではないでしょうか。
 そのことを懸念した朝日新聞の記事(平成19年12月24日)をご紹介します。
 
 新税制、公益法人戸惑う 認定要件厳しく「使えない」
http://www.asahi.com/business/topics/TKY200712230168.html

 ただし、新法下で公益認定された法人は、従来より寄附を集めやすくなるでしょう。
 現存の公益法人は、新法の施行日(本年平成20年12月1日)から5年以内に、公益社団法人・公益財団法人か、一般社団法人・一般財団法人への移行を申請しなければなりませんが、公益認定に自信があるならば、一日も早く申請して公益法人になるべきでしょう。
 例えば日本将棋連盟が新将棋会館建設のための寄附を募るとすれば、新法下の公益法人になっていれば有利でしょう。
 寄附する側から見れば、今の社団法人に寄附するより、公益社団法人になってから寄附した方がいい、と待つ人もいるかもしれません。

メニューページ「公益法人関係税制」へ戻る